私、現役JKのアイドルになります!
室矢重遠は、ゼロから天までの道のりを歩む!
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「お手数をおかけしたこと、お詫び申し上げます……」
頭を深く下げた綾小路桔梗に、室矢カレナは手を振った。
「構いません! あなたの立場では、断れなかったでしょう? 軍のエリアで話せば、盗聴されて当然……。通信とサーバーなしでは暮らせない現代社会で『軍用兵器がハッキングされた』とは、口が裂けても言えず! 私のほうは、自分で何とかしますから」
首肯した桔梗は、簡潔に話す。
「例のファンですが……。可能な限り、早めに接触したいです」
「あなたがケジメをつける形で?」
カレナの質問に、桔梗は同意する。
「はい! ですが、解決を優先したく存じます」
思案したカレナは、端的に述べる。
「あなたの方針で、進めてください! それから……私ともう1人も、彼女につきます」
「よろしいので? そちらは、弊社のグループで対応しますが……」
驚いた桔梗は思わず、問い返した。
アドバイスや犯人の指摘とは違い、調査対象に張り付けば、その負担は大きい。
ルートが不明な場合は、約3人と運転手の車1台によるチームが必要だ。
それだけの人件費と、追いかけるための実費に。
カレナを呼びつけたうえのお願いで、それは借りが大きすぎる……。
けれど、言い出した本人は笑った。
「あなたには悪いですが、お遊び! 知らないほうが良いことも多くて……。正体不明のストーカーの排除と、必要なことだけ教える。成功報酬は、あとで決定。……どうですか?」
「こちらに有利すぎて、怖いですね……。いえ、それでお願いします」
桔梗を見たカレナは、付け加える。
「その代わり、私たちはフリーハンドで動きます。……紫苑学園の通信制で、高等部1年の学籍を2人分」
「明日中に用意します! 伝手がありますから……」
カレナは、ポツリと呟く。
「あの秘密結社が、まだ健在とは……」
黒曜石の会。
これは、室矢重遠に処女を奪われ――
テレビ中継をしている先進国首脳会議で、それを宣言しかけた後に、カレナが作った秘密結社である。
当時は重遠たちと一緒に、紫苑学園へ通っていた。
そこの女子たちを集め、高級ホテルの会議室で1日がかりの実況をしたのだ。
カレナと会員が承認した女子に限り、自分の初体験を詳しく話すことが入会条件の『黒曜石の会』へ……。
綾小路桔梗は紫苑学園のOGで、『黒曜石の会』の一員。
その関係で、カレナや室矢家の実態をよく知っている。
現地の荒月怜奈により、再び姿を現したカレナを上京させた。
「今は紫苑学園だけではなく、東京の有名校を中心にした女子グループです。男は、いません」
「そうですか……。私は、戻りませんよ?」
残念そうな顔の桔梗は、何も言わず。
カレナは、付け加える。
「ディアーリマ芸能プロダクションの専属アイドルという身分……。これも2人分です」
「そちらも、明日に用意しますが……。大丈夫でしょうか? 正式な契約をすれば、映像の扱いはウチも口を出せないです」
桔梗の問いかけに、カレナは笑った。
「どうせ重遠がいないから、羽を伸ばします! それに、『駆け出しのアイドル』という同じ立場であれば、疑わしいアイドルと友人になれますから」
カレナは、真剣な表情に。
「マヴロス芸能プロ……。切りなさい」
「確かに、不自然な急伸でしたが――」
「奴らのバックは、海外マフィアです。日本の常識は通用しませんよ?」
真顔になった桔梗は、小さく頷いた。
「ただちに……。弊社でも契約の見直しと、抱きこまれた関係者を洗っておきます」
「一部は、私たちに食いつくでしょう。そちらは、自分で対処します……。多少の損害があろうとも、膿を出しておきなさい!」
桔梗は、率直に質問する。
「彼らは……何者ですか? あまりに、急激な躍進でした」
「そうですねえ……。一言で説明するのなら……」
――悪徳プロダクション?
カレナの言い方は、ゲームの悪役を示すようだった。
けれど、その実態を知れば、正気が削られる。
ここに、カレナの芸能活動が幕を開けた。
可愛い?
美人?
それは、履いて捨てるほど。
大手の芸能プロの専属になれただけで、事件の中心に置かれたアイドルは勝ち組。
だけど、仕事がなく、レッスン漬け。
別の意味で正気を投げ捨てている業界に、室矢カレナが挑む!
桔梗が思い切って、訊ねる。
「あなたには、もう全体が見えているのでは?」
「ええ、そうです……」
なぜ、ストレートに解決してくれないのか?
責めるような視線で、カレナは肩を竦めた。
「桔梗……。私はできるだけ、干渉したくありません。それに、いきなり解決しては、周りが納得しないのです」
「それは……はい」
しぶしぶ納得した、桔梗。
立ち上がったカレナは、宣言する。
「では、明日から……」
――現役JKのアイドルになります!
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