観光とビジネスの夜
室矢重遠は、ゼロから天までの道のりを歩む!
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『ユ、USFA陸軍も、新型のテストを行ったようですね! このように、どちらの国もMAの開発に力を入れており――』
女の軍人は最初より焦った様子で、締めくくった。
観客席で、立ち上がる人々。
「いやー、凄かった!」
「MAだと、USの独壇場だな?」
思わぬ展開で、誰もが興奮していた。
案内に従い、やってきた道を戻る。
出口には、陸上防衛軍やUSFA陸軍のグッズを買えるショップだ。
広報の一環で、防衛軍のマークやロゴが入った菓子。
パンの缶詰といった、レーションの類。
水虫対策の靴下は、陸軍に欠かせない。
高機能のインソールも!
乾いた靴下と半長靴がなければ、ロクに動けないのです。
それは、さておき――
「おお! すげー!」
「MAパイロットの帽子か……。少し高いなあ」
興奮したまま、関連グッズを物色する男子たち。
それを見た丸原春花は、苦笑する。
「男子は本当に、ロボットが大好きですね?」
「さっきの対戦は、滅多に見られませんから。仕方ないでしょう」
室矢カレナが応じた。
春花は、ふと思い出す。
「そういえば……さっきの人、いいんですか?」
「大丈夫ですよ! あとで、個人的に会いますから……。そうそう、席を譲ってもらった桔梗が『お礼をしてくれ』と言っていたので」
カレナが綾小路桔梗のお願いを実行するべく、千円札を出す。
「い、いえ! そういうわけには――」
「受け取ってください。正当なチップですよ?」
その後で、付け加える。
「お互いに貸し借りをするのが、健全です。だけど、さっきの桔梗は二度と会わないでしょう。『自分の善意を金にするのが許せない』のような信念を持っていれば、話は別ですが……。彼女のためにも、受け取ってください。隙を見せられない立場で、『他人に好意を返す』ということも難しく……」
春花は、チップをもらった。
「さっきから、見られていません?」
「ええ……。まあ、話しかけてくる度胸はないと思います」
カレナが見れば、USFA陸軍のショップにいる外国人の女が、戸惑った様子で目を逸らした。
MA暴走について、意見を聞きたいのだろう。
犯人の可能性を含め……。
そう思ったが、男子2人を見たまま、やり過ごした。
メガフロートに灯りがついて、暗闇を彩る。
ホテルの飲食店で、丸テーブル。
高校生が運ばれてくる料理に舌鼓を打つ。
「美味い! 夢みたいだな? 俺たちがこんなホテルに泊まって、ご馳走を食うとは……」
「全くだ」
どんどん食べる男子に対し、女子グループは控え目。
外間朱美は、隣に座っている槇島睦月を見た。
「室矢さんは……どこへ?」
「カレナは別の場所で、食事をしているよ」
気になった朱美は、質問したいが――
「僕と一緒じゃ、不満?」
思わぬ問いかけでビクッとした朱美は、顔が真っ赤に。
「い、いえ! そんなことは……ないです」
それを見た荒月怜奈が、揶揄う。
「んー? 怪しいなあ……。あなた達、そういう関係なの?」
こちらも、顔が赤い。
「怜奈! 飲みすぎよ! ……ごめんね?」
「申し訳ありません。レナ先輩は、絡み酒なので」
女子大生2人が、代わりに謝った。
角西芽伊は自分も飲みつつ、首を傾げる。
「これだけ良くしてもらって、不満はないけど……。どこへ行ったんだろうね? 美味しい料理なのに」
注目を集めた睦月は、あっさりと告げる。
「人に会っているんだよ……。ビジネスの話でね?」
得心がいった丸原春花は、続きを述べる。
「ああ! MAの模擬戦の時に、どこかの大企業に勤めていそうな女性と話していましたね! その関係ですか?」
睦月は微笑んだ。
「ん……。そんなところ!」
納得した面々は、今日の楽しかったことやショッピングの成果を話し合う。
――同時刻
会員制のフロアーを歩いた、室矢カレナ。
ラウンジで、立ち上がった女を見る。
相談を持ちかけてきた、綾小路桔梗だ。
「お待ちしておりました! こちらです!」
そちらへ近づけば、他にも人がいる。
高校生らしき私服の男子と、いかにも軍人っぽい男の2人。
昼にUSFA陸軍のショップで見かけた、外国人の女。
どちらも、カレナをじっと見つめている。
集まっているソファーの傍に立つと、残り3人が立ち上がった。
軍人の男が、外国人の女に告げる。
「あなたから、どうぞ……」
「ありがとうございます。……私は、USFA陸軍のマーサーと申します。ミズ室矢にお会いできて、光栄です。先ほどは挨拶せず、失礼いたしました!」
私服だが、キビキビとした動作。
頭を上げれば、カレナが尋ねる。
「用件は?」
「ご覧になられた模擬戦で、我が軍のMAが暴走しまして……。その中身が、無人だったのです! ミズ室矢に、ご意見をいただきたく」
さて、どうしたものか……。
カレナは考える。
過去作は、こちらです!
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