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東京よ、私は帰ってきました!

室矢重遠は、ゼロから天までの道のりを歩む!

https://hatuyuki-ku.com/?p=707

 日本の中央省庁が集まっているエリアの1つに、警察庁。

 その上級幹部が使う、窓のない会議室。


 ホームシアターを思わせる空間に置かれた細長い円卓には、幹部がズラリと並んでいる。


「本日、皆に集まってもらったのは、他でもない」


 沈痛な声のまま、議題を告げる。


「あの室矢(むろや)カレナが上京する……。ここへ来るぞ?」


 制服やスーツを着たキャリアは、ざわめいた。


「そんな!」

「どうして、私がいる間に……」

「当時の長官を続けて辞任させた、あの……」

「殺しても死ななかったそうだ」


 扱いが、恐怖の大王。


 あなたはどれだけ、我々の前に立ち塞がるんだ!?


「ほ、本当に、彼女ですか?」


 重々しく(うなず)いた上座が、答える。


「残念ながら、そのようだ……。幸いにも引っ越しではなく、一時的な観光と聞いている。警視庁は、十分に注意してくれ! 彼女が派手に暴れたら大惨事だ。ネイブル・アーチャー作戦の連合艦隊を叩いた当事者であることも忘れるな!」


「ハッ! 改めて、通達を出します!」


「何もなければ……良いのだがな?」


 今、フラグが立った気がする。


「そういえば……海上プラットホームはどうなっている?」


「特に、問題は……。東京の沖合いの有効活用で、良いモデルケースになっているようです。漁業の関係者は、まだ反対していますが」


MAマニューバ・アーマーの開発や運用など、過密した東京では不可能な実験も行われていて、好評ですね」


「日本が主導権を握りつつも、海外からの投資と優秀な外国人の受け入れとなっています」


「海上プラットホームの警察署で、気になる報告はありません!」


「室矢カレナとは関係ないでしょうね……」

「流石にな?」


「「「ハハハハ!」」」


 見たまえ!


 フラグが、林のようだ!!



 ◇



 高速鉄道の車内は、スピードのわりに揺れていない。


「「次は、東京~♪ お忘れ物なさいませんよう、ご注意ください♪」」


 隣り合って座りつつ、頭の動きをシンクロさせつつハモり出した、室矢カレナと槇島(まきしま)睦月(むつき)


 ものすごく、可愛い。


 周りに座っていた面々が、突っ込む。


「急に、どうしたの?」

「東京はやっぱり、テンション上がるよね!」


「何を食べよう……」


 せっかくの連休とあって、美須坂(みすざか)町の高校生グループも誘ったのだ。


 女子3人は、観光ガイドブックと睨めっこだ。


 男子2人も女子とは違う視点で、同じく観光の予習。


「うーん……。全部は、無理だよな?」

「そうだね。数日だから、どうしたものか……」


 減速したことで、周囲に電車が行き来する、いつもの光景に。


「うわ、すごい!」

「地元じゃ、1時間で1本なのに……」

「ぶ、ぶつかりそう……」


「こんなに電車を走らせて、人が乗るのか!?」

「連休だから、利用者が多いんだろ……」


 彼らは、東京を知らず。


 明るい電子音のメロディーが流れ、今度は本物のアナウンス。


『次は東京ー! 東京ー! 乗り換えは――』


 周囲の乗客が立って、自分の荷物を降ろす。


 それを見た高校生グループは、慌てる。


 離れた席にいた『れいかチャンネル』の女子大生3人も、立ち上がる。


「ふあぁあっ! あー、着いた、着いた……」


「い、生きて帰れたわ」

「ええ、本当に……」


 マイペースな荒月(こうげつ)怜奈(れな)に対し、残り2人は改めて、自分たちの幸運に感謝する。


 いよいよ高速鉄道の終点に辿り着き、車両が止まる。


 プシュー!


 側面の扉が開き、ドカドカと乗客が降りていく。


 ホームは、これから出発する人の見送りや迎えに来た人で、ごった返す。


 この場のリーダーになっている怜奈が、カレナを見た。


「来た直後で悪いけど、制作会社のほうへ来てもらって――」

「その件は、もう終わっているはずです」


「いや。そういうわけには……あらら?」


 反論しながらスマホを見た怜奈は、指を動かしつつ、驚いた。


 返信後に、電話をかける。


「荒月です! 今、東京に戻りまして……はい! ……室矢さんは、そちらへお連れしなくてもいいと? ……分かりました。失礼します」


 スマホの画面を触った後で、キョトンとした顔に。


「あ、うん……。もう、いいって! じゃあ、これで――」

「せっかくですから、もう少しご一緒しませんか? 東京に住んでいる人のガイドのほうが安心です」


 カレナに視線を向けられた佳鏡(かきょう)優希(ゆき)は、おずおずと同意する。


「そうだね! まあ、そっちが良いのなら……」


 怜奈は興味なさげに、片手を振った。


「パス! 私たちは修学旅行の引率じゃないのよ? 自宅に戻って、休みたいし――」

「一緒に遊ぶだけで日当1万円のバイトですが……」


 ピクピクと、怜奈が反応している。


 それを見た女子大生2人は、密かに思う。


(のらないで、怜奈!)

(レナ先輩……。もう止めましょうよ?)


「1人につき、日当1万円ですよ? 実費は別として……」


 カレナの追撃に、角西(かどにし)芽伊(めい)が飛びついた。


「まさか、連休の間で?」

「ええ、そうです」


「怜奈、受けよう!」


(メイ先輩ー!?)


 丸原(まるはら)春花(はるか)は、心の中で叫んだ。


 私だけでも、しっかり断らなきゃ! と決意を新たに――


「今なら、パティシエのケーキが食べ放題ですよ?」

「受けます!」


 即堕ち2コマ。


 体は、正直だった……。

過去作は、こちらです!

https://hatuyuki-ku.com/?page_id=31

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