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強襲! US特殊部隊!!-①

室矢重遠は、ゼロから天までの道のりを歩む!

https://hatuyuki-ku.com/?p=707

 時刻は、4人のオタクたちが自転車に乗り、槇島(まきしま)神社の本殿を目指している頃。


 日が暮れた森は、奈落の底と同じだ。

 その一角に、人工的な灯り。


 洋風の戸建て。

 避暑地にありそうな建物では、室矢(むろや)カレナが妹分(いもうとぶん)のスティアと一緒にいた。


 美須坂(みすざか)の商店街で買ってきた肉、野菜、魚介類により、バーベキューをしている。

 裏庭に置いたアウトドア用のコンロでジュージューと焼き、各々で食べていく。


 市街地でやれば、ご近所トラブル待ったなしだが、ここに煙や匂いを気にする隣人はいない。

 ド田舎の数少ないメリットだ。


 ウッドデッキにある、洋風のテーブルと椅子に座った、美少女2人。


 山盛りのご飯に焼いた肉や魚を置き、焼き肉のタレをかけるスティア。


 カレナは平皿で切り分けた後に、一口サイズで食べる。

 下味をつけているため、美味い。


 自然体で過ごしており、見るからにお嬢さま。

 キャラを作らないほうが上品だ。


 満面の笑みを浮かべるスティアは、ふと気づく。


「そういえば……。USFA(ユーエスエフエー)のマークがついた封筒があったけど?」


 バーベキューコンロで料理をとったカレナは、自分の席に座りながら答える。


「あなたがUSの人間……いえ、戦略兵器だから返却するようにという脅迫でした。日本の大使館にいる駐在武官のウォリナー氏から……。ついでに、私のスカウトです! 自国の戦力アップに加えて、あなたの制御とユニオンへの嫌がらせもあるでしょう。『ブリテン諸島の黒真珠』として扱い、公爵令嬢に見合った待遇……」


 (はし)を止めたスティアは、眉をひそめた。


「……受けるの?」


「まさか! それに、私が日本の『室矢』を特別扱いせず、真偽が不明であることから、『ひとまず回収したい』の域を出ていません。今回の本命は、多冶山(たじやま)学園で大暴れしたスティア」


 次のオカズとご飯を口に入れた本人が、もぐもぐした後で、首を(ひね)る。


「あそこにいたのは、日本警察だけでしょ?」


 微笑んだカレナが、人差し指を上へ向けた。


 釣られて、スティアも夜空を見上げる。


「軍事衛星です……」


 カレナが答えを述べたら、スティアは脱力した。


「あー! そっか……。私、グラウンドに出たから……」


 その時、USの軍事衛星に捕捉されたのだ。


 全身を包み込む、黄金のアーマー。

 カレナ謹製のギアを身に着けてのコズミック・エクスプロージョンは、校舎1つを蒸発させた。


 一連の動きを見ていたUSは、彼女こそスティアであると、結論を出す。



 今度は、カレナが質問する。


「どうしますか?」


「論外ね! USは私を確保することで、他国に睨みを利かせていただけ! 勝手に所有権を主張されても迷惑よ」


 スティアは馬鹿にしたような笑いで、締めくくった。


 食事を続けているカレナも、それに合わせる。


「そうですね。まったく、勝手なもの……。ところで、スティアはどうする予定ですか? ここに滞在しても構いませんよ? アイも、別の場所にいますし」


 USの駐在武官がはっきりと脅している状況で、暢気(のんき)な会話だ。


 聞かれたスティアは箸を置いて、考え込む。


「うーん……。でも、カレナやアイの世話になるのは……」


 以前の深堀(ふかほり)アイとの学校生活で、精神的に成長したようだ。


 スティアは、話を続ける。


重遠(しげとお)は、まだいないし……」


 本音は、そちら。


 そもそも、室矢重遠が生まれ変わったと勘違いしての、地球への帰還だ。



「ハーイ! ちょっと、いいかしら?」

「周りの景色を楽しみつつ、駅まで行くつもりだったが……。道に迷ってしまってな」


 ネイティブ並みに流暢(りゅうちょう)な発音で、外国人の男女だ。

 暗闇から出てきて、裏庭の端に立つ。


 ウッドデッキの美少女2人を見たまま、頼み込む。


 若い女のほうが、頭を下げた。


「勝手に入ってしまったことは、謝るわ! ただ、どこへ進めば、最寄り駅に辿り着けるのか……」


 続いて、若い男も。


「ここまで何もない場所とは思わなかった! その駅も、今の時間帯だと最終電車に乗れないだろう……。今晩だけ、泊めてくれないか? 屋根の下なら、床でも構わない! ……手持ちは少ないが、礼もする」


「同じ外国人として、お願い! 他の灯りは見つからなくて……」


 若い女の言葉が終わって、美少女2人の返事を待つ。


 ウッドデッキで食事中のスティアは、カレナのほうを向く。


 カレナは優雅に座ったまま、男女2人を見た。


「移動する手段や宿泊できる場所は、他にありますよ? ……自分の部隊が待機している車両へ戻りなさい」


 ――IGU(イグー)のケイシー曹長とハニガン軍曹?


 USFA陸軍の特殊作戦ベースで、Infinite Gladius Unit、“無限の剣の部隊” と呼ばれる兵士たち。

 それも、異能者の部隊だ……。


 “異能者の軍事利用は自国の防衛だけ” という条約があるため、これが事実なら、USの立場が悪くなるだろう。


 焦った2人は隠している銃を握りつつ、言い訳。


「今は非番よ? 私たちが観光をしたら、ダメなの?」

「俺たちは親日家だぜ?」


 言い当てられたことで、ケイシーとハニガンは嘘をつけなかった。


 フッと笑ったカレナは、最後通牒を出す。


「こんな山奥にも警官はいます……。電話をすれば、駐在所から迎えに来るでしょう」


「それは遠慮しておくわ!」

「美人に嫌われたようで、残念だよ……」


 捨て台詞を残したIGUの2人は、足早に立ち去る。


 そして、美須坂(みすざか)駐在所にいる萩原(はぎわら)一吾郎(いちごろう)の死亡フラグも消えた。

過去作は、こちらです!

https://hatuyuki-ku.com/?page_id=31

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