強襲! US特殊部隊!!-①
室矢重遠は、ゼロから天までの道のりを歩む!
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時刻は、4人のオタクたちが自転車に乗り、槇島神社の本殿を目指している頃。
日が暮れた森は、奈落の底と同じだ。
その一角に、人工的な灯り。
洋風の戸建て。
避暑地にありそうな建物では、室矢カレナが妹分のスティアと一緒にいた。
美須坂の商店街で買ってきた肉、野菜、魚介類により、バーベキューをしている。
裏庭に置いたアウトドア用のコンロでジュージューと焼き、各々で食べていく。
市街地でやれば、ご近所トラブル待ったなしだが、ここに煙や匂いを気にする隣人はいない。
ド田舎の数少ないメリットだ。
ウッドデッキにある、洋風のテーブルと椅子に座った、美少女2人。
山盛りのご飯に焼いた肉や魚を置き、焼き肉のタレをかけるスティア。
カレナは平皿で切り分けた後に、一口サイズで食べる。
下味をつけているため、美味い。
自然体で過ごしており、見るからにお嬢さま。
キャラを作らないほうが上品だ。
満面の笑みを浮かべるスティアは、ふと気づく。
「そういえば……。USFAのマークがついた封筒があったけど?」
バーベキューコンロで料理をとったカレナは、自分の席に座りながら答える。
「あなたがUSの人間……いえ、戦略兵器だから返却するようにという脅迫でした。日本の大使館にいる駐在武官のウォリナー氏から……。ついでに、私のスカウトです! 自国の戦力アップに加えて、あなたの制御とユニオンへの嫌がらせもあるでしょう。『ブリテン諸島の黒真珠』として扱い、公爵令嬢に見合った待遇……」
箸を止めたスティアは、眉をひそめた。
「……受けるの?」
「まさか! それに、私が日本の『室矢』を特別扱いせず、真偽が不明であることから、『ひとまず回収したい』の域を出ていません。今回の本命は、多冶山学園で大暴れしたスティア」
次のオカズとご飯を口に入れた本人が、もぐもぐした後で、首を捻る。
「あそこにいたのは、日本警察だけでしょ?」
微笑んだカレナが、人差し指を上へ向けた。
釣られて、スティアも夜空を見上げる。
「軍事衛星です……」
カレナが答えを述べたら、スティアは脱力した。
「あー! そっか……。私、グラウンドに出たから……」
その時、USの軍事衛星に捕捉されたのだ。
全身を包み込む、黄金のアーマー。
カレナ謹製のギアを身に着けてのコズミック・エクスプロージョンは、校舎1つを蒸発させた。
一連の動きを見ていたUSは、彼女こそスティアであると、結論を出す。
今度は、カレナが質問する。
「どうしますか?」
「論外ね! USは私を確保することで、他国に睨みを利かせていただけ! 勝手に所有権を主張されても迷惑よ」
スティアは馬鹿にしたような笑いで、締めくくった。
食事を続けているカレナも、それに合わせる。
「そうですね。まったく、勝手なもの……。ところで、スティアはどうする予定ですか? ここに滞在しても構いませんよ? アイも、別の場所にいますし」
USの駐在武官がはっきりと脅している状況で、暢気な会話だ。
聞かれたスティアは箸を置いて、考え込む。
「うーん……。でも、カレナやアイの世話になるのは……」
以前の深堀アイとの学校生活で、精神的に成長したようだ。
スティアは、話を続ける。
「重遠は、まだいないし……」
本音は、そちら。
そもそも、室矢重遠が生まれ変わったと勘違いしての、地球への帰還だ。
「ハーイ! ちょっと、いいかしら?」
「周りの景色を楽しみつつ、駅まで行くつもりだったが……。道に迷ってしまってな」
ネイティブ並みに流暢な発音で、外国人の男女だ。
暗闇から出てきて、裏庭の端に立つ。
ウッドデッキの美少女2人を見たまま、頼み込む。
若い女のほうが、頭を下げた。
「勝手に入ってしまったことは、謝るわ! ただ、どこへ進めば、最寄り駅に辿り着けるのか……」
続いて、若い男も。
「ここまで何もない場所とは思わなかった! その駅も、今の時間帯だと最終電車に乗れないだろう……。今晩だけ、泊めてくれないか? 屋根の下なら、床でも構わない! ……手持ちは少ないが、礼もする」
「同じ外国人として、お願い! 他の灯りは見つからなくて……」
若い女の言葉が終わって、美少女2人の返事を待つ。
ウッドデッキで食事中のスティアは、カレナのほうを向く。
カレナは優雅に座ったまま、男女2人を見た。
「移動する手段や宿泊できる場所は、他にありますよ? ……自分の部隊が待機している車両へ戻りなさい」
――IGUのケイシー曹長とハニガン軍曹?
USFA陸軍の特殊作戦ベースで、Infinite Gladius Unit、“無限の剣の部隊” と呼ばれる兵士たち。
それも、異能者の部隊だ……。
“異能者の軍事利用は自国の防衛だけ” という条約があるため、これが事実なら、USの立場が悪くなるだろう。
焦った2人は隠している銃を握りつつ、言い訳。
「今は非番よ? 私たちが観光をしたら、ダメなの?」
「俺たちは親日家だぜ?」
言い当てられたことで、ケイシーとハニガンは嘘をつけなかった。
フッと笑ったカレナは、最後通牒を出す。
「こんな山奥にも警官はいます……。電話をすれば、駐在所から迎えに来るでしょう」
「それは遠慮しておくわ!」
「美人に嫌われたようで、残念だよ……」
捨て台詞を残したIGUの2人は、足早に立ち去る。
そして、美須坂駐在所にいる萩原一吾郎の死亡フラグも消えた。
過去作は、こちらです!
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