表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
41/144

超新星(スーパーノヴァ)の爆発

室矢重遠は、ゼロから天までの道のりを歩む!

https://hatuyuki-ku.com/?p=707

 真っ暗なグラウンドの中央。


 山吹(やまぶき)色のロングであるセーラー服のスティアは、女の子座りをしたままの春花(はるか)を見ていた。


 スティアが、手の平を耳に当てる。


「はい……カレナ? ……え? 重遠(しげとお)はまだ生まれ変わっていないの!? じゃあ、何で……ハーッ! そういうこと……うん、大丈夫。それはないから。じゃ!」


 虚空に話していたスティアは片手を下ろしつつ、ため息を吐いた。


 声をかけようとした春花は、いきなり出現した黄金の台座のような物体に、え? と絶句する。


 幼い女子中学生は、逃げ出してきた高等部の校舎を見た。

 春花も、釣られる。


 復活したのか、ドシンドシンという足音に、ウサギの着ぐるみの姿。


 春花はスティアのほうを見て、叫ぼうとするも――


 一筋の光が走った。


 ウサギの着ぐるみは後ろの校舎を突き破り、中へ叩き込まれた。

 その左右で、すさまじい突風が吹き荒れる。


 春花が見れば、スティアは前に突き出した(こぶし)を下ろすところ。

 その幼い顔に、怒りを示す。


「重遠がいないのに戻ってきた私の哀しみを知れ!」


 黄金の台座が複数の光となって、幼いスティアに降り注ぐ。

 胸部、腰、両手、両足、頭部と、黄金の鎧へ。

 頭のヘッドギアを最後に、全身が黄金に包まれた。


 ブーツと一体化した両足を動かせば、地面が削れる。

 拳法の構えのように、両手を動かす。

 周囲に神威が広がり、黄金のオーラが辺りを満たした。


 座ったまま、目を見張る春花。



「コズミック……エクスプロージョン!!」


 黄金の騎士となったスティアは、ガントレットで保護された拳を動かす。


 右拳がアッパーのように動き、彼女は上へ振り切ったままのポーズに。

 すると、彼女たちが見ている校舎に変化が起こった。


 高等部の校舎が下から(まばゆ)い光に包まれ、天に昇っていくかのよう……。


 コンクリートや中の鉄筋までも、瞬時に溶かされていくように姿を消す。

 ウサギの着ぐるみと巣くっていた食屍鬼(グール)どもは、状況を理解する間もなく、消滅した。


 もはや、この世の物とは思えない光景だ。


 それを見守っていた春花は、思わず(つぶや)く。


超新星スーパーノヴァの爆発……」


 星を砕くか? と思われた光がおさまれば、高等部の校舎は影も形もなかった。

 その地面すら、大きく(えぐ)れたまま。


 ガキィンッ! という金属音に、スティアを見れば、元のセーラー服だった。


「あなたは……いったい?」


 真っ暗なグラウンドに、グリーンの瞳。


「知らないほうがいいわよ? 『金星の女神』と言っても、どうせ信じないだろうし……」


 冗談なのか判断がつかずに、困る春花。


 立っているスティアは再び、エア電話を始めた。


「……ええ! 私も、別に面倒を見る気はないし、あとは本職に任せましょう!」


 片手を下ろしたスティアは、すたすたと歩き出す。


「あ、あの!?」


 地面に座ったままで片手を伸ばす春花に、スティアは立ち止まった。


 振り向きながら、告げる。


「もう大丈夫なはず……およ?」


 パパパと、軽い発砲音が続いた。


 マズルフラッシュか、小さな光も見える。


 場所は……中等部と初等部の合同校舎。


 別れた先輩2人の行方もあって不安になる春花だが、スティアは無責任に言う。


「今のは、よく分からないけど……。まあ、大丈夫でしょ! 残りの女子大生2人と合流したければ、ここで待ちなさい。それが嫌なら、あっちで警察に保護されるといいわ!」


 一方的に告げた後で、スティアは春花に背を向けて、歩き出した。


 さっきの今で、話しかけられる雰囲気ではない。



 発砲音があった暗い校舎を見ていたら、もう彼女の姿はない。


「……何だったのかな?」


 まるで、夢を見ているようだ。


 座り込んでいた春花は、ようやく立ち上がる。


 この世の地獄と思われた高等部の校舎は、すでに消えた。

 そちらを見るも、さっきまで存在したとは思えず。


 ふうっと、ため息を吐く。


「どうしようかな……」


 鉛のように、体が重い。

 走りっぱなしだから?

 先輩たちの安否は確認したいものの、また襲われるのは、嫌だ……。


 その場で座り込んだ春花は体育座りになって、中等部と初等部の合同校舎を眺める。


 真っ暗なグラウンドの中央に、ポツンといる女子大生。


「無事だと、いいな……」


 彼女が外から見守る中で、別行動の2人は危険に晒されていた。


 多冶山(たじやま)学園を巡る、一晩のバトルはいよいよ、佳境を迎える。

 その先に待つものは、いったい何だろうか?


 春花が命懸けで庇った、先輩2人。

 彼女たちは思わぬ人物と出会い、行動を共にしていた。


 女神であるカレナ、スティアには、ただの暇潰し。

 動画配信の女子大生3人も、招かれざる客。


 けれど、それとは違う人物が1人いる。


 現在が過去の積み重ねであれば、その清算も必要だ。

 突入する部隊がやってくるのは……早くて、明日の午前中。


 ここの県警が、決定的な場面に立ち会うことはないだろう。

過去作は、こちらです!

https://hatuyuki-ku.com/?page_id=31

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ