裏で何があったのか?(前編)
室矢重遠は、ゼロから天までの道のりを歩む!
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悠月史堂は、『川奈野まどか』に視線を戻した。
「嫌なら、止めておくけど?」
そう言われた『まどか』は、悩み始めた。
おそらく、一連の出来事について。
断れば、彼はもう話題にしない。
やっぱり教えてください! と言うのは、失礼すぎる。
『瀬本ゆい』は同じ事務所で、一緒に仕事をしている間柄だ。
彼女の仕込み、という可能性もあるが、気になったままでは――
「室矢さんと槇島さんが同席してくれるのなら……」
「分かった! その2人に、メッセを送ってみるよ」
――紫苑学園の空き部屋
通信制クラスの出席は、任意だ。
他の生徒たちは、授業中。
邪魔が入らない空間で、お昼休みのように集めた机に関係者がいる。
少しでも和ませるために、買ってきたスナック、ジュースを並べた。
司会役の悠月史堂が、口火を切る。
「んじゃ、始めるぞ? 議題は、『川奈野さんが俺とのデートをスクープされた』ということ。俺たちがそれぞれ、どの立場だったのか? を明確にしたい」
「はい」
「ええ、いいわ……」
「始めてください」
「うん」
呼吸を整えた史堂は、簡潔に述べる。
「親に頼み、『川奈野さんを紫苑学園へ転校させつつ、同時に火消し』という行動をさせた。偉い人を動かしたわけで、もう大変!」
居たたまれなくなった『まどか』は、座ったままで、頭を下げた。
「お世話になりました! このお礼は、少しずつでも――」
「なあ、川奈野?」
冷静な口調で呼びかけられ、まどかは我に返った。
それに対し、史堂は淡々と説明する。
「お前は、大切な友人だ……。でもな? 足りないんだよ」
「な、何が?」
反射的に、まどかが尋ねた。
真剣な史堂は、きっぱりと告げる。
「ウチがこれだけ動くには、俺のお願いだけでは……足りない」
「え? で、でも……」
理解できない『まどか』は言葉を失ったまま、説明を求める。
ため息を吐いた史堂が、見つめ返す。
「お前は……俺の婚約者じゃないし、彼女でもない。仕事の付き合いで、そのまま遊びに行くってだけだ! こういう表現は好きじゃないが、ウチでは『これぐらいのトラブルも解決できない』という評価だ。……納得していないけどな? だが、自分の将来を削ってでも助けてやる気はなかったよ」
「う……あ……」
その宣言で、まどかは冷水を浴びた気分に。
ガタガタと震え出す。
室矢カレナが、すかさずフォローする。
「史堂! 話すのなら、早く全体を!」
「あ、ああ……。悪い、カレナ……」
応じた史堂は、『瀬本ゆい』を見る。
首肯した彼女が、まどかに向き直った。
「社長に頼んで、悠月家を動かしたの! 私でも悠月くんの実家に言えず、それに見合う人に仲介してもらった」
呆然とした『まどか』は、やがて真顔に。
震える声で、叫ぶ。
「楽しいですか!? これだけ、私を滅茶苦茶にして! あなたは――」
「1つ、いい?」
槇島皐月が、割り込んだ。
全員が、彼女に注目する。
「どうして、社長に相談しなかったの?」
まどかは、答えに窮した。
「何でって……。あの人は、瀬本さんが言うことを信じるだろうし……」
「あのさ? まどかは社長の命令で、史堂の据え膳になったんでしょ? ……これだけ話が大きくなったから、隠し事はなし!」
いきなりバラされた『まどか』は、顔を真っ赤にしたまま、睨む。
けれど、皐月は怯まない。
「社長の命令に従って、この騒ぎ……。ボクなら、社長に泣きつくよ? ゆいが仕掛けたスクープにせよ、その芸能プロの専属タレントで、今は売れているのだから」
「う……」
その通りで、『まどか』は言い返せない。
皐月はポテチを食いながら、突っ込む。
「それにさ? ユニットを組んでいるボクらは? 何も相談されていないけど」
「巻き込んだら、悪いと――」
「一緒に仕事をしている時点で、無関係じゃないよ?」
その切り返しで、まどかは黙り込んだ。
優しい雰囲気になった皐月が、ズバリ指摘する。
「同じ女子高生じゃ、頼りにならない……。そう思った? ……別に、いいよ! ただ、相談してくれれば、一緒に考えたかもね?」
カレナは、スマホを取り出した。
「ここまできたら、桔梗も呼びましょう! まどかが、これ以上の疑心暗鬼にならないように」
電話をすれば、5分も経たずに、綾小路桔梗が入ってきた。
ディアーリマ芸能プロダクションの社長で、『まどか』と『ゆい』の雇用主でもある。
正確には社員ではなく、マネジメントを委託された関係だが……。
思わず畏まる一同だが、カレナはあっさりと教える。
「例のファンはまだ泳がせていますが、すでに掌握済み! 今は、他に悟られたくありません」
「承知しました。ありがとうございます!」
お辞儀をした桔梗は、自分で椅子を運び、近くに座る。
場を仕切っているカレナは、全員を見回した。
「これで、関係者が揃いました! まどかは嫌かもしれませんが、ここで、ゆいの話を聞きましょう! そもそも、彼女が何を考え、行動していたのかが重要です」
ゆいは、頷いた。
「私に……川奈野さんを苦しめる気はなかったの。彼女を高級料亭に招待した時、もうスクープ写真を撮られていた。記事にされるのを防ぐためには、違うネタを提供するか、自分たちで買い取るかの二択……。だから、私は『自分が悠月くんの恋人だ』と知らせて、そちらの記事に差し替えさせるつもりだったわけ」
過去作は、こちらです!
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