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第39話 技能の説明

「だ、大事なことですか……!? このアト、どのようなことであっても受け入れる覚悟ですので、どうぞなんなりとおっしゃってくださいまし……!」


 妙に力の入った感じでそう言ってきたアト。

 俺の醸し出した雰囲気があまりにも深刻に過ぎたかもしれない。

 実際、俺にとってはだいぶ覚悟のいる話になってくるから、こうなってしまったのも仕方がない。

 まぁ、ともかく、もう少し気楽に話すか……。


「そう言ってくれるとありがたいよ。それで、内容なのだけど……」


「は、はいっ」


「俺の……」


「ノア様の……?」


「技能についてのことなんだ」


「技能について……技能について? あ、あぁ、そ、そうですか……」


 そこで何故か、アトの力の入れようが変わったというか、ふっと力が抜けた感じがした。

 もっとわかりやすくいうのなら、なんだかがっかりした感じ?

 一体どうしたのだ。

 俺の技能になど興味がないということか?

 一瞬そう思ったが、すぐにアトは、


「……ノア様の技能について、ということは《聖王》技能について、ということですね? 確かに私も詳細については気になります。教会の資料集にも全く記載のない技能になりますから……」


 そう言ってきた。

 興味ないというわけではなさそうだった。

 じゃあさっきのがっかりは一体……?

 そう思うも、大事なのはまず話すことだ。

 それに、教会の資料集にない、というのは俺も気になる情報だった。


「そうなのか? 教会のことだから、《聖王》技能に関わらず、様々な技能についての情報を収集してると思っていたんだが、それは意外だな」


 教会は技能について、神が与えたもうたものだから、みだりに研究の対象にするのは好ましくない、というようなことをよく言っている。

 しかし実際には、教会自身は非常に技能について詳しいことも知られている。

 これは教会は神について理解するために行っていることだから許されて、それ以外の者たちが研究するのはただの好奇心からだからダメだ、という理屈に基づく。

 いっそ詭弁に思えてくる話で、実際に俺はそうだろうと昔から思ってきたわけだが、正しく教会を信じる信者たちからすればその考え方は異端で不敬だとなるのも分かっているので、外で口にすることはない。

 貴族の間だと、それほど珍しい考えでもないのだけどな。

 教会と貴族との関係は、かように緊張に満ちている、というわけだ。

 父上も俺に近い考え方だろう。

 決して人前で言うことはないのは同じだが。


 そしてそんな教会だからこそ、技能については極めて詳しいはずだった。

 それなのに《聖王》技能については教会が保有するだろう資料にもない?

 これはかなり意外な話だった。

 そもそも《聖王》というのは、教会の長のことをいうわけで、余計に調べずにはいられない事柄だろうと思うのだが……。

 けれどアトは言う。


「《聖王》などという技能が現れたことは、少なくとも教会の歴史書には書かれておりませんでした。珍しいと言うよりも、ノア様が初めて確認された保有者なのです。それだけに、情報など集めようもなかったのだと思いますが……今までに一人でも出ていれば、調査がなされているはずですので……」


「一人も? それは凄いな。珍しいとは思っていたが、そこまでとは」


 何せ持っているだけで教会から追われることになる技能だ。

 珍しいことには確信があったが、歴史上初めて、となるとこれは驚きである。

 技能は様々あって、レアと呼ばれるものはたくさんある。

 けれどいずれに関しても、かつて持っていた者、もしくは他に持っている者がいるものしか見られない。

 全くの一人目、などと言う技能など、俺は聞いたことがなかった。

 

「ただ、記録が残っていないだけ……という可能性もないではないですが、私はこれでも教会でもかなり上位の立場にある聖女でした。ですから、教会の資料ほとんど全てについて閲覧権限があるのです。その私でも見られない資料となると……教会の聖王のみが閲覧出来る閉架書庫の資料だけと言うことになりますが……」


 聖女でした、と言っているが別に正式に辞めたわけでもないのだから今も彼女は紛れもなく教会の聖女である。

 見ようと思えばどんな資料でも見れると言うのは納得だった。

 しかし聖王だけが見られる書庫なら、と言うのは……なるほど、ありうるか。

 まさに《聖王》に関する情報なのだ。

 他の誰にも見せずに、聖王ただ一人が閲覧出来るようになっている、と言うのは納得できる。


「しかしそうなると、やっぱりどこかの本で詳しくどういうものか調べるみたいなのは難しいのか。結局、自分でやるしかなさそうだな……」


「それがよろしいかと。実際に技能を持っている者が試行錯誤して使い方を調べることはどんな技能でも有効です。本に書いてあることよりも正確ですし」


「そうだな……でも結構すでに訳がわからないことが多くて。それでアトに色々話しておきたいと思ったんだ」


「そうでしたか……ですが、使い道がお分かりな派生技能もおありなのですよね?」


「それはもちろん。まずはそれについて話したい。さっきアトが見た《飛舞剣》……あれについてなんだけどな」


「ええ」


「あれは別に俺が覚えた訳じゃない。アトから勝手に借りただけなんだ」


 俺の言葉に、アトは大きくその細い首を傾げた。

読んでいただきありがとうございます!

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