番外編:夜鳥について!!
――それでは、少々変則的な形ではありますが。
夜鳥の話を始めましょう。
夜鳥とは別名【雷獣】とも呼ばれる妖怪です。
夜になると雷雲に乗ってどこぞから現れるとか。猛烈な筋斗雲?
ちなみにヌエとは元々トラツグミという鳥の別名なんですが、その鳥と似た不気味な声で鳴く事からそう呼ばれるようになったらしいです。
平安時代。夜鳥はその鳴き声と雷鳴で、ある貴族を恐怖させていたと言います。
あまりの心労に、貴族は不治の病を発症してしまったそうです。
なのでその貴族はたまらず、精鋭の武士たちに夜鳥討伐を命じました。
そして武士が夜鳥の雷雲を矢で射ると――そこから落ちてきたのは異形の怪物。
猿の頭に、虎柄毛に覆われた背中、尻尾は蛇で足は狸、そんな歪な巨獣だったとか(どの部位にどの動物のパーツがくるかは諸説あります)。
夜鳥はそのツギハギの見た目故、性格や行動も一貫性が無いとする伝承があります。
猿のように陽気であったり。
虎のように獰猛であったり。
蛇のように狡猾であったり。
狸のようにのんびりしている事もあったとか。
人で言えば、多重人格と呼ばれるものに近いですね。
怪堂先輩のように、前兆なく、急激に雰囲気がコロコロ切り替わると言う事です。
……まぁ、怪堂先輩の通り名を考えた不良たちが、そこまで夜鳥に詳しかったかどうかは疑問なので……おそらく、怪堂先輩が夜鳥と呼ばれるようになったのは別の理由でしょう。
夜鳥は、雷雲を従え雷獣の異名を取る事とその異形から、妖怪の中でも武闘派のイメージが強いんです。
雷属性と獣属性はカッチョ良いですもんね。
その相乗ともなれば、もはや止む無し。
まぁ、実際にはそこまで武勇猛々しい逸話は無いんですが……。
夜鳥が創作で扱われる場合、大抵が「獰猛で強烈な怪物」として派手に描写されがちです。
怪堂先輩の喧嘩は派手だと聞いたので、その辺りが所以でしょう。
あと、怪堂先輩の髪が虎柄なのも理由のひとつかと。
世間一般だと、夜鳥って虎が主体のようなイメージがあるようですし。
それにしてもあのタイガーストライプの髪……どうやって染めたんですかね?
染めるのもそうですが、手入れもすごく面倒くさそう……。
以上、夜鳥の話でした。