第8話
颯清『……』
兄の方は引いた表情をしていた。
蓮璻『……あの、なんかごめんね…、明楽他のとこも見に行くよ…』
正直いたたまれなくなったオレは明楽を問答無用で引っ張って空へと飛んでいった
蓮璻『…ねぇ明楽、何してんの?』
明楽『さぁな』
答える気ゼロの明楽にげんなりしながらも上空からあの双子が家に無事帰れるまで見守った
蓮璻『純桜寺家って事は、あの子達があと数年もすれば戦うって事だよね』
明楽『そういう事になるな、もしたしたら明日、なんて事も有り得るかもしれないな』
蓮璻『可哀想にね…、死ぬかもしれない戦いに巻き込まれるなんて…、もしかしたら、十にも満たない歳で命を落とすかもしれないなんて…』
明楽『だったらお前が見守ってやるのはどうだ…?』
蓮璻『そしたら明楽も一緒にだよ、あんな怨念こもったもんが無くなったと思った数日後にはいきなりあんなのが出て来てるんだから、無関係ですなんて通用しないからね』
明楽『案外俺の野望の権化だったりな』
くつくつと笑いながらそう話す明楽
蓮璻『何だそれ冗談じゃないよ……、もし仮にあの毒飲ませたらどうなってた?』
明楽『ふむ……、鬼とはまた別のもので、人間ともまた違う、何とも言えないものに成り果ててたかもな、それこそ惰殺の様な……ぁ』
蓮璻『……………』
明楽『……………』
蓮璻『やっぱり明楽、お前が原因だったな!!?』
と、この様に判明した。
だがそれが分かった今でも、どうすれば良いのか分からないのだ。
毒が原因なら解毒剤やら何やらをすれば良いのだが、そうでは無さそうなのだ。
今でも日々戦いながら頭を悩ませていた。
そして颯清と美澪と出会ってから今に至るまで、ずっと見守り続けた。
時には怪我しないようにと戦い方を教えて、時には助けてと、双子が死なぬ様に、と見守ってきた。
もちろん、それは今でも。