第7話
颯清『み、美澪は逃げてお母さんのお父さんのとこ行って!』
美澪『や、やだ…!お兄ちゃんも一緒じゃないとやだぁ…!』
兄と呼ばれたその子は妹を逃がそうと震えてるその小さな身体を張った。
正直オレは驚いた、目の前には見たことがない妖がいて、更にその前には妖、魔物に襲われていた。
なのにまだ幼い子は妹を逃がそうと頑張っていた。
明楽『あっははは、でも逃げても無駄だぞ?俺の方が勿論速いしな』
蓮璻『君本当に空気読めないよね…』
怖がらせるな、と肘で軽くつついたその瞬間、明楽の身体に石がぶつかった。
オレも明楽もビックリして石が飛んできた方向を見ると石を投げたのはまさかの妹の方だった。
颯清『み、美澪…!まず人に向かって石は投げちゃいけないよ…!』
兄の方は顔面蒼白になり更に泣きそうになった
明楽『…っははは!まさかこの俺に石を投げつけるとは!これは驚いた』
明らかに面白がっている明楽、更に怖がらせようとしたのか圧をかけようとするが制した
蓮璻『ご、ごめんね…、まず襲うつもりはないから…ね?』
と、とりあえず手を差し出してはみるが叩かれた
美澪『うるさい妖共め、近寄るな!』
涙をため、涙を流すその目には得体の知れないものに対しての恐怖とそれを上回る敵と見做した者への殺意があった。
またしてもオレは驚いた。
まだ小さな子供がこんなにも殺意を出してくるものなのか、と
子供でこの殺意とは、と圧倒された
蓮璻『ほら明楽が余計な事するから!もー……これ以上近寄らないから……お家はどこかな、名前は言える…?君達を送っていきたいだけなんだ、さっきの敵とはオレ達とは敵対同士だし、ね、?』
その言葉に双子達はコソコソとしばらく話していたが、苗字だけは教えてもらえた。
颯清『…純桜寺です…』
明楽『……何?純桜寺だと…?おいお前ら、さっきの敵について父親、もしくは母親でもなんでも良い、何も聞いてないのか?』
美澪『聞いてない…』
純桜寺家は、昔からある陰陽師家系の家だった。そして、惰殺を昔から退治してきた一族でもあった。
蓮璻『ねぇ、何もまだ聞いてないって事は…』
明楽『巻き込まれた、か……嗚呼そうか、お前らが純桜寺家の…そうか、よくここまで続いたな…』
ジッと二人を見つめる
明楽『よし分かった、そこの妹の方、俺の嫁になれ』
美澪『お兄ちゃん、こいつ頭おかしいよ…』
警戒から軽蔑へと変わり、兄の背に隠れた
明楽『何故だ?人間界には天狗は娘を嫁に迎えると聞いたが…?』