第6話
蓮璻『……あーあ、あれ本人知らないままで良いのかねぇ……』
先程の美澪の様子を知ってか、空からぼんやりと美澪を見つめる蓮璻。
もしこの先戦闘時において、自分が可愛がっている双子の片割れが死んでいくのと、その事に対してもう片割れが嘆く事を想像すると、久しぶりに胸の奥がズキリと痛んだ。
明楽『何を心配しているんだ』
まるで分かっているが、あえて質問した様な言い方と表情の明楽に蓮璻は内心“分かってるくせに”と思いながら「別になんでもないけど〜」と返した
明楽『ふん、まず美澪が、あの双子共が弱いわけないだろう。蓮璻、お前もそれを知ってるだろ?』
蓮璻『知っているよ、何せあの子達の命を助けてあげた張本人だからね、明楽とオレとで』
そう言いながら美澪の姿をまた見下ろした。
明楽がもう何百年かの時に気まぐれで毒を作った。
理由を聞いたら
『果たして人間を従える、もしくは征服、服従させることは可能なのか、死んだらどう反応するのか、どれくらい大変な事になるか』
という何とも馬鹿らしい理由だった。
多分国のお偉いさんを狙ったのだろう。勿論オレは直ぐに止めた、やめろ、と。
頑張って何時間も説得を続けたオレの涙ぐましい努力の結果、なんとか止められた。
昔は結構明楽もアレだった、今じゃ随分丸くなったなと思える。
だがその毒が入った瓶がいつの間にか消えていた。
そしてその数日後、妖界に見たことも無い魔物が現れた。それが惰殺だ。
正直あの毒の瓶と関係あるのかさえ分かっていない、調べる術も無かったからだ。
そして惰殺は今度は人間界にも現れた。
妖だって攻撃されたらたまったもんじゃないのに、今度は人間界にも現れたときた。
だがしばらくして人間界にも惰殺と対抗出来る者達が現れた。
だが時代が移り変わり、その者達、一族は滅びていった。
だが今現在、二つの家が残っていた。
その二つのうちの一つが純桜寺家というわけだ。
14年くらい前の話。
ちょうど今の時期だった、綺麗な桜がどこも咲き誇っていてそれを見る人間達はどこもかしこも笑顔で溢れていた。
いつもの様に惰殺がいないかと上から明楽と捜索していると、子供二人が襲われていて逃げていた。
そしてすぐさま助けると、その子供は双子だった。
1人は男で、泣きながらももう1人を庇うようにしながらこちらを見ていて、そのもう1人は女で、同じく泣きながらも明らかに殺意むき出しにこちらを見据えていた。
それが颯清と美澪との出会いだった。