第5話
美澪『それじゃ、先に行ってきまーす』
家とはいえ仕事は仕事、遅れてはいけないと走りながら向かう。もちろん電車等の公共のものを使った方が速いに決まってる。
一般人なら、の話だ。
生憎こちらはそんな一般人ではないのだ、あの妖と呼べば良いのか魔物と呼べば良いのか、分からないがあの異質な物と戦い始めてからはもう一般人ではないのだ。術を使ったりしてパーっと走った方が早いしお金もかからない。
屋根の上を跳んで走ってとしてた方がもちろんもっと短距離移動出来るが時間が時間だ、そんな事は出来ない、だから道を使い走るしか方法はない。
正直高校時代やらはバレないかとひやひやしたな、と思いながら呑気に今日の晩御飯はなんだろなぁ…と考えながら向かっている途中、ゾクリと背筋が凍ったような気がした。
そして異様な雰囲気が漂った。
…これはヤバイかも、と感じた瞬間背後からの攻撃がきた。
それを瞬時に交わし攻撃された相手を見るとやはりそこにいたのは惰殺だった。
美澪『…こんな朝から、か、…ついてないなぁ…』
そう呟きながら術を使い刀を出す。
美澪『でも良かった、1体だけで』
どこか笑みを浮かべた様な表情で惰殺を見て刀の切先を向ける。
惰殺が美澪を見て“グオォォォォ!!”と咆哮をあげる、
…前に美澪が惰殺の首を落とした。
美澪『だめだよ、うるさくしたら』
惰殺を見るその眼は先程は打って変わって恐ろしい程に豹変していた。ゴミ同然、またはそれ以下のものを見る目だった、そしてどこか憎しみと殺気が混じったような眼だった。
が、惰殺が消えるところりと変わってまたどこかぽやぽやした様な雰囲気に戻り夜御飯は何かなと考えながら社に向かった。
純桜寺美澪という人間の本質はベルセルク,狂戦士だ。
ある意味戦闘時限定の二重人格者とも言えるのかもしれない。
性格はのびのびとして過ごしてきたい平和主義者タイプの美澪だ。
だが戦闘時にはそれが180度ガラリと変わってしまう。
戦闘時間が長引けば長引く程理性はだんだんと消えていく、腕が無くなっても目を潰されても腹を刺され貫通していたとしても、そんなのをお構い無しに闘う、敵を殺す事を快楽,娯楽と感じ闘うだけの狂戦士になる。
この事はもちろん、美澪本人は知らない。