〔IV- 戦争へ 〕
1799年 12月 31日 ロンドン バッキンガム宮殿
「女王陛下...遂にフランスと本格的な戦争へ突入するのですね」
「ええ...最初は王族を救出させる為の戦いだったけれど」
「フランスの新政府は王政の諸各国へ事実上の宣戦布告しているわ...つまりフランス征服の開戦事由が出来たって事ね...」
「兵器は揃っているかしら...?」
「はい、大砲部隊はもう充足しております」
「うん、よろしい...では、海軍は?」
「王立海軍は現在87隻の軍艦がドーバー海峡と地中海に展開しております」
「あと、インド洋と東インドに53隻の軍艦が待機しております」
...
「ドーバー海峡と地中海の王立海軍は本格的な戦争が始まったら、地中海海軍はフランス南部の港を、本土海軍はフランス最大の港、ブレスト港を攻撃するのよ」
「分かりました女王陛下」
「陸軍大臣はいるかしら?」
...
「はっ、こちらに!」
「上陸戦について貴方の作戦を聞かせて?」
「了解しました。」
「現在、これがフランスの地図です」
「海軍がブレスト港を抑えた後、我々陸軍でノルマンディーに上陸し、さらに南フランスのボルドーという都市からも強襲上陸を仕掛けます」
...
「なるほど、よろしい、下がりなさい」
「はっ」
「中央諸国は?」
「参戦してくれるそうです、開戦すれば三正面を相手しなければならないでしょう」
「勝ちましたわね...」
「えぇ、しかし、フランスには指導者がまだいません...指導者次第では...形勢が逆転しかねないこともあるかと」
「分かっているわ、油断は禁物ね」
「下がっていいわ、私は次の仕事に移るわ」
「はっ」
1799年 12月 31日 ロンドン
「...1800年か...もうすぐ...始まるんだな...」
「何を呟いてるんだハヤト?」
......思い出せない...確か史実ではナポレオンは何処で負けたんだっけか...
勝つ訳では無かったのは覚えてる...
「ハヤト!」
「うお!」
「一体どうしたんだよ?」
「あ、あぁ...すまん...」
「なあ、戦争が始まったらグリンダとアストレアも戦うのか?」
「あぁ、僕はもちろん兵士として行くことになるんだろうね...アストレアも、多分騎士に行くだろう...」
「そうか...」
...
「なーに2人で重苦しい雰囲気出してんだよ!戦争になる前にまずその一時を楽しむもんだろ!?」
...お前は...
「あっ、ラスカル! 今日は何してるの?」
「おう、今日は買い出しだ!」
「あぁ、ラスカルさんか」
「おう...お前さんよォ、アストレアお嬢さんと上手くやってっかぁ?」
「え、えぇっ!そ、それは」
「お?」
そんなこと...あ、アストレア...そ、そうだな...
「もうラスカルさん、あんまり冷やかしちゃダメだよ」
「ははっ、まあ、その反応だと楽しくやってるようだな!」
「おっさん...安心したぜ、この年頃になると若いヤツの楽しい顔が見たくなるってもんだ、あと俺の事は呼び捨てでいいぜ」
ラスカル...
「あぁ、ラスカル...」
「ん?」
「ラスカルも、楽しい事一緒にやろうぜ?」
「...おう、やろうぜ」
「じゃ、僕も、もちろん参加させてもらうよ?」
「負けねぇぞ?」
「上等だ」
「僕も弱くないからね?」
「ははっ ...それで、どこ行く?」
「どこ行く?」
「えっ...宛てなかったの? まあいいや、いい所があるんだ」
...これか...
「ビリヤード...」
「そう、ビリヤードだ」
「おういいぜ、多く玉入れたヤツの勝ちだな?」
「あぁ」
「制限時間は5分間と言った所かな?」
「よし、じゃあまず俺から行かせてもらうぜ!」
...
「おぉ、1つ、2つ、次々と入れてる...」
「14つかぁ、まぁ、悪くはねぇな」
「じゃあ、次は僕だね...」
...
「ん、んん!?」
「おぉ、こりゃ驚いたぜ」
「25つ...中々いい所だと思うよ」
「グリンダ、さてはビリヤード得意だな?」
「アハハ、まあ...子供の頃から父とやってたからかな?」
...
「次は俺か...」
よし...
ここの角度から打てば...
まずは1つ... 2つ...
...
「......」
「おぉ、11つか、中々じゃねぇか?」
「ナイスだったよハヤト」
「お、おう...」
フォローなのか...?
...!? 何だ...ロンドンの鐘か...
「さて、女王陛下、始めますか」
「えぇ、始めましょう、フランスの干渉戦争と言う名の征服を......」
「国と国との本格的な戦争.........フランスに宣戦布告よ」