〔XV-オルレアン攻防戦〕
1801年 フランス 中部 オルレアン
怖い...
本当は戦争になんてやったことも無いし...死にたくない
でも...神から授かったこの力を...メリーを救う為に戦う
私がこの世界に来た理由はどうであれ、出会い...託された責任は最後までやり遂げてみせる...!
ルイ国王を...メリーを裏切る訳にはいけない!
オルレアン...ここでは確か...かつて本物のジャンヌ・ダルクが戦い、活躍した場所 そして呼ばれた名が『オルレアンの乙女』
私はその人の名で呼ばれている...
どうか...ジャンヌ様...貴方の力を貸して頂けないでしょうか
私は願う...
また彼女もマリー様やルイ国王と同じ処刑、火刑にされた...
時代はいつになっても変わらず...残酷なのね...
せめて... 少しでも変えられるなら...
私は出る
「貴方がナポレオン・ボナパルトですね?」
その男は答えた
「ええ、どうも 私がナポレオン・ボナパルト、今やフランス第3帝国の皇帝になる者です」
「今すぐこんな事はやめて...政治だって安定させてるし、防災、飢饉にあった町には寄付もしてる...国民の不満は一体何だっていうの!?」
「ええ...そこまでは、です...しかし、フランスには権威...国力...そして領土が足りない、こんな事では他国にいつ攻めよられて失墜するか分からないもの、時には戦って示さなければいけない事もあるのをお分かりでしょう?」
「...!」
私は言葉が出なくなった...時代が時代よ...結局自分だけ平和にやっていけても他の国はそれを利用してどんどん大きくなっていく...競争世界...
私のやろうとしていることが間違っていた?
今まで平和を願い続けた人達の思いは戦争の時代じゃ水の泡...?
無駄...なの...?
「...話は終わりですかね...では...行きましょうか」
「あ...」
「全軍...放てぇ!」
一斉に敵の銃弾が飛んできた...
「司令官!指示を!」
「え、ええ...全軍、放て!」
双方に銃撃戦が始まった
目の前で人が死んでいくのも光景にした...
でも、戦争だから...それも仕方ないの?
仕方ない筈がない...こんなの...ダメ...
私はレイピアを使って敵を倒していく... あの男を止めないと
「ナポレオン...戦いなさい...」
「...来ましたね」
銃撃が鳴り響く中、ナポレオンと私は構える
「...貴方を止める」
「...では私はそれを振り切りヨーロッパの覇者になる事を宣言しましょうか」
「えやぁっ!」
ナポレオンは素早いレイピアを避け剣をすかさず振った
「...ッ!」
リナはレイピアの硬い部分で防ぎ
ナポレオンはまた直ぐに構える
「...やっぱり...慣れないな...まだ...」
「ほう...慣れないとはどういう事でしょうかね、しかしその動き...中々良いと思いますよ...?」
「...あらそう...それはどうもッ!」
「...ッ! ですがこの私に勝てるとでも?」
「...別に...思ってなんていないわ...」
「でも...負けられないの...それがある人の願いだからっ!」
息を切らしながら2人は激闘する
その内に双方も兵力が逆転しつつある
「...ハァ...ハァ...少し長くなりましたか...」
「...私達の兵が勝ってる?」
各戦線では兵達が士気を上げて反撃していた
「これはジャンヌ様の加護である!」
「おぉぉおおおお!」
「我らはもう恐れん!」
「反逆者共に天罰を!」
敵は徐々に押し返されていく
「な、なんだあいつら...士気が上がってやがる...!?」
「まずいですナポレオン皇帝陛下!」
だがナポレオンは焦ってもいなかった...
「...ここまでは想定内です、出来ればオルレアンでも勝ちたかったですが...仕方がありませんね、後退して前線を引き直しましょう!」
そしてナポレオンは軍隊を率いて撤退し始める
「あっ、ちょっと!」
「勝った...勝ったぞ!」
味方の兵達はナポレオンの撤退に歓声を上げた
しかし、直ぐにその報告は来た、リヨンが帝国側に寝返り中央部が突破されたのである
さらにパリでも反乱軍が湧き結局勝っても王国側はボロボロになるのだった
「中央が突破され...パリで反乱軍!?」
嫌な予感がする...
「...ごめんなさい...私は直ぐにパリに戻ります!」
私は現場を臨時指揮官に任せて直ぐにパリへ急いだ
メリーが危ない...反乱軍なんかに見つかれば何されるか分かったものじゃない...!
ベルサイユ宮殿は既に反乱軍に占領されていた...
...そんな...
メリー...
私はその怒りのままにベルサイユ宮殿を占領していた反乱軍を全滅させていた...
だがメリーはいなかった
何処なの...メリー、何処へ行ったの?...
1801年 イギリス ロンドン バッキンガム宮殿
「あら? それ本当なのかしら?」
「ええ、本当だそうです」
「フランスは大変ねぇ...でも、帝国側が勝てば恐らくは...」
「はい、また...戦争でしょうか」
「...困ったものね」