〔XII-道中に〕
1798年 山道地
「困ったわ...ガール県の中心街まで行かないといけないなんて...」
私は馬車に乗ってフランスの主要都市...リヨンに行くの
時間を遡ること1時間前
1798年 カストレ村 商店街
「え...ここじゃもう売ってないの?」
「そうなんすよお嬢さん...今小麦はちょいと収穫に苦しんでてねぇ...リヨンの街まで行かないと小麦は難しいでさぁ」
「...分かりました...ありがとうございます...」
結局メリーも置いていく訳には行かないから...
連れてきちゃったわ...
そう言えば...住まわせてもらってる主人から剣を預けられたわね
「え?お前さんリヨンに行くのかい?」
「はい、なので...多分そこで泊まる事になると思います」
「そっかぁ......ちょっと待ってな」
そう言うと主人は倉庫から何やら剣を持ってきた
「え、あの...これは...」
「最近山賊やら物騒な輩が多いからこれを持って行きなさい」
「でも...そんな...これは主人の物じゃ...」
「いいよいいよ、それに何かあったらどうやってメリーちゃんを守るつもりだい?」
「...」
確かに...格闘技や柔道なんて全く習ったこと無かったし...
そうよ...
...私が守るきゃ誰が守るの!?
「分かりました...ありがたく受け取ります!」
「お...う、うん...」
何とか馬車も確保出来て...このまま無事にリヨンまで辿り着けるといいわね...
馬車
ガタンッ
馬車の止まった...どうしたのだろう?まだ出発してそこまでは経ってないはず...
私は外を見てみた
「おい、そこの馬車...止まれ...」
「ん?何だ君達は...」
「ハッハッハ...知らねぇのか? ここいらじゃ俺達有名な山賊なんだけどなぁ...」
「俺達はここいらで暴れ回る大組織 『Griffe de Loup』だぜ? 覚えときな」
あんまりネーミングセンスないわね...
「さあ、さっさと金目の物を出しな?」
「ふん、ある訳ないだろう、とっとと去ってくれ、こっちは急いでいるんだ」
「おぉう?何だその口...貴様ァ...ナメてんじゃねぇぞッ!」
「...ッ!」
「なっ!?」
「...俺はそこらのチンピラに負ける程...伊達に鍛えてねぇんだ...」
「うわっ...」
つ、強い...
「て、てめぇ!」
「...っ」
次の男が殴り掛かれば、その次の男は倒れていく...
...
「貴様...覚えてろよっ...ボスにかかれば町一つ握り潰せるんだからな...」
そう言うと次々と男は去っていった...
馬車の人は尋ねた
「大丈夫ですか?お怪我はありませんでしたか?」
「あ...だ、大丈夫です」
メリーは馬車に乗りながら寝ている...よくまぁ気付かないね...
「先程はお見苦しい所をお見せしましたね、申し訳ございません」
「いえ、そんな...貴方は...お強いのですね、守って頂きありがとうございます...」
「いえいえ、客人を守るのも仕事ですから構いませんよ、では、時間を取らせた分、リヨンに急ぐとしましょう」
休息も無しにリヨンへ急いでくれた...感謝が足りないかもね...
「ん? メリー...起きたの?」
「ん...お姉ちゃん...リヨンまであとどれくらい...」
「もうすぐよ...」
「やった...楽しみ...」
寝起きだからなのか少しボーッとしてる...
30分後、私達は無事にリヨンへ着いた
1798年 フランス中部 リヨン
「着いたわ...」
「お姉ちゃん、リヨンの街も大きいね!」
「うん!」
前の世界じゃフランスなんて行けなかったのに...まさかこんな早くに叶うとも思わなかったなぁ...
まあ面倒な事に巻き込まれてるのもそうだけど...
リヨン広場
「うん...あれは...」
ハッ...革命軍だ...
「我々は王政を打倒した!ルイ16世やマリーアントワネットはもう我々の君主では無い!」
「おぉー!」
「1ヶ月後、ルイ16世とマリーアントワネットの処遇の投票を行う!」
「国王として有罪か無罪か、罰を下すか解放か、如何程の刑罰に値するかだ!」
街に来てるって事はいずれマルセイユにも来るのでしょうね...
その時は...
「メリー...頭にちゃんと被っておきなさい、貴方は王族ですから...」
「うん、お姉ちゃん...」
そして私はそれを小声で口にした...
「...絶対に...守ってみせる...」
そして、リヨンで色々買って、私達はそこで一泊することにした
「メリー...今日は楽しかった?」
「うん、お姉ちゃんと一緒に色々回れたから楽しかったよ!」
「良かった...」
メリーといると私も少しだけ疲れが取れる気がする...
こういうのは...癒しって言うのかな
「メリー...そろそろ寝ましょう...」
「...うん...眠いから寝るね...」
「おやすみ...」
そして...私達は朝からリヨンを出る事にした
その道中は特に山賊も現れることなく...
突如...また馬車が止まる
今度は一体何だろう...
すると、ドアから馬車の人が尋ねた
「...お客さん...ちょっと良いですかい...?」
「はい」
「あ、あの村が...目的地で宜しいのですよね...」
そう、振り抜いた先私の目に写ったのは...
「えっ...」
町が... 燃えていたのです