〔X-講和会議〕
1800年 フランス パリ
フランスの首都、パリでは抗議やデモが起きていた
「こんな戦争...民が苦しむだけだ! どの道勝てる訳がない」
「今こそイギリスと中央諸国に講和するべき!」
フランス 臨時国会議事堂
「...そろそろ住民も限界か...この戦争...実質的には負けじゃな...」
「...そうですね...イギリスとの講和を持ち掛けてみましょう」
その他閣僚達も特に意見は無かった...このまま行っても余計に国民の被害が増すだけ...それ以上行けばまた革命が起きるからだ
1800年 イギリス ロンドン ウェストミンスター宮殿(国会)
「フランスが講和と?」
「はい、通信者がこちらに来て話しました」
「...女王陛下にも知らせよ」
「はっ」
そう言うと一人の閣僚は出ていった
「ここで講和ですか」
「まあ、何よりフランスが厳しいのだろうな」
「この状態で講和すればイギリスは得する方が大きい」
「まず、賠償金と...パドカレー、ボルドーの割譲だ」
「旧イングランドの領土ですね!」
「あぁそうだ」
「でも、それならなぜボルドーではなくノルマンディーを選ばないのですか?」
「ボルドーの方がイングランド統治時代の名残もあってな、そちらが統治しやすいと考えているのだ」
「なるほど」
「さて、私共もそろそろ講和会議の準備をするとしよう」
「はい」
ロンドン バッキンガム宮殿
「フランスと講和ですって?」
「はい、そろそろここらで講和しても良いかとは存じますが?」
「そうね、早速準備するわ、行くわよ?」
「やけに清々しい程早く決められるのですな」
「まあ...別にそこまでフランスに懲罰がしたい訳じゃないのね」
「左様で...ございますか...」
「ええ...」
パドカレー県 カレー
アミアン攻防戦は勝利し、それから2日目になった、ある時報告が届く
「え?パリに?」
「そう...フランスが講和したのよ、モーデル公爵と一緒に私達も行くことになったの、貴方は私の護衛みたいだわ」
「ご、護衛か...」
「さ、もうすぐ始まるのよ、支度は出来た?」
「あぁ...出来てるよ」
フランス パリ
「え? フランスと講和? 早くないかしら?」
「まあ、フランスがこのまま劣勢だったのもな...それで、あの件はどうする? 今なら王女を立てて国を変えることができるぞ」
「でも、この子は小さいじゃない、内政や外交なんて殆ど無理よ」
「そこはほら、君の出番でもあるんだジャンヌ」
「私はジャンヌじゃないとあれ程...私が...やるの?」
「あぁそうさ」
「はぁ...仕方がないわね...国会に行くわよ...」
「メリー、貴方大丈夫?付いてこれるかしら?」
「うん、リナお姉ちゃんならどこへでも行く!」
「...ありがとう...」
「貴方は...何者なの?」
「いやぁ、俺はただの一般通行人さ...(カトリック教会の使いだがな...)」
パリ 臨時国会議事堂
「では、これより講和会議を開く...」
あれがイギリスの女王...
「では、戦勝国から」
「はい、我々イギリスは賠償金600億と、パドカレー、ボルドーの割譲を要求します」
「...く、中々大きいな...」
「我々中央諸国からはアルザスとロレーヌ、ブルゴーニュを返還させてもらおう」
「...」
「文句は無いな? 敗戦国だからな」
「......クソっ...」
「ここまでは仕方がありませんね...」
黒髪の女性が口を開いた
「...!? 貴様は...マルセイユの聖女...黒髪のジャンヌ...」
「...はぁ...まあ、名前はそれでいいですよ...もう」
「黒髪のジャンヌ?」
「では、私からも1つお願い出来ますか?」
「ほう?」
「よろしい、申してみよ」
「この子を新しいフランスの女王に上げます」
「なんと!?」
会場中が騒然とした
「静粛に!」
「その子はまだ小さいではないか」
「それは...私がこの子を守るだけです」
「つまり、サポートすると...」
「ええ」
「だが、それは君が女王になれば良いのでは無いかね?」
「いえ、この子は...ルイ16世の娘、正当なる王位継承者です!」
「なっ!?」
さらに会場中が騒然としだす
おいおい、こりゃどうなるんだよ...
「ルイの娘はまだいたのか!?」
「隠し子!?」
会場中がザワザワとしていた
「静粛に!!」
会場はそこから黙り返る
「この子は...きっとフランスを良くしてくれるはずです...良い子なのです...」
「ふむ、とりあえず、驚きも隠せないが...そうだな...」
「フランスには新たな王族を立てるとしよう...」
「...」
「リナお姉ちゃん...?」
「私が支えてあげるわ...大丈夫...」
1801年 フランス パリ コンコルド広場
パリ講和会議から一年後
「こんなの認められる訳が無い...」
そう、賠償金とかなりの領土割譲にフランス国民は怒りと悲しみを覚えていた
ナポレオンは、軍役から帰ってきた所に偶然その情報を耳にする
「新たな王が立つのは知っていたが... しかし...このフランスのままでは落ちぶれている...いつかフランスは消滅するぞ... やはり」
そう、彼は動く
「私はフランスの為に戦う...そして、イギリスや神聖ローマに思い知らせてやろう...」
フランス第三帝政がフランス第二王政に宣戦布告する