4話
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「じゃあ、先学校行ってるから」
「あ、ちょっと待って!私も行く!」
高校生活2日目。
今日も真奈と一緒に登校している。
というか日直がある日以外は毎日登校することになるだろう。
「なぁ、真奈。何でわざわざ俺と登校するんだ?中学一緒だったやつは一応居るんだろ?」
「えっ?」
マンションのエレベーターが丁度4階を通り過ぎる時に俺は聞いてみた。
「いや、まぁ、その…」
「?」
真奈は答えを出すわけでもなく、たまにこちらをチラっと見ながら、モジモジしていた。
「えっと……そ、それはーーー」
ピローン♪
しかし、その話は2階で乗ってきた女子生徒遮られる事になる。
その女子生徒を見ると、西高の制服だった。しかもリボンの色からするに2年生。先輩だ。可愛い。
こうゆう時挨拶をするべきなのか?
高校は中学よりも上下関係が激しいと聞いたことがある。しかし、それは部活動での話なのだが……。
正直わからないので、お辞儀をしとこう。
「」ペコッ
俺は少しぎこちなく、それでもって詫びるように小さく頭を下げた。
「」ニコッ
おぉ、何か笑顔で返された。
…しかし美女の笑顔というのは良い。
真奈で見慣れてるはずなのだが、真奈と違い小悪魔っぽい笑顔は、少し来るものがある。何がとは言わない。
「」ツネッ
「っ!!……(痛てーよ!)」
「」ムスッ
俺が先輩に見惚れていたら、突然真奈が俺の腕をつねってきた。しかも爪を立てて。
「(なんだよ)」
「(な、なんでもない!)」
1階へ降りると先輩の友人らしき人が
先輩を待っていたそうで、そのまま先輩は2人で登校していた。
「真奈。何で怒ってんだよ」
「べ、別に怒ってないし!」
んな事を言ってるが、あからさまに不機嫌だ。言い方もいつもより刺がある。
「はぁ……何か知らんけど、俺が悪かったよ。なんでもするから機嫌直してくれ。」
「ん?」
「あ、やべ」
まずい、つい反射的に言ってしまった。言われた真奈顔は、怒りを忘れているようで、少しニヤついている。
「今なんでもするって言ったよね?」
「え、いやあの…」
「言ったよね?」
「あ、はい…言いました…」
怖い。笑顔で言われると怖さに歯車がかかる。
…一応保険をかけておこう。
「お、俺の出来る範囲でな!」
「ふーん。」
そう言うと、真奈は歩きながら見たことも無い真剣な顔で悩み始めた。
「じ、じゃあさ!そ、その……今日だけでいいから……が、学校まで、手繋いで欲しいな…」
「えっ?」
真奈が歩くのを止め何をお願いするのかと思えば、手を繋ごうって…。
流石に真奈でも、手を繋ぐのは恥ずかしい。
「流石にそれは……ほら他の人の目もあるし…」
「だ、ダメ?」
「うっ…」
女子に上目遣いなんてされた事ないから分からなかったが、…実際にやられてみると凄い破壊力だ。
余り身長は変わらないはずなのに。
「わ、分かったよ。何でもするって言ったのは俺だから!」
「ほ、ホントに!?」グイッ
「う、うん。だからちょっと離れて…」
急に俺の至近距離まで近づいてきた。
もう少しで唇と唇が触れてしまいそうな距離だ。
「ご、ごめん……じ、じゃあ…はい」
「うん」ギュッ
手を繋ぐ……というよりは握ると言う方がこの状況を表すのに相応しいだろう。真奈の白くて小さく、そしてさらさらな指が、俺の左胸にある鼓動を早くしているのが分かる。
そうすると真奈は、これでは満足出来なかったのか、お互いの指を1本ずつ絡めるように握ってきた。
いわゆる恋人繋ぎだ。
「あ、あの真奈さん?恥ずかしいんですけど…」
「う、うるさい!わ、私だって恥ずかしいよ!」
真奈の顔を見てみると、耳を赤くして伏し目になっていた。
……今日は人目の付かない道で行こう。
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