第3話 クレア先生の魔法講座
クレアによる魔法講座は人の目を気にしなくてすむ自室で行うことになった。キングサイズのふかふかのベットの上に向かい合って座る美少女と猫は中々にシュールである
クレアは教鞭の変わりなのか尻尾でぺしっとベットを叩く
「まず、魔法を使うには魔力がいる。これは分かるよな?」
「はい!」
「ぶっちゃけ生き物であるならばどんなに僅かだろうと魔力は持ってんだ。その辺の草とか虫とかな
だが、あまりにも魔力が少なかったりマナとの相性が悪けりゃどんなに努力しようが無駄だ。残酷なようだが、それは生まれ持った物による」
クレアは残念そうに溜息をつく。確かに魔法が使えるのは便利だろうが、誰も彼もが使えたらそれはそれで大きな問題が起きそうだ
「質問いいですか?」
「いいぜ」
「先程マナと言ってましたがどういう物なんですか?ファンタジーとかでは良く聞きますけど…」
「当然の疑問だな。マナってのは空気みてぇにそこら辺にあるが見えねぇ魔法元素。でもって魔法を使う為に必要不可欠な通り道なんだ。魔法を行使するには魔力がいる。でもってその魔力を魔法という現象として作用させるのがマナで。あ~…こういう説明って苦手なんだよなぁ……」
「簡単に言ってしまうと、魔力は食材でマナは調理器具、その2つを上手く使って出来た料理が魔法って感じですかね?」
「それだ!」
クレアは尻尾をピンと立てる
(若しくは、銃とかですかね?魔力が銃弾、マナが銃その物、魔法はその2つが上手く融合したときに撃てるとか?)
一瞬この例えも言おうかと思ったが料理の方で納得してるならこれでいいかもしれない
「で、魔力についてな。魔力は人によって容量が違うって事ぐらいの説明しか必要は感じねぇな。血縁者なら魔力の質は似てたりするが容量までは違えから絶対に遺伝するわけでもねぇし、何の変哲もねぇ村人だろうがすげぇ魔力を持って生まれる事もある。結局は本人の生まれ持った資質次第だ。………これは魔法のほうで話すが他に言うとしたら属性ってのを持ってるってことだな」
「でもって魔法だ。魔法には属性ってのがあって一般的なのが火、水、土、風、光、闇の6つだ。今言った順にその属性持ちは少ねぇ。ま、火とか水は身近なものほど使える奴は多いってことだ」
「ほほう、光や闇属性が少ないとはよくある設定ですね!」
「だろう?……で、これ以外には無属性魔法ってのになるな、例えば血族、又は本人だけ使える固有魔法とか、空間魔法、治癒魔法、結界魔法…は場合によっちゃ空間か?まぁいいか。……つかよぉ、色々説明はしたが重要なのはぶっちゃけ想像力だかんな。大体、おめぇはどうせ全部出来んだから説明しかくてもいい気がしてきたぜ」
やる気をなくしたのかぐで~と伸びながら欠伸をしている。見た目だけじゃなくて性格まで猫そのものだ
「?私全部出来るんですか?」
「転生前に魔法に関する適性と膨大な魔力をやるってあの爺さんが言ってただろ?本来なら無茶苦茶な魔法だとしてもお前ならそう問題なく使えるだろうよ」
想像よりも物凄いチート能力を貰っていたようだ
「想像力が重要というは?」
「料理で例えるとだな、」
(その例え気にったのかな?)
「料理を作んのに献立を考えねぇ馬鹿はいねぇだろ?頭の中には料理の完成形があって、そこに至るまでの手順もある。魔法を使うのも本来なら同じなんだよ。魔力の使い方も練習はいるだろうが、こうしたいからこれをこうするってイメージがちゃんと浮かんでなけりゃマナも理解出来ずに結局は失敗ってなっちまう」
「マナはイメージを魔力を使って実現する装置でもあるということですかね」
「頭良いから察してくれて助かるぜ。お前、前はイラストレーターとかいう仕事してたんだろ?なら、想像すんのは得意だろ。それを絵にしてたんだから」
クレアの言う通りだ。本を読んではこういう感じかなと想像しては絵に描いて遊んでいた幼少期。イラストレーターになってからはその技術も高くなったと自負している。わくわくとした気持ちが溢れてくる
そんなセレナティアの気持ちがわかったのかクレアは仕方ないなというように肩を竦める仕草をする。……猫なのに
「まずはマナを見ることから始めるか」
「え?マナって見えないんじゃ…」
「普通はな。が、お前は普通じゃねぇだろ。魔法を行使するにはマナを通すって言ったろ?それはどんなに小せぇ魔法だろうが例外じゃねぇ。それを自分の意志で見えるように出来れば色々便利だ。それだけマナに干渉し易いってことだからな。精霊とかも見やすいぜ」
「へぇ…そうなんですか」
「んじゃ、行くか」
「何処にです?」
腕の中に飛び込んできたクレアを咄嗟に抱きとめるながら疑問を問う
クレアは健康的に湿っている鼻を自慢気にヒクヒクさせるとニヤリと笑う
「習うより慣れろってやつだ!」
この説明でわかりますかね……