表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/4

桃川一子のご趣味

 最初は気に喰わないって思ってた。

 私と正反対のあの子が羨ましくて、妬ましくて、だからつい、あの子の婚約者とかいう男と仲良くなってみた。

 これで少しでも気が晴れたらいいって私とテストで同点一位だった彼の闘争心を煽って一緒に勉強して、偶然街で会ってライバルみたいな感覚で話をしながらお互いを知っていった。



 そしたら、本気で好きになってた。

 私の持ってないものを全部持っているあの子の顔を少しでも曇らせてやろうとか、嫉妬であの可愛い顔を歪ませてやろうと思っていたんだけど、それでも、私は史四朗の事を本気で好きになって、あの子から史四朗を奪い取ってやりたいって思った。

 それもやっぱり嫉妬だけれど、それでも、私は史四朗を放っておいてそれでも婚約者である事が当たり前だって思っているあの子が、どうしても気に喰わなくて、多分恋愛感情も混じって余計に拗れちゃったんだと思う。

 婚約者なのにあんまり話しているのを見た事もないあの子の鼻を明かせてやろうっていう気持ちも多分半分ぐらいあった。

 だから、卒業パーティーなんて人が多い所で婚約破棄を史四朗にさせたのだ。



 でも、あの子は、皆川乃乃は、今まで見た事もない表情で私たちに婚約破棄を言い渡した。



「貴方は一緒の時間を過ごせる人と幸せになって。私も、頑張って貴方たちみたいに一緒にいたいって思い会える人を見付けるから」



 そう言って普段のゆるふわ系で可愛いとしか言えない表情を大人っぽい、全てを包み込む様な笑みを浮かべて乃乃はパーティー会場を立ち去った。



 私、あの子が本当に気に喰わなかった。

 私は背が高いのとキツメで大人っぽいってよく言われる容姿がコンプレックスだった。

 胸が小さいのも、実はコンプレックス。っていうか、多分これが一番だと思う。

 だからあんなに小さくてかわいくてふわふわでロリ系っていうかアイドル系っていうか本当に可愛いくせに胸がデカくて声も可愛くて色々とお稽古やってたり色々と鼻に着くけどそこも可愛いのが本当に憎たらしい。後やっぱり胸がデカいのがむかつく。

 私なんて小学校では学芸会で絶対に王子様役をさせられてたのに。女の子たちにキャーキャー言われてたのに。あの子は何でお姫様役をみんなに推薦されている!本当に憎たらしい。可愛いけど!



 とか思っていたんだけど、あんな表情で会場を去って行ったあの子を見てしまえば、口から零れる言葉を抑えきれなかった。



「抱いてっ!お姉さま!」



 私、桃川一子の隠れた趣味。宝塚の追っかけである。

 ちなみに私は男役の人にキャーキャー言ってるタイプなのである。



 だからあんなにお姫さまっぽいかんじの乃乃があんなにお姉さまと呼ぶのに相応しい人だなんて思わなかったから、こんな事を言ってしまったけれど、大丈夫よ?史四朗。私別に貴方に飽きた訳じゃないから。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ