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episode:21『動き出す者達』

データの断片に過ぎない俺達は、やがて必要なくなれば消される



消される?


俺達は確かにここで生きている


なぜ消されなきゃならないんだ


生きている俺達を消すってことは俺達を殺すってことか?


冗談じゃない!




 これまでの東方四神伝


 幻想郷での戦闘の決着は幻想郷の崩壊という結果で終わった


 残された幻想郷の人々は散り散りになり、少数の自力で集まれない者をチルノとレミリアが回収していく


 そして博麗神社にいた天狗達は外の世界へ飛ばされ、現地の人々と再会を果たす


 一方、幻想郷の根幹を揺るがす事実が発覚


 幻想郷とは人為的に作られた架空の電脳空間であること


 幻想郷の住民は学校の関係者であり、電子的な催眠を受けていた可能性があるということ


 そしてついに、すべての戦いに終止符が打たれる


 


SIDE:飛風銀牙


「手詰まりかなぁ」


 外の景色をぼんやりと眺める銀牙がふとそんな事を口にした。


 暇をもて余して部屋の掃除をしていたはたてがその手を止める。


「いつまで缶詰めを続けなきゃならないんだろうな」


「でも色々試しているんですよね」


「……。」


「えちょ、まさかもう打つ手無し? ですか……まだそんなにやってないのに」


 唐突に上下関係を思い出したはたては吐きそうになった暴言を押し止めた。


 天狗は上下関係が厳しい。


 目の前で椅子にふんぞり返る銀牙は一応は天魔直衛の忍天狗のリーダー。


 こんななりでも事実上天狗のナンバーツー、はたてから見ればはるか上の上司だ。


「あーいいよいいよ、俺は気にしないから。こういう緊急事態だし、それに俺はそういう古くさい風習が嫌いなのよ」


「そんなことでよくナンバーツーなんてやってられるわね」


「あ? んなもんお偉方の前ではいい子やってるからに決まってんだろうが」


「あきれた」


「でもよ? みんな大好き天魔様も似たようなもんだぜ?」


「え?」


「実はあいつはな、俺や綾音、彪奈の同期なんだ。まあ飛び抜けて優秀ではあったがな。俺をナンバー2に据えて以降人目がなくなるとすぐに愚痴りだすぞ」


「ええええ!」


「声でかいって。助けたやつ寝てんだろ」


「そうだった……」


「早く戻らないと、あいつうるさいだろうなぁ」


 そこにエカチェリーナとロッテが書類を持って入ってきた。


「あれ、少ないわね」


「彪奈と綾音、文はパトロールと物資の捜索で外、椛とナハトは助けたやつの所だと思う」


「外に出た三人を呼び戻してくれないかな。ちょっと気になる物が見つかってね」


「ん、わかった。ってことだ彪奈、今すぐ戻ってくれ」


 出しっぱなしにしていた忍天狗専用の通信機を付けて呼び掛ける銀牙。


 応じた彪奈は見つけた缶詰めを持ってきたカバンに収めながら文と綾音の方を見る。


「お母さん、こっちは4つありましたよ」


「あらあら」


 二人は昔に失われた過去を今取り戻しているのだ。


 彪奈はそれを出来ることなら止めたくはなかった。


 綾音は異変によってこの世に紛れ込んだ過去の人。


 だからこそ必ず、どこかのタイミングで別れは来る。


 ずっと一緒にはいられない。


「二人とも、銀牙が戻ってこいって」


 仕方なく彪奈は二人に声をかける。


「はーい」


 二人とも返事をしてカバンの中の缶詰めをガシャガシャいわせながら走ってきた。


「お待たせ彪奈、行きましょうか」


「ええ。あ、そうだ文ちゃんちょっと」


 彪奈が文を呼び止める。


 文はきょとんとしていたが綾音を先に行かせて残った。


「…………文ちゃん……わかってるよね」


 切り出しにくかったが、彪奈は意を決して話しかける。


「何をですか? 早く行かないと銀牙さんが……」


「文ちゃん、綾音はもう、この世にはいないのよ」


 つらいが、いつかは誰かが話さなければならない。


 彪奈の言葉に文の表情が一気に曇った。


「わかってますよ……そんなこと……」


「文ちゃん、つらいのはわかるわ。私と椛もあの日両親が帰ってこなかったから。でも……」


「…………。」


「今は幻想郷に戻るのが先決だけど覚えておいて」


 彪奈は一飛びで建物に登ると、文を手招きする。


「戻りましょう、銀牙が待ってる」






SIDE:飛風銀牙


「さて、全員揃ったわね」


 最後に文が部屋に入ってきたのを確認したロッテは一枚の写真を机に出した。


「これって唯一壊されてなかった背の高い建物ね。私が撮った写真じゃん」


 はたてが写真を取って自慢げにヒラヒラさせる。


「ここからが本題。ナハト、北はどっちかしら」


「この建物は東向きに表の入口があります。なので北はマスターから見て真正面です」


「そう、本来であればそうなんだけど」


 ここでロッテは糸で吊るした棒磁石を持ってくる。


 しばらくはくるくると回っていた棒磁石だったが、やがて赤いN極が銀牙を、つまりロッテから見て左側をさして止まった。


「あれ、違う方向向いた?」


「実はこれ、その写真の建物向いてるの」


 ロッテは真剣な目でさらに続ける。


「以前アヤ達がここに来たときに少し気になったことがあったんだけど、そっちの世界に繋がるゲートが開いた時もこんなことが起きてね。私の服に付いてたとれかけのボタンが引き寄せられて吸い込まれちゃって」


 ここで文があっと反応してポシェットから銀に光るボタンを取り出した。


「もしかしてこれですかね。幻想郷に着いたとき拾ったんだけど」


「やっぱりそっちに飛ばされてたのかぁ。それ、磁石にくっつく金属でできてるんだよ」


 ロッテはボタンを受けとると、磁石にくっ付けて見せた。


「っつーことはだ、その長細い建物に行けば幻想郷に戻れるのか? なら俺達はさっさとここをおさらばするとしようぜ」


「可能性としてはね」


「でも不思議ですね。近くにあるならわかりますけどそのビルはけっこう離れてるし、そこまで強く反応するってことは異常なまでに強力な磁力がそのビルにかかってることになります」


「確かにそうね。でも今のところ他にあてはないんだし、行ってみれば何かつかめるんじゃない?」


「決まりだな、俺もあまり動かないでいるとまじで身体が凍り付きそうだ。今日1日ゆっくり休んで準備を整えよう。つうわけでシャワー一番に使わせてもらうぜ」


 それだけ言い残して銀牙は階段を上がって二階に消える。


 他のメンバーもそれに続いて各々の部屋に入っていった。


「マスター、一つだけ頼みがあります」


「いいよ、みんなについていって。あとカチューシャも」


「私も? ゲホッ」


 缶詰めの肉をフォークでつついていたエカチェリーナがいきなり名前を呼ばれてむせる。


「それだとマスターの警護は誰が! 遼はまだ動けないし……」


「大丈夫よ。付いて行って戦闘になったらまず私は足手まといだし、戦力は一人でも多い方がいい」


 ナハトとエカチェリーナがぽかんとする中、ロッテはあくびをしながらさっさと部屋に引っ込んだ。


「じゃあ二人とも今日はお疲れ様。いつも夜遅くまで起きてるんだし早く寝なさいよ? 特にナハト」


 ばたんと扉が閉じて、リビングに二人が取り残された。


「で、どうする? 死神さんよ」


「どうするもこうするも、多分こっちの意見は通らない。どうあっても二人とも送り出されるだろう」


 遼を叩き起こすとか言う案も出たが、それはさすがにナハトによって却下された。


「あーもういい! 明日の事は明日考える!」


「そうだね。そうしよう」


 エカチェリーナが部屋に戻ったのを見てナハトは階段の方を見やる。


「彼女はもう部屋に戻りましたよ。Mr.ギンガ」


「普段のエカチェリーナなら平気なんだが。ああいう性格の女は苦手でねぇ。悪いな」


 銀牙はタオルを一つ抱えて階段をゆっくりと下りてくると、キッチンで冷やしていた緊急用の水のパックを取り出して飲み干す。


 そのままの足でシャワー室に向かって扉を閉めた。


 カフェキャッツテールの周辺何軒かは飲食店が並んでいた関係か、水を汲み置く専用の設備を持っている。


 家の主がいない今その水を無断で使うのは忍びないが、文達がこちらの世界に来た時以来ロッテが親しくしているため問題ないとの事だ。


 銀牙が蛇口を捻ると、少し間を置いて水がシャワーから出てくる。


 だが水も有限だ。


 ある程度水を浴びて汗を流すと、銀牙は蛇口に手をかける。


 その時。


「こいつは……血?」


 蛇口から出る水がいきなり血に変わった。


 いくら蛇口を閉めてもどくどくと溢れだしてくる。


「なんだよ……っ!」


 血にまみれた手を見てうろたえてると、不意に背後に誰かの気配がして、後ろから目隠しをされた。


『だーれだ?』


 その声に聞き覚えはある。


「何のつもりだ。楠葉」


 銀牙が生まれた年はその前後で6人の天狗の子供が生まれ、この世代は天狗の感覚では特異な世代となっている。


 その6人とは銀牙、現在の天魔、綾音、彪奈、綾音の夫、そして楠葉である。


 楠葉は6人の中では一番の年長者。


 他の5人の姉貴分だった。


「なんであんたがここにいるんだよ。あんたはあの日、暗夜天の起こした異変の日に死んだはずだ」


 楠葉は目隠しを取ると、銀牙を後ろからぎゅっと抱きしめる。


 柔らかい感触が背中に押し付けられ、銀牙は思わず顔を赤らめた。


「あらあら、忍天狗のトップともあろう人が照れちゃって。フフフ、相変わらず女には弱いのかな?」


「……。」


 銀牙は無言のまま楠葉と思われる物を振り払おうと身体に電気を帯電させる。


「っ!」


「いい加減にしろよ! この……」


 振り向きざまに罵声を浴びせようとしたが、楠葉の姿を見た瞬間身体が凍り付いたように動かなくなった。


 長い黒髪はいつのまにか足元を覆い隠し、白い肌をより強く引き立たせている。


 それよりも異常なのはその身体の腰から下が何かに噛みちぎられたように無くなっていること。


 怯える銀牙に楠葉はにたりと口を緩ませた。


「どうした銀牙? なんで顔を背ける」


 足元の髪が銀牙の身体を縛り付け、楠葉の身体が再び銀牙に接近する。


「ほらこっちを見ろ、飛風銀牙。これがお前の犯した罪だ」


「やめろ……」


「あの日、お前は私を見捨てた。お前の責任なのだぞ?」


「違う……違う!」


「何が違う? 現にお前は生きて、私は化け物の胃の中に収まった。お前が生きているのが何よりの証拠だ!」


 急に語気を荒げる楠葉の口から血が飛び散る。


 その血は銀牙の顔にかかり、赤い線を描いていく。


「俺はあの時……」


「黙れ! 黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ! 殺してやる。お前にも同じ苦しみを与えてやる!」


 巻き付いた髪がギリギリと銀牙の首を絞めていく。


「が……」


 急速に遠退く銀牙の意識。


 さっきからずっと流しっぱなしの電気も段々と弱まる。


(ここまでか……)


 抵抗の手を緩めようとしたその時、楠葉は苦悶の表情を浮かべた。


 目は血走り、怒りと苦痛に顔が歪む。


「銀牙は逃げたわけじゃない。あの日、私達は緊急の招集がかかって空間転送で強制的に山に帰還させられた!」


 博麗のお札を握り締めた彪奈の拳が楠葉にめり込む。


「ゲホッ、ひ、彪奈……」


「銀牙は命令違反を覚悟で転送先の山から楠葉のいた場所に戻った! 楠葉を見殺しにしたわけじゃない!」


 お札の効果でだんだんと消滅していく楠葉。


 彪奈は銀牙を抱えてシャワー室を飛び出した。


「彪奈、なんで……」


「いるはずのない楠葉の妖力を感じてね。かねてから霊夢に『あんたの上司には何かが憑いてる』って聞いてたから急いで来たの」


「ゲホッ……当たりだ。やっぱお前はあてになるな」


「どうでもいいですけど、早く服ぐらい着てくださいね。風ひきますよ」


 まだ動けない銀牙を寝かせると、その上からタオルをかけて立ち上がる。


「さてと、色々話したいことはあるけど」


『おのれ……おのれおのれおのれ!』


「さあ楠葉、これで最期よ」


 もう一枚の札を取り出して拳に握り込む。


 そのまま目にも止まらないスピードで正拳を 繰り出して楠葉の胴体を貫いた。


「あの日から、私も強くなったんだよ。能力を使った回復だけじゃない、私だって戦えるだけの力は付けてきた。この拳は私なりの過去との決別。これで逝け、琴乃波楠葉!」


 拳を引き抜き、その場を離れる。


 楠葉はそのまま絶叫と共に消えていった。


(私は今日この日を忘れない。私は初めてこの手で人を助けるのではなく、人を殴るために使った。この感触は忘れたくない)


 ふと気になって振り返るとそこには何もなく、ただ明るいシャワー室の光景があるだけだ。


(まるで夢を見ていたような……でも確かに私は彼女に触れた。あれは一体……)







SIDE:白木京平


「ふう、感謝するよ安谷さん。で? 誰そいつ?」


 空が用意した隠れ家に集まった京平達はほっとため息をついた。


 隠れ家では既にいくつものパソコンがたくさん繋がれていて、その中に埋もれるようにして文名と一人の女の子がキーボードをカタカタ言わせている。


「なんだとこのやろう! せっかくノーギャラで学校の悪事を暴く手伝いしてやってるのに!」


「落ち着いてヒメちゃん! 京平君、彼女は波立姫ちゃん。ほらこの間見せたツールを作った……」


「ああ思い出した。あの違法ハッk……」


「あー! あー!」


 あわてて京平の口をふさぐ文名。


 あまりにも慌てていたせいで姫の使っていたタブレット端末のコードに足を引っかけてすっ転んだ。


「みぎゃぁぁぁぁぁああああああ! 何やってんだよお前ぇぇぇぇぇ!」


「ご、ごめんヒメちゃん……」


「これいくらしたと思ってるんだよ! 旧世代端末はきれいな物が少ないんだぞぉぉぉ!」


 呆れ顔の空と付き添いの刑事、顔を押さえて首をふる京平に、何が起きているのかいまいちわからず傍観するましろ、怜奈、小夜。


 結局端末の動作には特に問題ない事がわかってこの話は終わった。


「さてと……ここまで問題が顕著になったら私達警察も動かざるをえない。って言いたいんだけど実はこの件からは手を引くように言われてるんだよね」


「は? いやいやおかしいだろ。現に俺達はもうちょっとでリアル神隠しに遭うところだったんだぞ!」


「上からのお達しでね。多分黄金色のお菓子が」


「金か。きったねぇ」


「そこでこれからの話だけど警察のサポートはあてにできないから……」


 スクリーンに写し出されたのは学校の見取り図。


 そこにはあるはずのない地下室が写し出されていた。


「私達だけで動く。どのみち出世も期待できない部署に飛ばされたし、未来ある少年少女のためにも一肌脱ごうじゃないか」


「それはいいんだけどその見取り図は何かしら。学校にしては一部屋……いえ、もっと多いような」


「良いところに気付いたね。これがこの学校の秘密だ」


 怪訝そうな怜奈の表情を察した空は学校の見取り図にまた新しいデータを重ねる。


 そこには無数の青い光のラインが地下室に向かって伸びているのが描かれていた。


「これはさすがに私もよくわからない。これは専門家に話を聞くべきね。で? 天才ハッカーさん、これは何?」


 呼ばれた姫は立ち上がると、ブルーライト軽減グラスを外してレーザーポインタを取り出す。


「めんどくさいな。いいか? これは言ってみればデータの流れを線で表した物だ。これによればその不可解な地下室で独自のネットワークが組まれている。こんなネットワークは今まで見たことがない」


「もしかしてこれがあの夢の世界を構築していたネットワークか」


「その通りだそこの赤毛。というかお前誰だ? うちのクラスにいたか?」


「私は隣のクラスの伊万里ってんだ。よろしくなハッカー」


 小夜のような人は苦手なようで姫はすぐに目をそらして続ける。


 そんな姫が面白くないのか、小夜もむすっとした表情を浮かべた。


「んっんん。でだ、何回かこのネットワークに侵入しようと思ったんだけど、思った以上にガードが強固だった」


 スクリーンに描かれたネットワークの青いラインに新しく赤いラインが追加された。


 そのラインは何度も青いラインと交わろうとしたが、その度に壁のような物に阻まれている。


「どんなにプログラムのコードを変えてもその度にセキュリティは学習して対抗してくる。まるで生き物みたいなプログラムだ」


「じゃあどうするんですか?」


「いい質問だそこの巨乳。同じクラスだってことは覚えてるが名前忘れた」


「赤葉ましろです!」


「まあ名前は覚える気ないからいいや。攻略自体は実は簡単なんだよ。外部からの侵入は全部シャットアウトされるけど内部からなら多少抵抗はあるだろうけど簡単にハッキングをかけられる」


「内部ってことはその地下室か。俺達の誰かがもう一度学校に戻るって事か?」


「ああそうだ。私はここでハッキングをしかける。他のメンバーでもう一度学校に戻ってくれ」


 姫はUSBメモリを京平に投げてよこした。


「その中にはハッキング用のバックドアのデータが入ってる。端子に繋げば自動的にインストールが完了するはずだ」


「よし、次は誰が行くかだが」


「私が一人で行こう。子供に行かせるわけにはいかないだろう」


 空は京平に手を差し出してUSBを受け取ろうとする。


 しかし京平はUSBを持った手を握りしめ、そのままUSBをポケットにねじ込んだ。


「俺も行く。あんな目に遭った後だけど、だからこそこの一連の事件の幕引きをこの目で見たい」


「いいのか?私はお前を守れないぞ?」


「だったら私も行きます! 私これでもジャーナリスト志望なので。こういうスクープは逃しませんよ」


「わ、私も!」


 そこに文名とましろも加わる。


 文名はいそいそとカメラの準備を、ましろも荷物をまとめ始めた。


「おいおいお前ら、遠足じゃないんだぞ?」


「わかってますよ。でもさすがにこれは譲れません」


 めったに見ないましろの真面目な眼差しに少し戸惑う京平。


「止めても着いてきそうだねこれは。わかった、三人を連れていくわ」


 諦めてため息をつく空。


 改めて突入の手順を説明していき、連れてきていた部下には留守番を、姫にはバックアップを、怜奈と小夜には待機を指示した。


「じゃあ行くぞ」


 空に連れられて三人が外に出ていく。


 その様子を留守番組は手を振って見送った。


「さてさて、おもしろくなってきたぞ」


 姫はニヤニヤとキーボードを叩く作業に戻る。


 いくつものプログラムウインドウを文字の列が流れていく中、新しいウィンドウが勝手に開いて文章が書き込まれた。


『I've been waiting for a long this time.』


「私はずっとこの時を待っていた……?」


 不審に思った姫はウインドウに新たに文字を打ち込んだ。


『Who are you? (あなたは誰ですか?)』


 しばらくして、改行されて文字が打ち込まれていった。


『Kikyo Amayui.』


「キキョウ アマユイ?」


『I'll lead you to the truth.(あなた達を真実に導く)』


 次に新しいウィンドウが開いてマップと論文のような物が表示される。


「なんだこれ。研究論文? 『Z.U.N.system』……新規格ネットワークシステムの研究成果……?」


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