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episode20『復活への布石』




SIDE:鷲宮遼


『だめなんだよ、そいつだけはな』


 椛と別れてから遼はついさっきの出来事を思い出して呆然と空を見上げている。


 遼とナハトの間にはどうしても拭えない深い溝がある。


 第一、ナハトがいるなら闇市に行こうなんて言い出さない。


「椛には悪いことしたかな」


 何も知らない椛は二人のやりとりを不安そうに見ることしか出来なかった。


 それにもし、あのタイミングで椛が止めてくれなければ確実にどちらかが死ぬまで止まらなかっただろう。


(次会うことがあれば一応謝っておこう。出来ればあいつがいない時に)


「……ちゃん! 遼兄ちゃん!」


 物思いに耽っている遼を現実世界に引き戻したのは服の裾を引っ張る子供だった。


「おいおい、危ないだろこんなところに登ったりして」


 ようやく気付いた遼は下に降りて梯から飛び降りた子供をキャッチする。


「危ないからここには登るなって言っただろ。まったく、お前が怪我したら怒られるの俺なんだからな」


「だって兄ちゃん全然遊んでくれないんだもん」


 梯の周囲には子供達がじっと遼を見つめている。


「わかったわかった、何をするんだ?」


 遼が遊んでくれるとわかったとたんに子供達は表情を明るくした。


 子供達はこの異変で戦火を逃れてきた言わば難民のようなもので、ほとんど傷みのないこの建物で他の生き残り達と暮らしている。


 遼は人々を守りながら、はぐれた他の生き残りを探しては保護していたのだ。


(にしてもここも手狭になってきたな)


 遼は子供達の相手をしながら大人にも目を配る。


 食料品や衣料品の蓄えは十分にあるがそれらが場所を取ってるせいで生活空間がどうしても狭く感じた。


「あ、おいこら!」


 はしゃぐ子供達にに合わせて仕方なく遊んでやる遼。


 今日は捜索に行けそうにないなと小さくため息をつく。


 大きく穴の開いた中庭から見える空を見上げて手をかざす。


「まったく、なんでこうなっちまったのかね」


 その時だった。


「兄ちゃん! これなに?」


 子供達の中で一番小さい男の子が黒い塊を持って遼の元に走ってくる。


 それとほぼ同時に上空で待機していたパワードスーツが遼の周囲に爆弾があることを検知して遼に知らせた。


「早く捨てろ! そいつは……」


 塊を弾き飛ばして男の子を抱きよせる遼。


 だが時は既に遅い。


 強烈な閃光と共に塊は爆発し、遼の意識はここで途切れた。






SIDE:犬走椛


「ここです」


 ナハトに連れられて訪れたのは元々椛が働いていたカフェ、キャッツテールだった。


「ここって……」


「この中でMs.アヤがお待ちです」


 ナハトが扉を開いて椛を中に招き入れる。


 そこには見知った顔が集まっていた。


「ハァイ、モミジ。久しぶりね、髪切った?」


「お久し振りですロッテさん!」


「あー! もふもふ! もふもふじゃないか!」


「エカチェリーナさんもお元気そうで。平然と尻尾を触りに来ないでください」


 そして。


「椛! 心配しましたよ。あとエカチェリーナさん、椛のもふもふは私の物です」


 文の姿もそこにあった。


 それ以外にも彪奈、銀牙、はたてもいる。


「みんな……無事だったんですね!」


 椛は安堵のため息をついて手招きされた席に着く。


「さてと、これで全員だな」


「え?」


 銀牙の言葉に違和感を感じた椛。


 あと一人、確かにあの場にいたはずだ。


「あれ? 綾音さんは……」


「お母さんは今外に出てるよ」


「じゃあ全員揃ったところで情報の共有といこうか」


 銀牙は何枚かの書類を取り出して机の上に広げる。


 文章は全て日本語で書かれてるが、所々文字の形が怪しい。


「これは?」


「読めなかったら済まないMs.椛。出来る限り丁寧には書いたつもりなんだが」


 ナハトがさっきから申し訳なさそうにしているが、これは恐らくナハトの書いた物だろう。


「日本語というものは難しいが美しい文字だ。もう少し練習する必要がありそうだな」


「ナハトの書いてくれた現状から察するに俺達は面倒な事に巻き込まれている。文の話ではここは未来の外の世界だ。現状幻想郷に帰る手段はあの胡散臭いスキマ妖怪しかない」


「そしてこの世界にも異変は起きている。マスターの指示で調べたが、フローター間の連絡が途絶えている上、アジアンフローターの各エリア間の連絡までも途絶してしまった」


 銀牙とナハトの話を聞いて考え込む椛。


(遼さんも同じようなことを言ってた……一体何が起きていて、これから何が起こるの?)


「みんな、大変よ!」


「綾音さん?」


 外に出ていた綾音が慌てた様子で入ってくる。


「外で、外で大きい爆発が!」


「何?」


 真っ先にナハトとエカチェリーナが、続いて幻想郷組が店の外に出た。


「あれは!」


 外に出た全員が見たのは、空高くもくもくと上がる黒煙。


「あの方角には確か難民の集まる建物が……」


「ナハト、カチューシャ、急いで行ってちょうだい」


 ロッテに言われてナハトとエカチェリーナが走り出す。


「二人とも掴まって!」


 文と綾音がナハトとエカチェリーナを抱えて煙の立っている方角へと飛んだ。


「私も……」


「掴まりな椛、俺が運ぶ」


 銀牙に掴まって空を飛ぶ椛。


 上空からは煙が酷く状況は確認出来ないが、どうやら巨大な建物を木っ端微塵に吹き飛ばす程の爆発があったらしい。


「こ、こいつは……」


 ようやく到着した銀牙は現場の惨状に思わず目を見開く。


 大量の瓦礫にその隙間から流れ出る赤黒い血。


 ナハトとエカチェリーナは既に瓦礫の撤去を急いでいる。


「何てこったチクショウ。これじゃ生存者がいるかどうかわからない」


「諦めるなメイド長、誰か生きてるはずだ……」


「ナハトさん、メイド長さん、ここ!」


 綾音が手を振って瓦礫の一点を指差した。


 埋まっていたのはこの場に似つかわしくない濃緑の装甲板。


「ああ……ああああ!」


 狼狽した椛が座り込む。


 それは紛れもなく遼のパワードスーツのカラーだった。


「引っ張りだそう。こいつのパワードスーツはちょっとやそっとじゃ壊れないからまだ間に合う」


 ナハトも椛の様子を見て察したようで、全員で協力して引っ張り出す。


「なんでこんなところに……どうして……」


 瓦礫が退けられ、出てきたのは中途半端に展開したパワードスーツと、遼に抱えられた血まみれの子供だった。


「子供の方はダメだな、完全に手遅れだ。おっとお嬢さん方には目に毒っと」


 銀牙がとっさに文と椛の目を覆う。


 ナハトが子供の方を引き出した時、子供の足がないのが見えたからだ。


「うわ、ひでぇ」


「遼は怪我をしているようだけど無事ですね。メイド長と二人で運びますから、そっちの四人は先に戻ってください」


「でもまだ生存者がいるかも……私も残って捜索を!」


「モミジさん!」


 エカチェリーナが椛の肩を掴んで押し止めた。


「確かにまだ生きている人もいるかもしれない。でも治療できる医療品はないし収容できる場所もない」


「うぅ……」


「今は耐えなさい」


 椛を銀牙に預けてエカチェリーナは遼の運搬の準備を始める。


「行くぞ椛、掴まりな」


 四人はしぶしぶキャッツテールへと帰った。


「さてと」


 四人が見えなくなったのを確認してエカチェリーナはため息をつく。


「どうすんだナハト、ここで殺すか?」


 エカチェリーナは銃を抜いて血の滴っている遼の眉間に突き付ける。


「ここで殺しても得はないよメイド長、彼は貴重な戦力だ」


「あーあ、左足を複雑骨折、裂傷多数、頭部出血多量、左目に大きな切り傷、ここまでボロボロになってまで生きてるとはゴキブリ並みの生命力だな」


「……そうだな。我々も帰ろう」


 ナハトはエカチェリーナの言葉に少し嫌悪感を示していたがエカチェリーナは気付くことなく二人は急造の担架で遼を担ぎ出した。






SIDE:鷲宮遼


(頭痛ぇ……)


 ベッドに横たわる遼は細目を開けて天井を見つめていた。


(あの至近距離で吹っ飛んだのになんで生きてんだ?)


 首を少し動かすと視界に執事の格好で本を読む男の姿が目に入る。


「ナハト……」


「気が付いたようですね。あまり動かないでください」


「…………。」


 遼はおとなしくまた天井を見つめる事にした。


「傷は応急措置で縫合したし、足も固定しておきました。後はあなたの回復力なら数日のうちに全快になるでしょう」


「…………。」


 ナハトは読んでいた日本語の小説を閉じると、一端遼にかけていた毛布を払って傷を確認する。


 傷口はほぼ塞がっているが、左足と左目はまだ傷が癒えていない。


「あの場所で一体何が?」


「面倒見てたガキが高圧圧縮爆弾を拾ってきた。あれは対人、対物用の物だろうな」


「対人対物の圧縮爆弾……一体なんでそんなものが」


「知るかよ。生きてたのが不思議なレベルだ」


「あなたのパワードスーツの自動防衛システムが作動したらしいです。ただ機械に詳しい者がいないのでパワードスーツの修理は出来ていません」


「それは問題ない、あれは生体金属製だからな。勝手に自己修復する」


「そうですか」


「…………。」


「…………。」


 気まずい雰囲気が漂う中黙りこむ二人。


 お互いに目を背けてただ静かに話を切り出せるタイミングを伺う。


「なあ」


 今度は遼がナハトに声をかける。


「何か?」


「他の難民達はどうなった」


「…………。」


 そこで黙るナハト。


 今ここで真実を話して良いものか、どうなのか。


「おい」


「すみません」


「やっぱダメだったか」


「助け出せたとしても医療品が足りない。こちらとしても不本意でした」


「そうか」


 この時、遼は意外にも反応を示さなかった。


 その後のナハト曰く、どこか悟ったような表情をしていたとのこと。


「また助けられなかったな……」


 遼は少し体勢を整えてまた眠りについた。


 ナハトもまた小説を読む作業に戻る。


「彼ならまた寝ましたよ、Ms.椛」


 気配に気付いたナハトが部屋のドアを軽くノックした。


「ばれてましたか」


 椛は申し訳なさそうに部屋に入る。


「盗み聞きせずとも中に入ってこればよかったのに」


「いえ、その、私にも少し負い目がありますから」


「負い目?」


「私、遼さんを置いてきてしまったから」


「ああ、闇市でのことですか」


「うぅ……」


「その事なら心配ないですよ。彼はそんな細かいことまで気にしないタイプの人ですから」


「なんだかとっても深い因縁があるみたいですけどよく知ってるんですね、遼さんのこと」


「まあなんだかんだで付き合い長いですから。腐れ縁ってやつです」


「へぇ……」


「彼は元々アストレアという民間の警察組織のメンバーでした。だから傭兵時代にいざこざがあったりしましてね。結局それがこの因縁の元凶なのですよ」


「でも遼さんのあの口振り、かなり恨まれてるように思えましたけど」


「うーん、Ms.椛は今何か仕事等は?」


「私ですか? 私はその、山の警備をしています。とても目が良いので」


「じゃあ例えばの話をしますよ。もし、その仕事の過程で自分の大切な仲間を失い、その責任を全て押し付けられたとしましょう。仲間を殺した敵をどう思いますか?」


「どうって……あ……」


 ようやくそこで椛はナハトが言わんとしていることを理解した。


(そうか、言いたくない事ってこういうことだったんだ)


 何か言おうと口を開く椛だったが、既にナハトは小説を読み始めている。


 声をかけづらくなった椛はそのままごめんなさいと謝って部屋を出た。


(お前が謝る必要はないぜ椛、悪いのは俺たちだ。未だに俺たちはお互いを許せない)


 ずっと顔を背けて寝ているふりをしていた遼が目を覚ます。


(いや、許せていないのは俺だけか……)







SIDE:白木京平


「ここか」


 京平とましろは呼び出された生徒会室の前で息を整える。


 途中で追い抜いたのか、怜奈と小夜はまだここには着いてない。


「ここまでダッシュする必要はなかったじゃないですか……もう。失礼しまーす」


 ようやく落ち着いてきたましろはドアに手を掛けてガラガラと開く。


「ましろ!」


 生徒会室のドアを開けた先は一切光を通さない空間が広がっていた。


 違和感に気付いた京平が間一髪でましろを生徒会室から引っ張り出す。


「あぶな! なんだこれ」


「助かりました……」


 そこは暗い暗い先の見えない空間。


 京平は恐る恐る部屋の中の電気のスイッチに手を伸ばすが、本来あるはずの場所にスイッチの感触はない。


 それどころか暗闇から伸びる黒い無数の手に捕まれた。


「しまった!」


 そこに遅れて怜奈と小夜が生徒会室前に現れる。


「あなた達は……」


「危険だ、こっちに来るな!」


 ずぶずぶと飲み込まれながら怜奈と小夜を足止めする京平。


 その様子を遠くからじっと見つめる機械の目があった。


 生徒会室付近の階段に置かれた監視カメラだ。


 ゆっくりと回頭し、飲み込まれていく京平の姿を捉える。


『ダメだ!』


 無機質な目の後ろで誰かが叫ぶがその声は誰にも聞こえない。


「くそ、抜けねぇ……」


 腕を抜こうともがく京平。


 もがけばもがくほど深みへとはまっていく感覚が京平を余計に焦らせる。


 そして全身が飲み込まれた時、黒い手は消えて扉の向こうには誰もいない真っ暗な生徒会室が広がった。


 あの場に居合わせた全員が困惑するなか、京平は一人別の場所で目を覚ます。


「ここは……幻想郷?」


 夢の中で散々見せられた景色が眼前に広がる。


 並び立つ古びた木造の建物からここが人里の一角であることがわかった。


「お前は知りすぎた」


 そこに一人の男が表れる。


 その姿には見覚えがあった。


「黄龍……てめぇ!」


 人の姿を取る黄龍は不気味な笑みを浮かべながら京平に近付く。


「くっ……ん?」


 合わせて後ろに下がる途中、見えない壁に阻まれて京平の足は止まった。


「行き止まり!」


「逃がしはしない。桔梗ならともかく本体のお前にはこの世界を操作する能力はあるまい」


「…………。」


「人間の意識を直接データに変換してネットワークにダイレクトに接続するシステムを使っている。ここで死ねばお前は元の世界には戻れない」


「な……」


 それを聞いて一目散に逃げようとした京平だったが、足が地面に貼り付いたようになっていて動けない。


「無駄だ、ここは私の作った空間。私こそがこの世界のルールだ」


 剣を振り上げる黄龍。


 だがそれが振り下ろされるよりも先に誰かがそれを防いだ。


「な……」


「お前は紫!」


 剣を素手で受け止めた紫はそれをスキマに収納して黄龍を下がらせた。


「あなたは関係ない。早くここから去りなさい」


 素早い動きで京平の足下にスキマを開き、胸ぐらを掴んでそこに突き落とす。


 その瞬間紫は京平にこっそり耳打ちし、京平は思わず紫の目を見た。


 スキマに吸い込まれる中、どこか物悲しげな表情の紫がだんだんと遠ざかる。


 そしてひときわ強い光に包まれ、次に京平が目を覚ますと、生徒会室の中でましろに揺すられていた。


「京平君、京平君!」


「な……お、俺は……」


「よかった、生徒会室に吸い込まれた後ここに座り込んでたんですよ」


 京平は生徒会室の入り口を見る。


 そこには生体VRと呼ばれる機器が取り付けられていた。


 生体VRは人の意識を直接ゲームやネットワークに接続する機器だ。


 だが意識がネットワークに入り込んだままになり、戻ってこない人が急増。


 会社が自主回収をしたが未だに被害が収まらず、一部で問題になっている。


「こいつか」


 京平は立ち上がって生体VRの機器を力一杯踏みつけて壊した。


「でもこれではっきりした。そっちの二人も幻想郷に関わってる」


 怜奈と小夜は意味がわからないといった表情をしている。


「そして黒幕は俺たちを消しにかかった。もう時間に余裕はないってことだ」


 京平は端末を取り出して文名に電話をかけた。


『はいはーい、文名さんですよー』


 なにやらスナックを頬張る音と共に文名は気だるそうに通話に応じる。


「今どこにいる! 学校にはいないよな!」


『そうですよー、今は例のハッキングの時の協力者のところで情報収集してます』


「こっちで動きがあった。黒幕が俺たちを消しにかかってる」


『え?』


「とにかく安谷さんに連絡だ。状況が状況だけに学校は危険だし、新しく判明した二人といったん学校の外に出る」


『わかりました、こっちで避難場所を確保しておきます』


 そこで電話は切れた。


「と、言うわけだ」


「って言われてもわからないんだが? なあ怜奈」


「だけど何かが起きているのは間違いなさそうね」


「話が早くて助かる。誰が裏で糸引いてんのか知らないが思い通りになってたまるか」


「で、具体的にはどうするんですか? こうなった以上私も協力します」


「この学園から逃げる! そんでもって、暴くんだ。この学校の謎ってやつをさ!」







SIDE:八雲紫


「やってくれたなぁぁぁ! 八雲紫ぃぃ!」


 紫が京平を逃がした後、黄龍は今まで見せた事がない形相で怒りを露にしている。


「はあ、なんで助けたのかしらね。私にもよく分からないくらいだけど」


 周囲に展開したスキマから大小さまざまなモノを取り出して紫は不敵に笑った。


「でもこうなった以上私も決心をするべきね」


「貴様ごときが私に勝てるとでも?」


「少なくとも、時間稼ぎぐらいにはなるでしょう」


「ククク……クハハハハハ! 時間稼ぎだと? もうデータの破損を気にする必要はないからなぁ。貴様は完全に破壊する。跡形もなくな!」


 召喚した電車を突っ込ませ、さらに大量の標識で黄龍の動きを封じ込める。


 封じ込めたはずだった。


「終わりだ」



C:¥gensokyo¥yukari_yakumo.exeを消去しますか?<Y/N>...|Y|

C:¥gensokyo¥yukari_yakumo.exeを完全に消去しています。...0%


システムエラー エラーコード5102


C:¥gensokyo¥yukari_yakumo.exeは他のプログラムによって開かれています。


リトライしますか?...<Y/N>...|Y|


システムエラー エラーコード5102


C:¥gensokyo¥yukari_yakumo.exeは他のプログラムによって開かれています。


「何ぃ?」


 黄龍の目の前から紫が半透明になって消えていく。


 死を覚悟していた紫も突然の出来事に思わず動揺している。


「管理プログラムである私のコマンドを受け付けない? 貴様何をした!」


「そんなこと私が知るわk……」


 言葉の途中で消え去る紫。


 一人取り残された黄龍も悪態をつきながらこの世界から退出した。


「ここは……」


 紫は別の場所で再び目を覚まし、自分が五体満足なのを確認する。


「ふぁぁ、まったく、シエレーナ様も人使いが、いや天使使いが荒いんだから」


 困惑する紫の隣で白い大きな翼を広げた天使が伸びをした。


「ご苦労様ですルーナリア、またしばらく休みなさい」


「はーい」


 ルーナリアは数字の列に姿を変えて出てきたもう一人の天使に吸い込まれる。


 そして天使の隣に立つのは紫もよく知る人物。


「椿……あなた死んだはずじゃ!」


「久しぶりだね紫、残念ながら僕は死んでない。今はこうしてこの人の、シエレーナのサポートをしてる」


「シエレーナ? 見たことがないけど」


「それもそうですね。今まであなた方の前にはこの姿では現れませんでしたから」


 訝しげに睨んでくる紫にシエレーナはお辞儀すると微笑みかけた。


「初めまして、私はシエレーナ・セラフ。あなた方の元に遣わせたルーナリア・クルブの上司です」


「ああ、紅魔館に住み着いていた彼女ね」


「その節はご迷惑をおかけしました。あの子にはきちんと言いつけておきますので」


「まあ挨拶はその程度に。紫、僕達の話を聞いてくれるか? 力を使い果たして休眠状態の桔梗が狙ってるある逆転の一手、黄龍を完全に消し去る方法を」


「黄龍を消し去る?」

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