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heart meet heart  作者: 赫夜
4/4

出会い2

私は帰ってきたぁぁぁああああっ!!


5ヶ月ぶりの更新になります

なにかと忙しく、遅れてしまってすみません


え? 誰も待ってない? 

わかってるよっ!

 

べっ別に読んで欲しいだなんて言ってないんだからねっ


昼休み、俺はとある理由で屋上に来ていた


昼時とあってか俺以外の生徒の姿もちらほらとみられる


屋上の周りは転落防止用に高いフェンスで囲まれている


初等部、中等部、高等部はそれぞれ向かい合うように建っており、そのため屋上からは初等部や中等部の校舎が見ることができる


三つの校舎の中心には千桜学園の象徴でもある、樹齢何百年をも越える大きな桜の木がそびえ立っていて


桜の木の足元は広い公園で全ての生徒の憩いの場ともなっているらしい


前から興味があったしそのうち行ってみるか


話を戻すが、屋上は広くちょっとしたスポーツくらいならできる広さはあり、その一角はベンチとテーブルが設置されていて昼食などをとれるスペースもある


今俺がいるのもそこだ


テーブルが備え付けのベンチに座ってるのは俺を含め四人、俺と遊、その向かい側に菱刈に月見里だ


俺たちが四人が出会ったのは少し前、俺と菱刈が初めて会った日の放課後のことだった




〜〜回想〜〜




ふぅ、やっと終わった


今日も一日疲れたなぁ、早く帰ろう


下駄箱から靴を取り出して代わりに上履きを入れる


靴を履き昇降口から出ようとすると


「おーい、カグやーん」


ん?この声は遊か、でも確かアイツ先生に呼ばれてたハズなんだけど


遊は自分の靴を履くと俺の隣に並んだ


「カグやん一緒に帰ろうぜぃ」


「お前は俺の彼女かって」


「なんか言った?」


「いや、なんでもない。つかお前こそ先生に呼ばれてたんじゃなかったのか」


「いや、そのはずだったんだけど……放課後になっていざ先生のとこに行ってみたら、『そんなこと言ったか?』って真顔が返されちまったよ」


と、遊は苛立ち半分呆れ半分の表情で言った


これは遊のやつに同情するしかないな、どんまい


「まぁポジティブに考えろよ。雑用しなくてすんでラッキーって」

「そうだよなぁ。よしっ、そんじゃあ駅前のゲーセンに寄ろうぜ」


ゲーセンなんて最近行ってなかったし、たまにはいいか


「りょーかい」


「ゲーセンに向かってレッツゴー!」


ということで、俺達は昇降口から出て校門を抜け坂をずっと降りていった


坂が終わり道が開けた場所でその光景は見えた


「―――ねぇいいじゃん、オレ達と一緒に遊ぼうぜ」


「美味しい店知ってるから行こうよ、奢るからさ」


「ぐへへっ、お嬢ちゃん今何色のパンツはいてるのぉ?」


三人組の若い男たちが一人の女の子を取り囲んでいる姿、所謂ナンパというやつだ


一人だけ変態が混じってるけど、

華麗にスルー


制服からすると女の子はウチの学園の生徒みたいだ


「あの娘は……ッ」


「なんだ遊、知り合いか?」


「知り合いも何もオレ達と同じクラスの月見里(ヤマナシ)ちゃんじゃん。カグやんの人覚えの悪さも問題だな」


「いやまぁ面目ない」


そんなことより、この状況なんとかしないと。月見里も見る感じ困ってるようだし


「あのぅ、すみません。わたし友達のこと待っていて……」


「へぇ〜そうなんだ。それじゃあその娘も誘ってさ」


「そうだよ、きっと楽しいよ」


「ぐふふっ、ねぇねぇパンツの柄はシマシマかなぁ〜?」


キモい、なんか一人だけ異様にキモいキモすぎだよ。誰かたすけてぇー


「―――とうっ、君たちやめたまえ!!その娘は嫌がっているだろう」


そこに現れるは何者にも負けぬ強い意思を瞳に秘めた一人の勇敢な男


男は月見里とチンピラ達の間に立ちふさがり、バッと彼女の方を振り向くと


「お嬢さん、安心してください。私が来たからにはもう大丈夫ですよ」


と、それほど白くもない歯を見せるように微笑む


「は、はぁ」


キタァー!!痛快戦士、イタインジャー!!


髪を風になびかせながら颯爽と登場


まぁ、正体は遊なんだけどな


月見里の方はわけもわからず戸惑ってるし


「チンピラ共よ、逃げるなら今のうちだぞ」


「あんだテメェは」


「調子にのるんじゃねぇよ」


「男には興味がない、失せろ」


遊のやつあんなに挑発して大丈夫なのか?


あいつケンカとかあまり強い方じゃなかった覚えがあるんだけど……


つかキモ男が一瞬でカッコ良くなったな、口調だけ


その後、チンピラの中の一人が「やっちまえ!」と言ったのをきっかけに遊は囲まれてしまった


10分後……


「か、カグやんっ!!ヘルプ・ミーーーッ!!」


はぁ…バカだろこいつ……


いや、まぁ。10分もっただけでも奇跡か


まったく、遊一人だけなら放置して帰ってもよかったんだが


さすがに女の子をこの状況で置いてくわけにはいかないよな


「しょうがない、手荒なことは好きじゃないんだけどな」


俺は未だに遊をリンチしてるチンピラ共に近寄り、そのなかの一人の肩を叩いた


「ちょっとお兄さん、そのくらいにしてあげてくれないか」


「誰だァ、てめぇ?」


「いやいや、名乗る程のもんじゃないですよ」


「んじゃ、引っ込んでろ!!てめぇもこいつみたいにリンチされてぇのか!!」


チンピラは振り返るとともに俺に殴りかかってきた。


なんだよこれ、本当に殴る気があるのか。脇の絞めかたが甘いし、体重も乗ってない、簡単に避けられるぞ


俺はカウンター気味に甘い相手のボディに撃ち込む


「ぐふッ!!」


そして、身体をくの字に折ったことで無防備になった背中にもう一発


「がはぁッ!!」


相手はあっけなく地面に倒れ伏した


「まずはひとり」


残りの二人もようやく仲間の異変に気付きこちらを向く


「高野、どうした!?」


「大丈夫か!?」


どうやら今俺がやった奴は高野と言うらしい、まぁどうでもいいけど


「そいつみたくなりたくなかったら大人しく退いてくれないか」


「んだと、なめんじゃねぇ」


「三次の男の分際でよくもッ」


なんだか向こうはヤル気みたいだけど、めんどいな


一瞬で終わらせるか、そう思い構えたが


「やめとけ。俺達じゃあ……敵わねぇよ」


意外にも高野が二人のことを制した


「……お前ら、帰るぞ」


そう言うと、俺達に背を向け殴られたとこが痛むのか腹に手を添えながら歩き出して行ってしまう


これだけの力の差を見せつけられたんだ、身を引くのは賢明な判断だろう


「お、おい」


「待てよー」


少し進んだところで高野は振り返り


「てめぇ、このままタダで済むと思うなよ」


と、捨て台詞を吐いていなくなってしまった


まぁこれで一件落着ってことでいいのかな


「か、カグやんお疲れ〜」


「……おい、遊。何か言うことはないか」


「えっ、あーなんというか、マジでゴメン」


まったく、コイツのせいでいつも面倒ごとに巻き込まれんだよな


それに加えて女の子が絡むと周りが見えなくなるから困ったもんだぜ


「あ、あの……」


恐る恐るといった感じで月見里は声をかけてきた


「ん? ああ、月見里さん。怪我はなかった?」


「そうそう、あの男達に変なこととかされなかった?」


「はい、私は大丈夫です。それより助けて頂いてありがとうございました」


彼女そう言いい深々とお辞儀をした。すると、緩くウェーブがかかったブロンドの髪が動きに合わせてフワッと揺れる


ふむ、最初見た時も思ったけど月見里って良いとこのお嬢さんみたいだよな


礼儀正しくて物腰も柔らかいし菱刈とはまるで正反対だ


「あの……どうかしましたか?」


「い、いやなんでもないよ」


「なんだカグやん、の美しさにでも見惚れてたのか〜」


「うっさい、お前は黙ってろ」


「ふふっ」


遊のせいで月見里に笑われたじゃないか


「そういえば自己紹介がまだでしたね。私は一年七組の月見里(ヤマナシ) 麗香(レイカ)と申します」


「ああ、知ってるよ。同じクラスだからな」


「そうだったのですかっ、すっすみません」


「気にしないでいいよ」


(ちょ、カグやん嘘はいけないなぁ〜)


(うっさい)


「んじゃ改めて自己紹介しとこうか、俺は藍澄赫夜だ。で、こっちが……」


「はいはーい、オレは渡良瀬遊だぜぃ。趣味は可愛い娘探しと情報収集。夢はスリーサイズを目測で測れるようになること。好きなタイプは……」


「おい遊、それくらいにしとけ月見里さんガチで引いてるから」


「い、いえ……私は全然気にしてませんから」


「遊は変態だからあまり近寄らないようにな、まぁこれからよろしく」


変態とはなんだ!! とかうるさい遊を放っといて、握手をするため手を差し出す


「あっはい、こちらこそよろしくお願いします」


向こうも意図に気づいたらしく手を握り返してきた


「あっ、カグやん一人だけ抜け駆けなんてずるいぞ!! 月見里ちゃんッ、オレとも握手して……」


と遊が月見里に迫っていたその時、どこかで聞いたような声がこだました


「ちょっと待てぇぇーーい!!」


こっこの声は……ッ!?


声のした方を向くと、こちらに向かって全速力でダッシュしてくる一人の女子生徒の姿が


彼女はそのままスピードを落とさず、一直線に走ってくる


その先にいるのは、月見里と握手をしようとしている遊


遊は背を向けているからこちらの状況がわかっていない


「おい、遊!!後ろ!!」


「へ?……うわッ、なにが……」


俺の叫びにようやく状況を理解した遊だが、時すでに遅し


遊との距離が5メートルくらいのところまで走ってきていた女子生徒は、遊の少し手前で地面を強く踏み切り高く跳躍した


そして器用に空中で身体を水平にし両足を揃え、遊に照準をロックオンする


いわゆるドロップキックというやつだ


「れぇぇいいぃぃかぁぁに触るなぁぁあああ!!」


助走によって勢いの乗ったドロップキックは遊の腹に深く突き刺さり、遊は「ぐえっ」とカエルを潰したときのような声を出しながら派手にブッ飛んだ


…………。


はっ、あまりにも綺麗に決まったもんだから思わず見惚れちまったぜ


つか、アイツ大丈夫か? 心配になった俺は慌てて遊に駆け寄る


「お、おーい遊。生きてるかー?」


……返事がないただの屍のようだ


「ふんっ、あたしの友達に手を出すだなんていい度胸してるわねっ……って藍澄じゃないの!!」


やっと気づいたかこのバカは


「なんで麗香と藍澄が一緒にいるのよ」


「それには訳があってだな……」


かくかくしかじか、今までのことを簡単に説明した


「麗香っ、ケガはしなかった大丈夫?」


「うん、大丈夫だよ。藍澄君たちが助けてくれたから」


「ほっ、それならよかった。藍澄も大変だったわね」


「まぁ、ほぼアイツのせいなんだけどな」


「そういえば、渡良瀬はどこにいるの?」


「お前がさっきドロップキックかましてぶっ飛ばしただろ」


「えっ!?」


気づいてなかったんかい


「まぁアイツは丈夫だし平気だろ。それに、復活させる呪文もあるしな」


「呪文?」


「そ、見てろよ……『おい遊!!あそこにお前好みの可愛い娘がいるぞ!!』」


「は?」


菱刈は意味がわからないという顔をしたが


ガバッ


「なんだとっ、どこだカグやん!!」


遊は勢いよく起き上がり、周りをキョロキョロと見渡す


「ほらな」


「ははははは……」


「カグやん、美少女はどこにいるんだ?」


ここにいるだろ、俺はと菱刈のこと指差す


「え……あたしッ!?」


「いや確かに菱刈は美少女のと言ってもおかしくはないんだが、オレ的には深窓の令嬢というか儚くて守ってあげたくなるような、そうそう例えば……っていうかなんで菱刈がここに?」


俺は遊に菱刈と同じように説明してやった。


「はぁ……さっきお前をぶっ飛ばしたのが菱刈なんだよ」


「な、なんだってー」


「悪かったわよ。てっきり麗香に悪い虫でもついたのかと思ったの、でも逆にあんた達というか藍澄に助けられてたなんてね」


礼を言うわ、と頭を下げる菱刈。


「いやぁそれほどでも」


それに対して照れる遊に


「「お前はなんにもしてないだろっ」」


俺と菱刈がつっこむ


「クスッ」


その様子をみて笑う月見里


これが俺達四人の出会いだった


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