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heart meet heart  作者: 赫夜
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始まりの朝2

「さてと、どうしようかな」


確か新入生がどこのクラスに行けばいいかわかるように張り紙が出てるはずなのだが


辺りを見渡してみると、昇降口の近くの大きな掲示板に人だかりができているのが見えた


あそこかな、そう思い歩きだそうとしたその時、唐突に背後から聞いたことのある声に声をかけられた


「お〜い、カグや〜ん」


ん?


「カグやんこっちこっち」


ん〜ん〜空耳かな、うん、空耳に違いない、ボクナンニモキコエナイヨ?


そうと決まれば早く自分のクラスを確認しに行かなければ


「え、ちょ、ちょっと待てよ。おい無視するなってカグやん!!」


俺の知っている中で俺のことを『カグやん』なんて呼ぶ奴を一人しか知らない、絶対アイツだ


「よし逃げるか」


思い立ったら即行動、俺は人混みの中に紛れ込み逃走を図る


そしてそのまま人の間を抜け掲示板の前へと向かう


「えーと、俺のクラスはっと……」


……あった、なになに一年七組か


ていうか一学年だけで二十もクラスあるのかよ、さすが全国だけでなく世界からも多くの人が集まるマンモス校なだけはあるな


「うおいっ、か、カグやんっ、待って、あっスイマセンちょっと通らせてくださいっ、カグや〜ん、カグや〜っん!?」


なんか人と人との間に挟まって揉みくちゃになりながら騒いでる奴がいるが、まぁいいや


とりあえず自分のクラスに行ってみるかな


まずは昇降口に入り上履きに履き替え、クラスの場所を確認するためにバックに入っている学校のパンフレットを取り出す


校内の地図が載っているページを開き、場所を確認


ふむふむ、把握した


パンフレットを閉じて俺は自分のクラスに行くべく歩き始めた








〜俺移動中〜








そして目的地に到着


ドアの上に掛かっている表札を確認する


『1―7』


教室の中からは先に来ていたらしい生徒達の話し声が聞こえてくる


ドアに手をかける


いま胸の中では緊張や不安、それに少しの期待、様々な感情が渦を巻いていて自然と鼓動が高鳴ってしまう


よしっ、俺は覚悟を決め手に力を入れた


――――ガラッ


ドアを開き足を踏み入れる、教室の中を見渡せばそこに居るのはもちろん 名前も顔も知らない奴ばかりだ


俺が教室に入ったことに気付いた何人かはこちらに顔を向けたが、すぐに興味を無くしたか友達との会話に戻ってしまう


あれっ、俺はなんだか肩透かしをくらった感じで、少しテンションが下がってしまった


まぁ逆に教室に入った瞬間に「あ、アンタは!!今朝あたしと……」


みたいな感じで、女の子に急に声をかけられても実際ちょっと困る。どこぞのギャルゲーだよ


さっきまであんなに高鳴っていた胸はいつのまにか落ち着いており、俺はとりあえず席に着くために移動した


みんな適当に座ってるっぽいので俺も好きな席に座ることにした


座った席は窓側の後ろから二番目、俺的に一番気に入っているポジションだ


何故かと言えば、窓際は日が当たって暖かいし、一番後ろではなく二番目ならプリントの回収とかもやらなくてすむ、それに先生の目にもつきにくいからな


ここ以上のポジションは無いだろう


時計を見れば式までにはまだ時間がある


寝ていようかな、そう思い机に突っ伏そうとしたその時


「やっと追いついた、置いていくなんて酷いぜカグやん」


こ、この声は……


「なんでお前がここにいるんだよ、遊」


コイツの名前は渡良瀬(ワタラセ) (ユウ)、明るめの髪に軽く着崩された制服がチャラい印象を与える


性格は良く言えば明るく誰とでも分け隔てなく仲良くなれる、悪く言えば馬鹿でお調子者って感じで、とにかくイベント事には目がない奴だ


「なんでってそりゃあ、オレっちとー」


とぉー?


「カグやんがー」


がぁー?


「同じクラスだからでーす」


「え、嘘だろ?」


「マジです」


「マジですか…」


「そんな嫌そうな顔すんなよ、軽く傷つくわー」


だって中学三年間ずっと同じクラスだったし、高校入っても同じって……これも運命か


「ていうかカグやん、何で逃げたんよ」


「別に理由なんてねぇよ、なんとなく逃げよっかなーって」


「なんとなくで逃げんのかよ、ひでぇ」


「わりぃわりぃ」


全然気持ちが籠ってねぇー、と遊は軽く小突いてきた


「まぁいいけど、んで少し話し変わるけどさ」


「なんだよ?」


「カグやんは誰か可愛い娘見つけたか?」


「………はぁ」


そんなことだろうとは思っていたけど


「なんだよ溜め息なんかついちゃって、まさか一人も見つけてないとか言わないよな」

その通りですがなにか?


「まったくカグやんはダメダメだなぁ、オレなんてもう30人は見つけたぞ、いやぁこの学校は女の子のレベル高ぇな」


「まったくどんだけだよお前」


「まぁオレのストライクゾーンは広いからな、年齢で言えば10代から30代前半まではオーケーだな、ただし美少女に限るが」


つかストライクゾーンが広いっていうよりは見境がないだけだろコイツ、それに美少女に限定してる時点で30代とかアウト過ぎるだろ


俺たちがそんなくだらない会話を繰り広げていると、いきなり教室の前のドアが開いた


「おいお前らもうすぐ式が始まるから身なりを整えたら廊下に出ろ、並び順は男女別ならあとは適当でいいから」クラスに呼びかけてきたのは黒いスーツを着込んだ髪が長くて若い女性だった、先生かな?


とりあえず俺は指示通り、遊と共に教室を出ようとしたその時


「ああそうそう、廊下でいつまでも話しててうるせー奴は………容赦なくぶん殴るからな」


覚悟しとけよ、と言い残し先生(仮)は颯爽と髪をなびかせて去っていった


「カグやん、あの人マジぱねぇな」


俺はあの先生(仮)が自分のクラスの担任でないことをただただ祈るばかりだった……



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