ホントウノ…
いろは目線です。
「うう…」
いろはは、一人で考えていた。
この男、強い…。
アヤカシの子供でも歯がたたないなんて…。
まず、アヤカシの子供と人間とは、体の作りが違う。
人間は、生活しやすい、戦闘を計算にいれてない身体の構造になっている。
しかし、アヤカシの子供は、非常に人間の体に近いのだが…
戦闘を計算にいれてるため、脚力などが異常に発達している。
だから、アヤカシの子供が人間に負けるなど、有り得ない話なのだ。
なのに……
爪だけしか変化させてないとはいえ、人間に負けるなんて…
いや、こいつ、人間ではないのか…?
おなじアヤカシの子供だということも充分に有り得る。
そんな事を考えていると…
「遊憂…?」
遊憂の様子がおかしい。
虚ろな目になっている。
普段の彼女からは考えられない。
なにかあったのだろうか。
「なにこれ…」
小さく遊憂の声がきこえる。
「遊憂どうかしたの…」
今出せる声で最大限のボリュームで叫ぶ。
でも、聞こえてないみたい。
「遊憂!」
再び叫ぶ。
すると、遊憂を白い煙が隠した。
煙?
炎などはだれも持っていない。
だんだんと煙が晴れていく…。
完全に晴れた時…
そこには、9本の尾を持ち、銀の髪と銀の耳をたなびかせた少女がいた。
見かけは変わったが、彼女の漂わせている雰囲気は…そう。
遊憂と同じものだった。