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【過去編】  乃癒

「なんでだ」

思っていた…

絶対に迷うな、と…

当てずっぽうに進んでいた…

なのになんで…

「なんで当たってるんだよおおおおおお!!」

そう、オレの目の前には自宅。

自宅という確証は無い。

でも、断言できる何かがあった。

あーもうどうにでもなれだ!!

「入るぞ」

ガラガラ…

「アラ、遊憂、遅かったわね」

凛とした女性の声が響いた。

「母さん…」

そうか、この人が。

オレの母さんなのか。

大きくて透き通っている琥珀色の瞳。

銀に輝く長い髪。

金の刺繍が施された豪華な着物。

また、銀色の狐の耳と尾。

まあ、一言で言うと…

美・人!!!

「泰葉から聞くのが遅れたのでしょうか?」

「え、あ、いや…」

「ふーん…まあ良いです」

そろそろ門限だったから、と言い、自室に戻った母さん。

『遊憂』

「欒」

あ、そっか、欒も居るのか。

でも、実際はずっと昔の欒だよなァ…

『平気よ。私は分かっているわ。遊憂が置かれている状態の事』

え?

ナニヲイッテイルンデースカー?

『あんた、いきなり昔にきて混乱してるんでしょ』

「そうだけど」

『私、説明してあげる』

「…頼む」


**************************************


欒が言ったのはこうだった。

此処は、7年前。

7年前のオレが居る世界。

そして、住んでいる村がある場所。

泰葉は、母さんの友達。

泰葉の名前を教えてくれた“声”は、此処のオレの意識だと言う。

家までの道もその意識が教えてくれていたらしい。

『このまま行けば、あの謎の男の名前・素顔も分かるわよ』

「…オレは「こぉーんにぃーちはぁーーーー!!!!」

オレの返事は女性の声に遮られた。

「泰葉…?」

「みたいですね。遊憂、出迎えてくれません?」

「!…母さん」

母さんが後ろに居た。

「…分かった。行ってくる」

タッタッタッタ…

駆け足で玄関へ向かう。

「泰葉。何の様だ?」

「いやー美味しいジャガイモが沢山入ってきたからおすそわけしようと…」

「ごめんね、こんな時間に…」

泰葉の隣に男性がいた。

その声は…

(謎の男と一緒…!)

「お前…!」

【それとは違う。この人は、なぎ。泰葉の旦那】

「和…?泰葉の…ダンナ!?」

「うんそうだけど…?どうかした?」

「ハッ、いやナンデモナイ!!ジャガイモありがとう!」

ばっとジャガイモを受け取り(というか奪い取り)部屋に駆けこむ。

部屋に入った途端に、ぼんやりと視界が歪む。

そのまま…意識を無くした。


***************************************


『遊憂?』

「なんだ?」

『将来のあんたは、此処をすっかり忘れていたわ』

「……」

『その方が良いのかもしれないけれど、あと、2日・3日で…』

「分かってる。この村が消えちゃうことになる。

だけど、こういう事があって未来のオレが居るんだから、いいんだよ」

『そうね』

3日後…火に包まれた村が在った。

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