白薔薇のイヤリングをあなたに 〜蛇場見さんちのまかないごはん番外編2〜
「あら、これアリスちゃんに似合いそう」
歩はハンドメイドショップのレンタルボックスを覗いていたら、とても可愛らしいイヤリングを見つけた。
白薔薇モチーフで、アリスの黒髪に映えると思った。
それに、不思議の国のアリスと言えば薔薇。
アリスは歩の店で働いてくれている女性だ。
先日、アリスから学校を卒業したら恋人にしてほしいと告白されたばかり。
告白してきた子にイヤリングをプレゼントするというのは、普通に考えたらそういうこと。
ボックス内に添えられていた作者のショップカードに見覚えがあった。
yamachi.S Yell。
アリスが歩に贈ってくれたピアスの作者だ。
とてもオシャレなデザインで歩の好みど真ん中。気に入って、今も身につけている。
これもきっと何かの縁。
歩は白薔薇のイヤリングを購入して、ラッピングもお願いした。
ハンドメイドショップを出たら自然と足が自分の店に向かう。
アリスは今日店番をしてくれているから、帰ってすぐに渡そう。
白薔薇の花言葉を思い出して、自然と笑みがこぼれる。
相思相愛。
私はあなたにふさわしい。
あなたの色に染まる。
意味を知ったらアリスはどうなるだろう。
すごく内向的で照れ屋さんだから、恥ずかしがって口をきけなくなるかもしれない。
いずれにしろ、可愛い反応をしてくれるのは確かだ。
歩は軽い足取りで店に帰り、アリスを呼んだ。
イヤリングをもらったアリスがどんな顔をしたのかは、ご想像におまかせする。
END