50.人生という冒険は続く
【作者からのお願い】
読者の皆様、ご愛読ありがとうございます!
これにて本編は『完結』です!
短期集中連載でしたが、楽しんで頂けたでしょうか?
少しでも面白い、まだ見たかったっという方がいるなら、至上の喜びでございます。
最後になりますので、ぜひとも評価を頂ければ幸いです。
ページ下部の☆☆☆☆☆⇒★★★★★にして頂けると、作者が泣いて喜びます!!
本編は完結ですが、番外編などは投稿するかもしれません。
ですのでお邪魔でなければ、ブックマークもしたままにしておくと便利かもしれません!
それでは皆様、またお会いしましょう!
後日談。
俺たちは無事、ギルドホームのある街へと帰還した。
「お帰りなさいませ。大変な旅でしたね」
「そうですね。中々大変でした。でも、得られるものも多かったですよ」
「そのようですね」
冒険者組合の応接室で、俺はディレンさんと語り合う。
旅の報告ともう一つ、新しいメンバーの紹介を兼ねて。
「このお茶美味いな! おかわり!」
「エレンちゃん! もっとお行儀よくしなきゃダメだよぉ」
「はははっ、元気のいい子たちですね。昔にあなた方に似ていますよ」
「かもしれないですね」
二人は正式に、俺たちのギルドに加入することが決まった。
将来性は高い。
今はまだ弱いけど、これからの成長に期待できる。
一緒に旅をして、彼女たちがどういう人間かも多少は理解できた。
正義感が強く、心優しく、仲間想い。
俺たちと共に戦ううえで、必要な要素はしっかり押さえている。
残るは彼女たち自身の意思だったが、そこは確認するまでもなかった。
「エレンさん、エリンさん、お二人はどうして、彼のギルドに入ったのですか?」
「そんなの決まってるじゃん! おっちゃんが一番凄いから!」
「ライカさんが一緒にいると、ゆ、勇気が湧くんです」
「そうですか。実にいいことですね」
ディレンさんは俺を見て優しく微笑みかける。
なんだか気恥ずかしい。
「これからもよろしくな! おっちゃん!」
「頑張りますから、いっぱい、いろいろなことを教えてください」
「……ああ」
新しい仲間は若く、素直で、笑顔がとても眩しかった。
◇◇◇
ギルドホームに帰還すると、賑やかな空気が漂ってきた。
俺の帰還にいち早く気づいたのはアナリスだ。
「あ! やっと戻ってきた! 遅いよライカ!」
「悪い。ちょっと話が弾んで」
「もう準備出来てるぜ。ほら、主役二人ともこっちこい」
「やったー!」
「あ、ありがとうございます」
今夜は宴だ。
エレンとエリン、二人のギルド正式加入のお祝い。
そして無事、グラーノを討伐したことへの。
グラーノ討伐によって、俺たちはS級冒険者になることがほぼ決まった。
後日に面談はあるが、ディレンさんからは確実だと言われている。
ついでに冒険者になったばかりのエレンとエリンも、一気にC級まで等級が上がった。
「めでたいことは一気に起こるもんだな!」
「そうね。グラーノが生きてたことには驚いたけど、なんとかなってよかったわ」
「ライカー、褒めてー」
「はいはい。プラトもよく頑張りました」
旅先では中々緊張して、危険も多いから気が抜けない。
ホームだからこそ騒いだりもできる。
賑やかな空気を楽しみながら、ふとアナリスと目が合った。
俺たちは示し合わせるように、すっと宴の部屋を抜け出す。
「ねぇライカ、黙ってたこと……怒ってる?」
「いいや、怒ってない」
「本当に?」
「ああ、少しだけな」
「う……ごめんなさい」
彼女が今も尚、魔王と戦い続けていること。
魔王の呪いの正体について、俺たちはグラーノとの戦い後に知った。
ただの呪いではないと思っていたが、まさか魔王の魂を抑え込んでいる状態だったとは……。
「十年かかるわけだ」
「うん……」
魔王の魂は彼女の肉体を奪おうと画策している。
もしも彼女の肉体が奪われれば、人類は再び絶望の淵に立たされるだろう。
そうならないために、彼女は一人で戦い続ける。
この先も……。
「死ぬまで、か」
「仕方ないよ。それしかなかったんだから」
「……なら今度は、魔王の魂を倒す方法を探さないとな」
「え……」
「だってそうだろ? これは俺たちの戦いだ。アナリス一人で戦わせない」
「――! うん」
彼女の瞳が涙で潤む。
弱さを見せない彼女には珍しい。
「ねぇ、ライカ。この先もずっと……一緒にいられるのかな?」
「当たり前だろ。俺たちは仲間なんだ」
「……それだけじゃ、不安なんだ」
「アナリス?」
彼女は突然、俺の胸に抱き着いてくる。
咄嗟に受け止めて、彼女を見下ろす。
「グラーノに捕まった時、怖くて……泣きそうになって……そんな時、ライカの顔が浮かんだんだ」
「俺の?」
「私……ライカ! 子供を作るなら、ライカの子供がいい!」
「は……え?」
突然のことで困惑する。
一体何の話をしているのかと、動揺する。
「きゅ、急にどうしたんだ?」
「わからないよ。自分でもこんな気持ち初めてで……でも、ライカがいいって思った。私、ライカのことが一番好き」
「――!」
「ねぇ、ライカ……嫌?」
上目使いで俺を見る。
心臓の鼓動が互いに交換できる距離。
熱が、息が伝わる。
アナリスが俺のことを好きだといってくれた。
こんなおっさんのことを、本気で……。
「俺は――」
「あ、おい押すなって!」
「――! え」
「ク、クーラン? みんなも!」
いつから盗み聞きしていたのか。
みんながクーランを下敷きにして現れた。
「ずるいよアナリス姉ちゃん自分だけ! あたしだっておっちゃん好きだからな! 好き同士なら子供って作れるのか?」
「わ、私も……その……できれば……」
「お前らいつから聞いて……」
アナリスが顔を真っ赤にする。
こんな顔、初めて見る。
勇者ではない人間の女の子としての反応に、思わず笑みがこぼれた。
「ボクもほしいなー。あーでも、みんなの子供も見てみたいかな~。そしたらこの先も寂しくないしねー」
「プラトが一番長生きだかんな」
「そうだよー。だから二人も頑張ってね」
「は!?」
「な、なんであたしがこいつなんかと! こ、子供作らなきゃいけないのよ!」
クーランとシスティーがわかりやすく反応する。
するとプラトはぽけーとしながら。
「えぇー、別にボク、二人の子供なんて言ってないけどー」
「「――!?」」
「そっかー、頑張ってね~」
嵌められた、という顔をする二人。
アナリスみたいに顔を赤くしている。
「ったく」
賑やかな日だ。
こんな日が続くように……俺たちは命をかけて戦ったんだな。
「楽しいね! ライカ」
「ああ」
楽しいよ。
みんなが一緒にいるから、生きることが楽しいんだ。
この先もそう思えるように。
ギルドというなの居場所を、俺は守っていきたいと思った。
さて、次の相手は誰かな?
それとも、新しい仲間と出会うかな?
人生という名の冒険は、まだ始まったばかりだ。
【作者からのお願い】
新作投稿しました!
タイトルは――
『通販で買った妖刀がガチだった ~試し斬りしたら空間が裂けて異世界に飛ばされた挙句、伝説の勇者だと勘違いされて困っています~』
ページ下部にもリンクを用意してありますので、ぜひぜひ読んでみてください!
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