プロローグ
初投稿です。よろしくお願いいたします。
「終わりだ、魔王!」
相対している魔王は満身創痍になっていた。
既に2本あった角も折れ、力尽きかけている。
「見事な力だ…しかし、まだ終われん!!」
魔王が咆哮し、最後の力を振り絞る。
「あああああ!!!」
魔王と対峙していた男性も最後の力を出し、魔王の体に剣を突き刺した。
「ぐっ…ふ、ふ、ふ…。ユリウス、今回は貴様に勝ちを譲ろう…。
しかし、我は復活して次は必ず貴様を見つけて八つ裂きにしてやる!!」
魔王の体と聖剣が白く輝き出すと光の中へ消えていき、
神器である聖剣と共に消滅した。
「ははは…ちょっと無茶しすぎたな…。」
ユリウスは魔王との戦いで負った傷から血が止めどなく溢れ、
もう手遅れだと自己認識する。
これまで共に戦った仲間達も退避させたため、
回復も間に合う事はない。
「でも、これで…俺の役目も、終わっ…た…。」
仰向けに倒れた彼は、これまでの出来事を思い返していた。
魔王に脅かされた人々の為、ユリウスと呼ばれる青年は仲間達と共に
身を削るように戦ってきた。
(俺の人生にも意味が出来たかな…。)
主を失った事で魔王城が崩壊していく。
城内にいたユリウスは眠るように目を閉じ、魔王城とともに瓦礫の中へと消えていった。
「----」
目を開けると、酷くぼやけて見えた。
しばらくすると、段々と目が慣れてきて、
周囲を見ると豪華な装飾で彩られた見慣れない部屋にいた。
ここはどこだ?
あの状況で俺は助かったのか?
…ダメだ、頭が回らない。
すると、空腹感が襲ってきた。
「あうあー」
(なんだ!?)
自分の声とは思えない声が出た。
うまく話す事が出来ない。
「あらあら。」
横から女性の声が聞こえてきたので目をやると、
お供を連れた黒髪の綺麗な若い女性がいた。
「イリーナ、ミルクの時間よ。」
そう話しかけてきた女性に、突然体を持ち上げられた。
(ばかな!?俺を持ち上げた!?)
自分の体をよく見ると、明らかに体格が小さくなっていた。
(な、なんだこれは?赤ん坊になっているのか!?)
「たくさん飲むのよ。」
「あぶぁ!?」
胸を押し付けられていた。
「…?イリーナ?お腹が空いていないの?」
「ぐ…」
何故赤ん坊になっているのかわからないが、
空腹で体が悲鳴をあげており飲まないと栄養が採れない。
そうして俺は羞恥心と戦いながら、授乳を受け入れた。
「げぷっ」
状況を考えるに、この女性は母親なのだろうか。
母親(仮)が赤子用のベッドに俺を戻して服装を正す。
「おやすみなさいませ、姫様。」
侍女と思わしき女性がそう告げてドアを閉め、
母親(仮)と出て行った。
人の気配が無くなったので再び目を開け、周囲を観察する。
部屋の大きさや豪華さを見るに、どうやらお金持ちか貴族の家のようだ。
移動を試みたが、やはりうまく立ち上がれなかった。
しばらくはこのままでいるしかない。
(…ん?)
そういえば、先程俺の事を姫と言っていなかったか?
(姫と言うことは、、、俺は女の子なのか!!?)
衝撃の事実に気が付き、しばらく放心してしまい、我に返ると
侍女らしき女性に下半身を拭かれていた。
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