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自分から追放された元貴族令嬢ですが許せないので見返します  作者: 創造執筆者
五章 クレハの躍進
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82 兵長のミッション

王妃の命でクレハのことを探していた兵士の1人はアルタル王国にいた。彼は若くして兵長の職に就いており、同世代のものたちの期待の星だった。王妃の命で国内外問わず探すことを命じられていたため、彼はアルタル王国に配属されていたのだ。


彼はまず情報収集のために酒場に向かうと酒場のマスターから、興味深い話を聞いた。


「マスター、最近何か変わったことはなかったかい?暇してるんだ、何か面白いネタはないかい?」


「変わったことですか?そういえば最近はやけに城に商人たちが出入りしていますね、食料や金属を運んでいるようです。どうしてそんなものばかり運ぶのでしょうか?」


酒場のマスターはなぜ、そのようなものばかり運んでいるのか分かっていない様子だったが兵長には心当たりがあった。


(食料や金属を納品している?まさか、戦争の準備か?クレハ様がいなくなった時期にいきなり戦争の準備とは偶然か、いや、そんな偶然あるはずない。確かクレハ様は様々な分野に関して優れたアイデアをお持ちだとか。もしかして今回のことと関係があるかもしれない。とりあえず潜入して確認する必要があるな)


兵長はすぐに行動を開始し、城へ潜入する。幸い、今は食料などを城に届けるものが多いため、人の出入りの規制は緩くなっていた。兵長が入った部屋は備品庫だろうか、そこにはアルタル王国の兵士の装備とみられるものが複数あった。


そこにある装備を一式着用し、アルタル王国の兵士に偽装する。しかし、備品庫を出ようとすると部屋の扉が勝手に開かれる。扉を開けたのは本物のアルタル王国の兵士だった。兵士に疑われるものの、兵長は機転を利かせ、クレハの居場所を聞き出そうとする。


「おい、お前ここで何をしている?」


「申し訳ありません、私は新しく牢の見張りに配属されたもので詳しい場所が分からず、探していました。お手数ですがそちらの場所を教えて頂けないでしょうか?」


「何だ新入りか、確かにこの城は広いからな、私も配属された当初はよく迷ったものだ。牢の場所ならばここから西に行った階段を下りていけばいい。じゃあ、がんばれよ新入り」


幸い兵長は若かったため、新兵と言っても不自然に思われなかった。先ほどの兵士の言う通り、西側に進むと階段が見えてきた。階段を下りた先には牢に収監されている囚人たちや見張りの兵士が一人だけいた。


「おい、お前何しに来た?」


兵士は兵長に武器を向けるがまたもや、機転で危機を回避する。どうやらこの国の兵士はあまり優秀でないようだ。


「新しく見張りに配属されたものです。よろしくお願いします」


「おお、そうか。じゃあ新入りに早速仕事だ、お前に見張りを命じる。俺はしばらく休憩してくるからな」


兵長の思惑通り、見張りの兵士は仕事をさぼり始める。兵長はすぐさま、牢にクレハがいないかを確認する。牢の一番奥を確認するとやせ細ってはいるが報告にあったクレハとそっくりな女性が横たわっていた。


「クレハ様、クレハ様ですか?もしそうなら返事をしてください」


すると目の前の女性はその言葉に反応する。


「確かに私はクレハですがあなたはいったい誰ですか?」


「私は王妃様の命を受け、あなたを探しているものです。すぐに助け出します」


兵長は先ほどの見張りの兵士から受け取っていたカギを使いクレハの牢のカギを開ける。それから、クレハに備品庫から持ち出していた装備を着用させ、囚人と分からないように偽装した。


「よく私がここにいると分かりましたね、いえ、それよりもこの国は戦争を起こそうとしています。奴らはコーカリアス王国に戦火を広げるつもりです。すぐにでも王妃様たちに報告を」


「あなたを見つけられたのは本当に幸運でした。それに、戦争を起こそうとしているのは私も把握しています。国に帰還次第、報告を行います。それよりも、今は脱出を優先に」


牢の見張りの兵士はさぼっていたため誰にも咎められることなく牢を脱出する。クレハも兵士の格好をしており、頭から兜をかぶっているため、見張りの兵士に出会っても特に声をかけられることはなかった。この国の兵士たちの練度が低かったのが幸いしたのだろう。


誰にも気づかれることなく、クレハ達はアルタル王国を脱出し、ルークたちの元へと向かうのだった。


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― 新着の感想 ―
[一言] うわぁ・・・。 これは酷いな。 もう少し練度が高ければ、大丈夫だった筈なのに・・・。 まぁ、宰相は踊らされてるし、兵士の剣も品質は最低。むしろ、こんなんで戦争なんて仕掛けたら、圧倒的に…
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