75 カミングアウト
ルークは久しぶりのクレハとの再会に喜びつつも、キュリスでの話がうまくいったのかが気になり、そのことを尋ねる。
「オーナー、お帰りなさい。キュリスでの会談は成功しましたか?」
「ええ、大成功です。お風呂屋は王妃様の推薦であるロドシアに任せてきました。次に行くときは抜き打ちでチェックを行うときですね」
「僕もあってみたいですね。どんな方なんですか?」
クレハはロドシアのことを思い出し、苦笑いを浮かべる。
「お風呂のことに関してはサラさんみたいな人と言っておきます」
「その話を聞いてなんとなく分かりましたよ」
クレハがピトリスの街へ帰ってきてからしばらく経ち、クレハの湯が営業を開始したという連絡がきた。すでに王妃にも連絡が行っており、王妃は早速クレハの湯に向かったのだとか。クレハもロドシアがうまく営業を行えているかを確認するために再びキュリスの街へと向かった。
「ルーク、1週間程度で戻りますから商会をよろしくお願いしますね。遅くなるようでしたら連絡を入れます」
「分かりました、行ってらっしゃいオーナー!」
クレハがキュリスの街にあるクレハの湯に到着するとすでに客で溢れていた。どうやら、ロドシアに任せて正解だったようだ。クレハは働いている従業員にロドシアがどこにいるのかを尋ねる。
「あなた、ここの店長であるロドシアはどこにいますか?」
「ああ、オーナーいらしていたんですね。ロドシアさんは今、王妃様たちの対応にあたっています。ご案内いたしますので、こちらへどうぞ」
クレハが案内されると王妃とサラ、ロドシアの三人がいた。従業員はクレハを案内すると自らの仕事のために帰っていった。サラはクレハがやってくるのを見つけるとすぐさま、詰め寄る。
「クレハ様、あのタコ天というものは何なのですか!竜田揚げの進化したものですか?竜田揚げとは違った食感でとてもおいしいです。元の材料となった食材の見た目は少々気になりますが、そんなもの美味しさの前では無意味です!」
サラはひたすらタコ天のことに関して語っているが、いつまで経っても終わらなそうなため、ひとまず置いておく。
「王妃様、お久しぶりです」
「あら、クレハ久しぶりね。タコ天、とっても美味しかったわ。さすがクレハね、そういえば、ロドシアは優秀でしょう?お風呂のことになるとチョットおかしくなるけど」
「王妃様、おかしくなるとはどういうことですか?私はこの素晴らしいお風呂を皆さんに布教しているだけですよ。それに、私も毎日お風呂に入れて最高です。もう一生この仕事でいいです」
「あなたは私のメイドでしょう、サラといい、あなたといい、どうしてあなた達姉妹はこうなんでしょうか?」
とりあえず置いておいたサラがいつの間にか会話に参加していた。
「王妃様、どうして私がロドシアと同様なんですか、私はこんなのじゃありません!」
サラの反論は置いておき、王妃の驚くべきカミングアウトにクレハはとても驚く。まさか二人が姉妹であるとは思いもしなかったからだ。
「サラさんとロドシアさんって姉妹だったんですか?」
「ええ、そうですよ。まあ、血のつながっている姉妹ではありませんが。私たちは施設育ちで、ロドシアはいつも姉のような存在だったんですよ。」
二人の過去の話についてクレハは気になり、サラに尋ねる。王妃も二人の子供のころの話を聞きたがっており、興味津々だ。
「その話、すごく気になります!ぜひ聞かせてくださいよ」
「私も気になるわ、二人が子供のころの話はあまり聞いたことがないからぜひ聞かせて頂戴」
サラは二人の過去に関して語り始めた。
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