表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
57/387

54 露店のための新商品

クレハはサラから逃げるために急いで自らの商会に帰ると、事前に頼んでいた商品をルークが用意してくれていた。


「オーナー、お帰りなさい。頼まれていた商品は用意しておきましたよ」


「ありがとう、ルーク。早速、試作に移りますわ」


まず、クレハはルークが買ってきたジャガイモを取り出し、作業を進める。


「まず、このジャガイモをすりつぶします。ドロドロになるまですり潰して、きれいな布で、こします。こした液体をしばらく放置して、上澄み液だけ取りますよ。あとはこの残った液が乾燥するまで待ちます。これが片栗粉っていうんですよ」


「オーナー、その片栗粉っていうのは何ですか?」


ルークは不思議に思い、クレハに尋ねるが、まだ教えてくれない。


「それはすべて見てからのお楽しみですよ。さて、乾燥をしている間に下ごしらえをしていきましょう。ルーク、鶏肉を一口大に切ってくれますか?私はその間にニンニクとショウガをすりおろしていきますから」


「はーい、わかりました」


ルークは片栗粉が何かをクレハに秘密にされてしまい少し不貞腐れてしまったが、クレハが作るものに不味いものはないと、急いで自らに与えられた仕事に取り掛かる。ルークが鶏肉を一口大に切り終わったころ、クレハの方を見るとちょうどニンニクとショウガをすりおろし終えていた。


「オーナー、こっちは完了です」


「分かりました。ではこのボールに鶏肉を入れてくれますか。この鶏肉に、お酒とニンニクとショウガを混ぜ合わせておいておきます。あとは片栗粉が乾燥して出来上がるのを待つだけですね。少し休憩にしましょうか」




片栗粉が乾燥し、クレハとルークは調理を再開する。


「ルーク、鍋にたくさんの油を入れてもらえますか?鍋に、めいいっぱい入れてください。それができたら鍋を火にかけて下さいね」


クレハの指示にルークは油を鍋いっぱいに入れ、火にかける。それを確認するとクレハは調理を進める。


「それでは作っていきますよ。まず、たれに付け込んだお肉に乾燥してできた片栗粉を付けます。粉が付きすぎれば少しはたいて下さい。これを油の中に入れます」


クレハが油の中に肉を入れると、クレハとルークの耳にジュッという心地よい音が聞こえてくる。


「オーナー、なんだかとっても美味しそうな音ですね。それに香りもすごい美味しそうです。でも、こんなに油を使ってしまって贅沢ですよね」


「これでいいんですよ、これはたくさんの油を使うからこそ美味しくなるんです。さて、ここでいったん上げますね。そして、今度は鍋の温度を先ほどよりも上げて、短い時間お肉を再び入れます。これが二度揚げという技法ですよ。これでお肉はさらにおいしくなります。ルーク、お塩を付けて食べてみてください。竜田揚げの完成です!」


クレハが露店祭のために考案した新たな料理とは竜田揚げだったのだ。ルークは早速クレハに言われた通り食べてみる。竜田揚げを一口かじるとサクッとした触感からジューシーな鶏肉が顔をのぞかせる。ルークは熱さのあまり、口の中で竜田揚げを転がす。


「熱っ、はっはっ。オーナー!これとっても美味しいです。これなら食べやすいですし、絶対に露店で売れますよ!」


ルークの声にクレハもひとかじりする。この世界には前世のころのように調味料があるわけではないため、クレハ的には少し物足りない味であったが、初めて食べたルークにとっては衝撃的なものだったのだろう。クレハの横でルークはパクパク竜田揚げを頬張っている。


クレハも久しぶりの揚げ物にどんどん竜田揚げをとる手が進むのだった。


「ルーク、露店祭はこれで行きますよ。まずは片栗粉をたくさん作らなければなりませんから、ジャガイモをどんどんつぶしていきますよ。片栗粉は日持ちしますから今から作っておいて大丈夫です。」


クレハたちはせっせとジャガイモをつぶし始めるのだった。


読んでいただきありがとうございます!

ブックマーク登録、高評価を頂ければ大変嬉しいです!

よろしくお願いいたします

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ