358 学園生活の終わり
「貴様か、貴様がクレハか!貴様が、我がホルイン家の商売を潰したのか!」
ホルイン伯爵は目の前にいるクレハが自分達の商売を潰してくれた人間だと分かると案の定、怒りを隠せないようだ。しかし、クレハはそんな伯爵を更に苛立たせるのであった。
「おやおや、潰したなんて人聞きが悪い。私は売られた喧嘩を買ってあげただけじゃないですか。その結果、あなた方が負けただけですよね。それを私のせいにされても困りますよね~。」
「貴様!何だ、その口の利き方は!男爵風情が伯爵に対する口の利き方か。」
伯爵は男爵であるクレハが自分に不遜な態度をとったことに、さらに怒りのボルテージを上げると周囲のクラスメイト達はクスクスと笑い声をあげ始める。
「ふっ、男爵風情って、ふふっ、もはや貴族として風前の灯火なのに。潰れるのも時間の問題だろ。」
「だよな、今は伯爵だから一応は偉いかもしれないけど、普通にクレハ先生の方が格は上だろ。」
「ぷぷっ、どうやら子供たちの方が現状を良く理解しているようですね。こんな生産性が無いことをしている暇があるのであれば金策の一つでもやればいいじゃないですか?」
ホルイン家は香水を作るにあたって原価がかなりかかっているため、その香水が売れなければ財政事情は一気に傾いてしまうのだ。
「うるさい、ガキどもが!お前たちなど簡単に潰せるのだぞ、今笑ったやつ、商会ごと潰してやろうか!」
「あぁ、そんなことになってしまったら私が支援しますから問題ありませんよ。ですので、皆さん、安心してください。まったく、大人が子供のすることにも向きになって恥ずかしくないんですか?
あぁ、もしかして、あなたの金策とはこんな幼気な子供たちにお金をたかることなんですか?あぁ、なんて恥ずかしい伯爵様なんでしょうか、この親にしてこの子ありですね。大人の一人として恥ずかしい限りですよ。」
「そうです!私の学園から出て行ってください、伯爵なんてお呼びじゃないんですよ!」
伯爵に対して生徒たちは嘲笑の目で蔑み、クレハは彼の行いを煽り続ける。学園長もいつの間にか立ち直り、しれっと、この中に混じっている。
「クソが、まだ言うか!少し売れ行きが良いからと調子に乗るなよ。お前たちに貴族の恐ろしさを教えてやる。特に貴様!貴様は簡単に今の地位から引きずり下ろせそうだからな、手始めに貴様から地獄に落としてやる。」
そんな捨て台詞を吐きながら伯爵とギュラーは部屋を去っていく。ちなみに、伯爵が指名したのは学園長であった。
「えっ、何で私からなんですか、私、一言しか言ってないですよね、ちょ、待ってくださいよ!クレハ様、助けてください、私達、仲間ですよね。」
「えっ、生徒の実家は守りますよ。」
「ちょっと、私は、私は!」
「さぁ?学園長はみんなを守る立場ですから、私には到底守ることはできませんよ。」
「そんな~、助けてくださいよ~!」
こうして、いつもの様に学園長はスルーされ、クレハの学園での生活は幕を閉じるのであった。
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