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35 ダダの帰還

2日間の諸国会議も終了し、各国の重鎮たちは自国へと帰還していく。ピトリスの街ではそんな彼らに対して最後の商機と商人たちが賑わいを見せていた。


そんな中、マタス公国の王子であるダダは王や使いの者たちと以前、気に入ったクレハ商会を訪れるのだった。


「父上、こちらが私の言っていたクレハ商会です。この商会の商品はどれも見たことがないようなものばかりなのですよ」


ダダ王子はマタス公王にとても楽しそうに話しかける。そんな息子の楽しそうな姿にマタス公王は微笑みながら自分も興味深そうに商品を見る。


「ダダよ、この商品は何なのだ?この雲パンというものだ」


「父上、どうやらこれはフワフワのパンらしいですよ。実は以前にこの店を訪れましてその時に調べたのです。それにここの隣にあるクレハの宿には素晴らしいベッドがあるらしいですよ。ぜひ今日はそちらに泊まっていきませんか?」


「ほう、そんなにフワフワなのか。それなら一つ買っていくとしよう。それに素晴らしいベッドか、睡眠はとても大事だからな。ダダの勧めとあれば泊まるしか無かろう」


「ありがとうございます、父上。それにこの店の商品はどの商品も他では買うことのできないものなのでぜひ買って国に帰りましょう!」


マタス公王はダダ王子の勧めにより雲パンやほかの商品を購入することに決め、隣のクレハの宿に泊まることを決定した。


「店主、こちらの商品をすべて頂けるかな?」


マタス公王はダダ王子と共に、クレハの元に商品を持っていく。そんな彼らにクレハは気づくと一人は以前にまた来ると去っていった男だと気づいたのだ。


「はい、お買い上げありがとうございます。あら、あなたはお久しぶりです。また来ていただきありがとうございます」


「覚えてくれていたんですね。こちらは父上です。以前に見せていただいた商品があまりにも珍しいので父上にもご案内をと、お連れしたのですよ」


彼らはとても王族とは思えないような気軽さで話しかけるのだった。そんな彼らが王族と気づくはずもなくクレハは二人に話しかける。


「そうだったんですね、ご来店いただきありがとうございます」


「うむ、それで息子から聞いたのだが、こちらの商会は優れたベッドを提供している宿も経営しているのかな」


「はい、隣の建物では特別なベッドを用意しているクレハの宿がございます。今晩お泊りになられますか?きっと旅の疲れが取れますよ」


「そこまで言うなら、そのベッドを試させてもらうぞ」


そう言うと、マタス公王一団はクレハの宿に宿泊する。

だが、彼らがこの宿に泊まることによってクレハ商会は救われることになる。


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