34 諸国会議・2日目
諸国会議、二日目。そこでは昨日のアルタル国王の出来事など誰も気にすることなく会議を進めていた。アルタル王国が宣戦布告をしたとは言え、本当にあの国の国王が戦争を起こすなどと考えてはいなかった。しかし、王たるもの、もしもを考える必要があり彼らは昨日、自国に向けて連絡を入れていたのだ。また、仮に戦争がはじまるとしても、すぐにではない。そのため、貿易によって自国に利益をもたらすことこそが彼らの仕事であるので王たちは今日も会議を進める。
今、会議はコーカリアス王国とライスオット帝国間の貿易の議題が上がっていた。しかしながら、2国間の貿易はあまりうまくいっていなかった。ライスオット帝国の商品をコーカリアス王国があまり購入していないからだ。いつもであれば、ここまで購入金額が少なくなることはなく、明らかに王国側が買い渋っている。このままではライスオット帝国の貿易が赤字となってしまう。そのため、ライスオット帝国の宰相はコーカリアス王国の宰相に何故いつもと購入額が違うのか尋ねるのだった。
「王国の宰相殿、なぜ今年はここまで購入金額が少ないのでしょう?毎年であればもっと多かったと記憶しているのですが」
「ええ、それなのですが。どうやら貴国の貴族が王妃様のお気に入りの商会に手を出したようで、とてもお怒りなのですよ。ですので、今年の取引額を大きく減らすようにと」
「そ、それは真実なのですか?貴国の王妃様が目をかけている商会に手を出すとは。それでは国際問題とも言えます」
「私がお聞きした話では王妃様がお目をおかけし始めたのはその貴族が問題を起こした後とのことですが、よほど王妃様はその商会をお気に召しているようで大変お怒りなのです」
帝国の宰相は王国の宰相の言うことが本気だと分かり、自国の貴族が原因で今回の貿易の利益が減ったことに対して怒りを感じ、その貴族を必ず許さないと誓う。
「そ、それはどこの貴族なのですか?名を教えて頂ければ私が必ず罰しますので、どうか取引額を上げていただけないでしょうか?」
帝国の宰相は王国の宰相に頼み込むが、それは王妃の命だと却下される。そのため、ここで騒ぐわけにもいかず、おとなしく手を引く。しかしながら、王国の宰相からはシルドラ家が王妃のお気に入りの商会のクレハ商会に手を出したものだと告げられたため、諸国会議が終わり次第、シルドラ家を罰することを決めたのだった。
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