325 騙されているのは誰か?
ビスラ達、商人連合がクレハと共にやって来た存在に驚いていたのは彼らが知っている存在であったからだ。
「何でテメェーがそっちにいるんだよ、コズミィ!」
「ちょっ、聞いていた話と違うじゃないですか、どうして彼女があっち側にいるんですか!」
「そうですよ、俺たちはコズミィ商会がこっち側につくって聞いたから、あんたについてきたんですよ。」
「お、俺だって知るかよ。こんなの予定外だ。おい、コズミィ、てめぇ、どういうつもりだ!」
クレハと共にやって来たのは何とコズミィだったのだ。本来であれば彼女はビスラ達と共にクレハ商会に対して敵対するつもりであったのにこの状況を見ればだれが見ても彼女はクレハ側の陣営だった。
実は彼女、クレハとの業務提携に関する打ち合わせをクレハの元で行っている最中に街で商人連合なる者たちが疑わしい活動をしていると聞き、自分も一緒についていくと言い、クレハと共にやって来たのだ。
「はぁ?どういうつもりだって、あたしは断ったよね。あんた達みたいに卑怯な手で成り上がりたくはないって。勝手にあんたたちの仲間にしないでくれる、汚らわしい。」
「てめぇ、裏切ったのか!説明しやがれ、お前がこの計画を言い出したんだろうが!」
「変な言いがかりはやめてくれる、どうしてあんた達の計画に私が参加していることになっているのよ。言いがかりもここまでくれば醜いわね。」
もちろん、これは彼女の計画どおりであるがビスラ達からすれば全く予想外の展開である。すべてを知っている人間からすれば商人連合はコズミィに騙された哀れなものたちでコズミィこそがこの騒動の黒幕と言ってもいいだろう。
しかしながら、事前にコズミィが自分に警告を行い、業務提携も順調に進んでいる中、彼女が商人連合に批判されている状況をクレハが見れば彼女の目にはどう映ったか?
彼女からすれば自らの危険も顧みずに自分に警告をした善良な商人が貶められているようにしか見えなかったのだ。だからこそ、ビスラ達がコズミィに対して裏切り者と吐き捨てているこの状況もただの茶番にしか見えず、彼女を守りたくなった。
「そうですね、自分たちの言いなりにならなかったと言って彼女にすべての責任を擦り付けて自分たちは騙されていたとでも言うつもりですか?
自分達でこのようなことを始めたのであれば最後まで自分たちで責任を取ってはいかがですか?男なら、せめて最期くらいまともに散ってはいかがですか?」
クレハはこのような企みをしたビスラ達を汚物を見るような目で見下している。
しかしながら、ビスラ達からすれば確かに騙されているのは自分たちもかもしれないがその中にはクレハも含まれているのだ。だからこそ、クレハにそのことを伝えようとしたがこの現状ではどう考えても悪は彼らの方であった。
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