311 財産没収
「今回は本当に助かったわ、ありがとうね。あの二人が行っていた悪事も一瞬で住人たちに広まったから捕らえたとしても暴動は起こらなかったし、すべて丸く収まったわ。ほんと、よくあんなことを思いついたわね、あんな証明方法普通は考えつかないわよ。」
セルファム伯爵たちが捕らえられたことによって徐々にパニックは終息を見せていた。まさかあのような方法でセルファム伯爵の化けの皮を剥がすとは考えていなかった王妃は彼女の手口の巧妙さにほれぼれしているようだ。
「そうですか?王城なら政治とかで無罪の罪とかを擦り付けるために証拠をでっちあげるくらい行われているかと思ったんですけど。」
「確かにそう言う面もあるかもしれないけど、だからと言って実行に移せて成功することが出来る人間はごく少数よ。」
「そうなんですね、全然イメージと違いました。そう言えばあの二人はどうなるんですか?私も使ったお金を回収したいので簡単に死んでもらわれたら困るのですが・・・。」
クレハは捕まった例の二人の今後が気になり、王妃に質問するが彼女の言い分から大切なのは巻き上げられたお金なのだろう。既に捕縛された二人のことなどは興味がないと言ったような様子だった。
「あぁ、その点に関しては心配しなくていいわ。あの後、伯爵邸を大捜索したら屋敷の中から貯えが出るわ出るわで、一財産になったのよ。もちろん、お金は国が回収して騙された人たちの補填にあてるのだけど。
クレハには伯爵から回収した10%を受け取る権利を財務大臣から掻っ攫って来たわ、あの狸爺、あれだけの財産を回収できたのは全部クレハのおかげだっていうのに色々理由をつけてケチってくるんだから嫌になっちゃうわ。まぁ、元々かなりの額だから10%でも今回あなたが使った金額が霞んでしまうほどなんだけどね。」
クレハとしては何かと理由をつけて伯爵から自分が使った金額よりも少しだけ多くせしめようと思っていたがまさか伯爵の財産の1割ももらえることになるとは予想もしておらず、少しだけ申し訳なくなってしまう。
「本当に大丈夫なんですか、別に私は大丈夫ですよ。今回の騒ぎで臨時収入もありましたし、使ったお金を返してもらえればそれでいいですし。」
「何言っているのよ、貰えるものはもらっておいたほうが良いに決まっているじゃない。むしろもっとよこせって言ってもいいくらいなんだから、どうせ例の治療院の院長も伯爵も一生檻の中なんだから遠慮もしなくていいしね。」
「あぁ、そう言えばあの二人の処遇が決まったんですか?」
「えぇ、二人とも今回はやりすぎなんてレベルじゃないから極刑はま逃れるものの、二度と日の目を見ることはないでしょうね。それに、あの治療院は国が管理することになって、まともじゃない医者は一斉に解雇を行って健全な経営をしていく予定よ。それよりも、臨時収入っていったい何なの?」
王妃にとっては二人の処遇よりもクレハが先ほど発した臨時収入という言葉が気になって仕方ないのだ。
「それは秘密ですよ、たとえ王妃様と言えども出所を教えるわけにはいきません。」
流石にここで臨時収入の出所が審問院であると彼女に伝えてしまえば臨時収入が無くなってしまうことになりかねないのでクレハは少しばかり濁すような形で王妃に返答する。
「あら?また何か企んでいるのかしら?あなたといると面白いことが尽きないわね。」
「まぁ、似たようなものですね。いずれ、分かる日が来るかもしれませんがそれまでは秘密にさせてください。」
こうして、審問院とセルファム伯爵から臨時収入を大量に得たクレハは次の事業の計画を進めるのだった。
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