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302 爆発寸前

国中の大パニックという事件は治療院が発表した情報を全く信用していないクレハにとっては一見、関係がないものに見えた。しかしながら、クレハの予想に反して今回の件と関わることになるのである。


「ビオミカ男爵!どうか私達をお助け下さい。」


「薬を、薬を売ってください。おねがいします、あなたの商会なら売っているはずですよね。貧しい私達には買えないんです、どうかお願いします!」


先日、領民に薬の規制を解禁しろという迷惑な客が屋敷に現れ捕まえたばかりだと言うのにクレハの屋敷の周りにはまた、何人もの人間が屋敷を取り囲んでいた。


なぜ、このようなことになっているのか?それは治療院が起こしたパニックによって需要と供給のバランスが崩壊したからである。


当初、治療院はある一定の金額で偽の治療薬を販売していたが情報が国中に回り、一気に薬を求める人間が治療院へと押し寄せてきた。そうなれば治療院が供給できる治療薬の量も限られているわけで彼らは値段をさらに釣り上げることによって対応したのだ。


それでも商人や街の有力者などは購入が可能で徐々に徐々に治療薬の値段は高騰していった。そうなってくると困るのは金持ちでも何でもない庶民である。


彼らは自分たちの財産では治療薬を買えなくなってしまいどうしたのか。答えは簡単である、かの有名な商会であるクレハ商会であるのならばそんな薬もあるのではないかという考えにいたり、今度はクレハ商会へと押し寄せてきたのである。


しかしながら当然、そんなものをクレハが販売しているわけもなく、なんとかして薬を売って欲しいと嘆願しに彼女の屋敷へとやって来たのだ。


「オーナー、ど、どうしましょう。屋敷中が囲まれていますよ、このままじゃ外出すらできません。」


「分かっていますけど、何回説明しても信じてくれないんですよ。毎度、毎度、変な商品ばっかり売ってきたうちの商会なら薬の一つや二つ、すでに開発しているんだろうって昨日も商人が訪ねてきましたよ。」


先日もクレハの元に”薬を出し渋っているのだろう?私に売ってくれれば大儲けさせてやる”と言った商人が彼女の元を訪れてきたのだ。しかし、そんなものがあるはずもないためクレハはすぐさま追い出していた。


「それで、どうしたんですか?」


「そんなの追い返したに決まっているじゃないですか、そんなものは無いんですから。はぁ、全くどれだけこちらに迷惑をかければ気が済むんですかセルファム伯爵とやらは。そろそろ限界ですよ、いい加減こっちは静かに過ごしたいんです!


それに、こんな状況になっても王室が何も対処していないなんて、どうなっているんでしょうか?とにかく、これ以上こんな状況が続くのであれば私が別の意味で限界を迎えます。というか、無理やり限界を超えて見せます。そうなる前に何とかして今の状況を知らなければなりませんね。」


こうして、流石にそろそろ限界を迎えそうなクレハは自分が爆発してしまう前に今の状況を知るため、王都へと向かうのであった。


よろしければブックマーク登録や↓にある☆☆☆☆☆を★★★★★にしていただければ大変うれしく思います。


また、作者は他の作品も投稿していますので興味がある方はそちらもお願いいたします。

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