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300 クレハの考察

ルークが正座をし、クレハの目の前に座ると早速お説教が始まる。


「良いですか、寿命が短くなる可能性がある?そんなことを言う情報は基本的に嘘です!というか、絶対に嘘です。そんな情報に騙されてどうするんですか。」


「で、でも、実際に全能薬の患者の治療も行っている治療院が発表した情報なんですよ。それならその過程で分かったことかもしれないじゃないですか、なんで嘘になるんですか?」


完全に治療院の存在を信じ切っているルークに対し若干のため息を吐き、クレハは話を続ける。


「それでは聞きますけど、寿命が短くなったってどうやって調べたんですか?」


「えっ?それは、患者さんの周囲にいた人たちが早死にしているということではないですか?」


「先日までこの街以外は薬の規制がされていなかったんですよ。本当に早死にしているのであれば国中で死者が多発しています。今頃は国の終焉ですね。」


「あれ?そう言われればそうですね、でもそんなことにはなっていませんし。」


ルークの言葉にクレハが反論すると彼はその反論を覆す答えを持ち合わせていないようで困惑してしまっている。


「確かに、寿命が短くなってしまうと言ったことを調査する方法が無いとは言いません。ですが、そのことを正確に調査しようと思えばここまで短期間では不可能なんです。


全能薬のことが騒ぎになり出したのは本当に最近の出来事なんですよ。どう考えても治療院が早とちりで誤った情報を開示してしまったか、あるいは、あえてその情報を出したのか。」


クレハは自分で治療院の失態に関して話しながら先ほどのルークの話を思い出す。その時、クレハは治療院の真の狙いに気が付いてしまうのだった。


「あの、ルーク、確か先ほど、寿命が短くなることに対抗する薬が出たと言っていましたよね。それって治療院が出しているんですか?」


「はい、僕が聞いた話だとそうでしたけど。それがどうしたんですか?」


「私のただの思い違いだと良いんですけど、今回の件が私の想像通りだったら国中がパニックになりますよ。」


クレハは自分の考えが正解であった場合のことを考え顔を青くしているがルークに至っては未だにどういう状況なのか分かっていない様子だった。


「だから、いったいどうなるって言うんですか?僕にも分かるように教えてくださいよ~。」


「これはまだ私の仮説ですが、今回の寿命が短くなるという事実を治療院が嘘だと分かったうえで流しているとします。そうすると一番の問題は自分が薬による影響を受けているかどうかわからないと言った事なんですよ。


確かに、近所に薬で性格が変わってしまったという人間がいれば心当たりがある人がいるかもしれません。ですがどれだけその患者の近くにいる人間が影響を受けるのかと言ったことは全く分かっていません。近所に住んでいれば影響を受けてしまうのか、村に一人いれば全員が影響を受けるのか、何も分かっていないんです。


そうすると国中の人間が自分は薬の影響を受けているのではないかと不安になり、パニックになるんですよ。こんなことになると分かっていながらそんな情報を流したのなら悪質すぎますし、偽の情報であれば収まることなんてないでしょうね。


その事実は嘘なんですから、噂を流した側も撤回するはずがないでしょう。本当に国中で大パニックになりますよ。」


このように持論を語ったクレハは頭を抱え、その話を聞いたルークはこれから国中で起こる大パニックにおびえるのだった。残念なことにクレハの考えが現実になるのにそう時間はかからなかったのである。


よろしければブックマーク登録や↓にある☆☆☆☆☆を★★★★★にしていただければ大変うれしく思います。


また、作者は他の作品も投稿していますので興味がある方はそちらもお願いいたします。

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