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281 秘密の面会

ルークが街で全能薬の話を聞き終えると早速クレハに報告を行うのだった。クレハもルーク同様、全能薬の効果があまりにも多いため不自然だと感じているようだった。


「街で話を伺ってみたらこんな感じなんですけど、オーナーはどう思いますか?やっぱり変ですよね。」


「えぇ、そんな何でもできてしまうものが出回っていること自体がおかしな証拠ですね。本当に何でも効く薬だったら私なら人になんか売らないですべて自分で使ってしまいますよ。」


クレハが全能薬の存在自体を怪しんでいるとルークは話を聞いた商人から実際に一週間で体重が劇的に減少した話を思い出す。


「でも、話を聞いた限りではその薬の効果を実際に見たことがあるっていう人がいるんです。それは一体どういうことなんでしょうか?」


「そうですね、ルークが話を伺った商人の人が何か勘違いをしていると思いたいんですけど、街で広がっている噂の件もありますからね。そう言えばその方は王都で例の薬を買えるって言っていたんですよね?」


「はい、僕が聞いた限りではそう言っていました。もしかしたら王都では食べ物を売る感覚でその薬を売っているのかもしれないですね。」


ルークは王都で全能薬が売られていると聞き、案外、普通の商品と同様に販売されているのではないかと考えていた。しかし、クレハからすればそんなことがあり得るのだろうかと不思議な表情で頭を悩ませている。


「とにかく、そんな怪しい薬を領内で蔓延させるわけにはいかないですから至急、王都に行って詳しいことを調査しましょう。もしかすれば王妃様やサラさんにお会いすれば何か分かるかもしれませんし。」


こうして、嫌な予感を振り切れないクレハは王都にて詳しい状況を調査するのであった。




時はさかのぼりコーカリアス王国で全能薬の噂が広まる前、チーリエ王国からコーカリアス王国に亡命を成功させた使者と従者の二人はとある貴族と秘密裏に面会を行っていた。


「セルファム伯爵、この度は面会の希望をお受けしていただき誠にありがとうございます。こちらは私と共に亡命を希望するものでチーリエ王国にてプアア王妃の付き人をやっていました。」


使者と従者の二人はセルファム伯爵に深々と頭を下げると彼は深く考えるようなしぐさで話し始める。


「話は聞いている、チーリエ王国から匿って欲しいということだったな。だが、お前たちはこの国の王妃に無礼を働いたのだろう。そんな人間をこの国が迎え入れるなどありえないことだとは思わなかったのか。」


彼らはセルファム伯爵に対してコーカリアス王国に亡命を希望するため、口添えをしてほしいと面会を求めたがナタリー王妃に対して暴言を吐いたという事実はセルファム伯爵も知っていたため、そのような要求が通るはずがないとわざとらしく答えるのだった。


もちろん、彼が本気でそのような事を言っているわけではないと使者も理解していた。だからこそ彼は従者を助けたのだ。


「もちろんでございます、私はコーカリアス王国にではなく、セルファム伯爵に助けを求めたいのです。これはそのお礼というわけではありませんがお受け取り下さい。」


ここで使者は初めて従者が持ってきた怪しげな粉を取り出すのだった。初めはいきなり何を持ち出したと怪訝な表情をしていたセルファム伯爵であったがその粉の正体に気が付くと一気に気持ち悪い笑みを見せる。


「これはもしや全能薬か。しかもこの匂い、かなりの上ものじゃないか。くくっ、良いだろう。これだけのものを用意してきたんだ、私もそれなりの礼を尽くさないとな。チーリエ王国やコーカリアス王国からは匿ってやろう。ただし、私がするのは匿うまでだ。それ以上は望むなよ。その条件でいいならば取引成立だ。」


セルファム伯爵が良いと言えと無言の圧を使者にぶつけていると彼は申し訳なさげに話を続ける。


「申し訳ありませんが我々も手持ちはこれしかないので少しばかりのお金を頂けないでしょうか?そうでないと日々の暮らしもままなりません。どうかお願いいたします。」


「む、そうか。それならば仕方ない、いくらかくれてやろう。それ以上は無いな、よし契約成立だ。」


こうして、チーリエ王国空亡命してきた彼らが持ち出してきた怪しげな粉はセルファム伯爵の手に渡ったのであった。この行為がコーカリアス王国にとって良いものだったのか悪いものだったのかはいずれ分かることになる。


よろしければブックマーク登録や↓にある☆☆☆☆☆を★★★★★にしていただければ大変うれしく思います。


また、作者は他の作品も投稿していますので興味がある方はそちらもお願いいたします。


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