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自分から追放された元貴族令嬢ですが許せないので見返します  作者: 創造執筆者
九章 リーシア教
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250 帝国からの賠償と癇癪

「ということでございまして、賠償の方はこれにて完了とさせていただきます。」


「それで、今回の騒ぎを起こした黒幕の存在をあなた達は把握しているんですか?」


「申し訳ございません、その件につきましては尋問を始める前にマグナ大司教が殺されてしまったため、黒幕の存在は知ることが出来ませんでした。」


クレハの元に帝国の使者と名乗るものが現れたのは放心状態のマグナ大司教を追い返してからすぐのことだった。彼女の話を聞くとマグナ大司教からすべてを聞き、帝城へ輸送する途中に何者かに襲撃され、なきものとなってしまったようだ。


しかしながら帝国はどうにかしてクレハにクレハの宿を再開したいと考えているようで賠償金はクレハの言い分を支払うということで正式な書類を交わしに来たのだ。賠償金は分割払いにはなったものの支払いが滞ればすぐさま今回と同様にクレハの宿を休店し、帝国に催促を行うという契約になった。


クレハは賠償金うんぬんよりも今回の黒幕と言える人間の存在が気になり尋ねるも彼女は知らないと答える。そんなありきたりの答えにクレハの表情は冷ややかなものになってしまうが実際にそうなのだから帝国からやってきた彼女もそう答えるしかない。


「殺されてしまったですか。今までの帝国の行いを振り返れば怪しいものですね。リーシア教に命令を下せる人間など帝国の貴族しかありえないですよね?本当にその存在を知らなくてもかばっているようにしか見えない構図ですね。」


「・・・。」


クレハの言い分は正論でしかないが相手も使者なのだ。本当にそうであったとしても帝国にとって不利になることを話すはずがない。彼女がいつまで経っても無言のまま何も話そうとしないと分かるとクレハはため息をつき、話はよく分かったと使者を返すのだった。




「パパ、いつになったらサンドラが欲しがっているものが手に入るの?あんなに欲しがっているのに可哀想よ!」


「わ、分かっているさ。だが、あいつらが使えんでな、ようやく後始末を終えたところだ。すまないな。」


「もう、そんなことは良いのよ。それよりも早くして頂戴よ。」


「無理を言うな、今動けば皇帝に感づかれる。しばらくは表立っては動けん。」


帝国のとある屋敷にてそんな会話をラルチュ軍務大臣とその娘のマーラがしているとそこに二人の宝であるサンドラが現れる。


「おじい様、また失敗したの!どうしてよ、必ず手に入れるって言ったじゃない!」


サンドラは自分の欲しいと思ったものが手に入らない現状に癇癪を起し、ヒステリックに叫び始める。


「すまない、あの無能どもが失敗して今回も手に入れることが出来なかったんだ。」


「嘘つき、嘘つき!もういい、私が何とかするわ!おじいさまなんて嫌い!」


「待つんじゃ、今はいかん!必ず、必ずあの忌々しい小娘を引きずり降ろしてお前の欲しいものを手に入れるからもう少しだけ待ってくれ!」


生まれてからというもの、自分の思い通りにならなかったことがなかったサンドラにとってクレハの存在は憎らしいという言葉では言い表せない存在となっていた。自分よりも格下と思っている存在が自分ではどうやっても手に入れることが出来ないものを持っている。


それがどうしようもなく憎らしく、許せなかったのだ。そんな子供のように感情を抑えられないサンドラを落ち着かせることはラルチュ軍務大臣にとって軍の指揮をとるよりも大変なことだったのかもしれない。


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