233 面倒な奴がやってきた
「で、あるからして富を大量に所有しているお宅の商会は貧しきもののために私財を投げ売らなければならないのです!さぁ、あなたもリーシア様の教えの通り、貧しきもののためにできることをするのです!」
クレハの目の前にはきらびやかな衣装と豪勢な装飾を身にまとい、ぷっくりと腹が出ているガエルが目の前にいた。あまりの巨体のせいで先ほどから話すたびに椅子がきしんでいるほどだ。
なぜ、このような人間がクレハの目の前にいるかというといつもの様に仕事をしているクレハの元にドルクスから来客が来たという知らせを受けたからだ。彼らはリーシア教のものでクレハ商会の代表であるクレハに話があると言って来たそうだ。
正直、クレハとしては宗教関連には関わりたくはないため面会には応じないつもりでいた。しかしながらドルクスが土下座をしてまでも面会に応じてくれと泣き叫ぶものだからクレハも仕方なく了承したのだ。
もちろん、ドルクスだって好きでそのようなことをしたわけではない。だが、リーシア教とはライスオット帝国の国教とまでなった宗教であり、その信徒の数はかなりのものだ。もちろん、コーカリアス王国にも多数存在しているだろう。
そんなリーシア教の話を合わずに断るなどドルクスからすればどんなことになるのか分かったものではなかったため、嫌がるクレハに土下座までして面会に応じさせたのだ。
クレハとしては前世でも神の存在など信じていなかったため、インチキ臭い宗教の教徒の話など時間の無駄だと考えていた。最も転生という経験をしている以上、神という存在がいるということは否定できないが連中が信仰している神が存在していることなど皆無だと考えていたのだ。
だからこそ、クレハが彼らを見る目は冷たかった。彼らは開口一番に住人達からたくさんの財を儲けているクレハ商会はリーシア教のおひざ元である帝国に店をオープンし、無償で商品を販売しろと言って来たのだ。もちろん、出店にかかるお金もクレハが負担してである。
彼らの言い分では財を持つものが持たないものに無償で奉仕をすることは当たり前らしい。クレハからすればそんなものはクソくらえだ。
そんなものはどう考えてもリーシア教の上位にいる人間に美味しいだけの話を美化しているだけにすぎず、神の名をかたっただけの商売に過ぎない。結局は神を信仰するために布教をするのではなく一部のものが美味しい思いをするために彼らは頑張っているのだ。
それに、彼らの要求もどうせ帝国の人間がリーシア教とグルになって行っているものだろう。どこかの貴族がクレハが一向に帝国に店を出店しないため我慢できずにこのような手段に出たに違いない。
そうでなければわざわざ店を出店しろなどという遠回りな話をするはずがない。財を分配しろというのなら献金をしろというほうが簡単なのだ。
だからこそ、クレハはこのような何一つまともな提案をしていない頭がイカれた目の前のカエルに人間の社会を教えてやるのだった。
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