227 突撃、ベスト公爵!
ベスト公爵がクレハ商会へと向かう道すがら執事はどうにかして公爵に頭を冷やしてもらえないかと説得を試みるも後の彼の発言を聞けば結果は言うまでもないだろう。
そんな馬車の中の空気が最悪な中、ベスト公爵に強制的に連れてこられたカロは自分も始末されてしまうというのにまったくもって余裕そうな顔をしているのだった。
「ここか!クレハ商会とか言うふざけた商会は、この私を騙そうとしたなど極刑だ、今すぐにここの代表を呼べ!」
「おいおい、一体なんだ、またいつもの様に難癖をつけに来たどこかの貴族か?」
「まったく、恥ずかしくないのかしらね?」
コーカリアス王国で最も有名と言っても過言ではないクレハ商会には妬みからなのか時々、貴族がいきなり商会に文句を言いに来ることがあったのだ。そんなことをしたところで従業員に言い負かされてしまい労力の無駄なため、最近ではそのような貴族はいなくなっていた。
しかし、そんな矢先にベスト公爵がクレハ商会に乗り込んできたのだ。クレハ商会に買い物に訪れていた客たちは面白いものが見れると徐々に集まってくるのであった。
「お客様、他のお客様の迷惑になりますのでお静かにお願いします。」
「うるさい!私を誰だと心得るのだ、ベスト公爵だぞ。いいから貴様らの代表を連れてこい!」
従業員たちもいつもの迷惑な貴族かと追い出そうとするも相手が公爵と名乗ったことにより流石にそのまま追い払っていいのか迷ってしまう。
公爵と言えば王族の次に偉い身分と言っても過言ではない。そんな人物を上に判断を仰がずに追い返してしまった結果、後から面倒ごとになればクレハに申し訳ないと考えた従業員はすぐさま、クレハを呼びに行くのだった。
「あなたが店で暴れている公爵ですか。いったいどういう了見でそのようなことをしているのですか?」
今からやっと食事だと言う時に緊急事態だと商会を任せている従業員に呼び出され、今のクレハはすこぶる機嫌が悪かった。
「何だその口の利き方は、貴様がまがいものの商品を売ったせいで私は大恥をかいているのだぞ!責任をとれ!」
いきなりの発言でいったい何を言っているのか全く分からなかったクレハだったが詳しく話を聞けばどうやら目の前にいる公爵はコーヒーと聞き、そこにいる商人から購入したがそれは全くの別物であったため詳しい話を商人に尋ねるとその商人はクレハ商会から買ったものだと言い張ったらしいのだ。
そんな情報で確認もなく、よくもまぁこんなことをしでかしたなと内心では思うクレハだったが万が一のために従業員にも尋ねる。
「それで、念のため尋ねておきますがコーヒー以外のものをコーヒーと偽って販売したということはないんですよね?」
「もちろんです、我々の商会の名を汚すようなことは絶対にしていないと従業員一同、約束できます。」
「そうですよね、ありがとうございます。公爵、それでは従業員も申しました通り、公爵が購入したコーヒーがコーヒーでなかった原因はうちのせいではございません。あなたがここで暴れるのは全くのお門違いです。これ以上騒ぎが大きくならないうちにお帰り下さい。」
従業員が真っ直ぐな目で自分たちは誠実に商売をお行っているとクレハの問いに答えるとクレハは公爵をにらみつけ、さっさと帰るように促すのであった。
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