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222 帰還

「オーナー、香辛料の売り上げは順調ですね。やっぱりカレーを広めたことが良かったんでしょうか?あれを食べてから皆さんの目が変わりましたからね。今では領外からもうわさを聞き付けた商人たちが買い付けに来ていますよ。」


「そうですね、正直、自分でも香辛料を買いすぎかと思っていましたが足りませんでしたね。いくら今までの価格よりも安く買うことが出来るからってあんなに食べて大丈夫なんでしょうか?」


「大丈夫だと思いたいですね、それでお腹を壊して僕たちのせいにされたらたまったものじゃないですよ。というか、意外だったのはコーヒーですよ!どうしてあれが意外に人気なんですか、あんなのカレーの前には霞んで見えるというのに!」


「ふふっ、分かる人には分かる味なのですよ!」


新大陸でのタルフ伯爵の案内を終えたクレハ達一行は元の領地へと帰ってきていたのだ。タルフ伯爵ともよい関係で取引を行うことを約束したクレハは一度、大量に買い占めた香辛料とコーヒー豆を販売するために領地へと戻ってきていた。


領地へ戻ったクレハは早速、買いすぎた香辛料を販売するべく、カレーの作り方を自らの商会の人間に教え、カレーとして販売を行っていたのだ。当初、クレハはカレーとして販売を行えばあれだけ買い占めてしまった香辛料も少しずつではあるか売れていくと思っていた。


しかしながら、それは大きな間違えだったのだ。クレハの間違いはカレーの絶対的なおいしさとその安さを考慮していなかったことだ。


本来であれば香辛料は別の大陸から輸入してくるしか手に入れる方法がなく、その間に仲介業者などがたくさん入ってしまったり、輸送のコストなどがかさんでしまい、必然的に価格は高額なものとなってしまっていた。


しかし、クレハが手に入れたのは生産者から直接であり、輸送などもすべて自分たちで補なっていたため、誰にも実現できないような価格で香辛料を販売したとしても儲けを出すことが可能になっていたのだ。


そのうえ、かの有名なクレハ商会が新たに販売するカレーという食べ物が美味しくないはずがなかったのだ。そんなカレーという存在は瞬く間に広がってしまい、あっという間にあれだけたくさんあった香辛料は無くなってしまったのである。


そのため、クレハは急ぎ船を用意し、商会の人間に継続的に香辛料を買い取りに行ってもらうようにしているのだった。もちろん、その際にはタルフ伯爵と約束していた醤油も一緒に運んでもらい、取引をしてくるように頼んでいる。


そして、実はカレーと共にひそかに人気を伸ばしている商品がコーヒーなのだ。カレーの人気に火が付いた当初は誰もコーヒーなど見向きもせず、売れ残ってしまうと思われていた商品だった。


しかし、クレハに届いた報告では商会に貴族らしき人間の馬車が止まり、他の商品には目もくれず、コーヒー豆だけを買っていったらしいのだ。そんな不思議な出来事があってから数日、事態は急変することになる。


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