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210 船乗りはアフターフォローも完璧です!

チンピラたちの件も片が付くと先ほどのことなどなかったかのように香辛料の生産者たちは取引を再開し、全員が満足げな顔を浮かべ、帰っていった。もちろん、そこらへんに転がっているチンピラや常務は道端の石ころだとでも思って誰も気にしている人間はいない。


ようやく彼らも帰り、自分たちも用が済んだため帰るかと考え、準備を始めているとようやくここでルークが口を開く。


「えっ、いやいやいや、オ、オーナーどうして船乗りさんたちがいるんですか!」


「えっ?さっきもこの方たちが言っていたじゃないですか、いやな予感がしていたんで様子だけでも良いので見ていてくださいってお願いしていたんですよ。あっ、今回は本当に助かりました。今度、ご馳走でもおごらせてくださいね。」


「本当ですかい!いや~、なんか申し訳ないですね。俺たちはクレハさんの手助けになるなら別に問題ありませんでしたのに。」


「何言っているんですか、あなた達が居なければ今頃はあのチンピラたちに何をされていたのか分からなかったんですから、それくらいのお礼はさせてくださいよ。」


「そうですかい?それじゃ、ご馳走になります!」


船乗りたちのリーダーとクレハはさも当たり前のように話をしていたが、ルークにとってはこの状況は全く持って当たり前ではない。


「ちょっとまって下さいよ、なに普通に話し込んでいるんですか!確かに、船乗りさんたちがいる理由は分かりましたけど、この状況はさすがにマズいですよ。今の状況を衛兵に見られたらどう説明するんですか、絶対にマズいことになりますよ。」


ルークはこの状況を見ろと言うように指をさし、現状の異常さをクレハ達に伝える。ルークが指さした方向には腕などがいろいろな方向に曲がり、気絶しているチンピラたちや顎が砕かれ、そのまま一向に動き出さない常務の姿がある。


「だいたい、生産者の人たちも異常ですよ!何でこの状況で何もなかったように普通にふるまえるんですか?えっ、もしかして常識人は僕だけなんですか!」


ルークは一歩間違えれば何かの事件現場のような惨状にあるにもかかわらず自分以外が普通にしているため、プチパニック状態だった。


「ルーク、安心してください。あれは正当防衛なんです、衛兵にバレたとしても大丈夫ですよ!」


クレハが何も問題ないとなぜか自信満々にしており、その後ろでは船乗りたちがうんうんと頷いている。


「はぁ、僕知りませんよ。この人たちが目覚めて詰所に駆け寄ったらどうするんですか?僕たち、こんな知らない大陸で捕まっちゃいますよ。そんなの嫌ですよ!」


ルークは船乗りがやったことは確かに自分たちを守ってくれたことだったため、非常に感謝していたが過剰防衛、これだけが心配だった。そんな不安げなルークに船乗りのリーダーが安心してほしいと声をかける。


「安心してください!こいつらが目覚めた後に詰所に駆け込んでも大丈夫なようにちゃんと顎をつぶしておきましたから、目覚めてもまともにしゃべれませんよ!それとも、そんなに心配ならこのまま海に流しておきますか?」


「顎をつぶしておくなんて流石ですね!あとのことまで考えて頂いて、皆さん仕事が速いです!まぁ、確かにルークの言う通りバレたらまずいですからね、母なる海にでも放流しておきましょうか?」


クレハと船乗りの会話を聞いたルークは彼らの問題しかない会話に思わず口を出す。


「ちょっと!冗談でもやめてください!それこそ大変なことになりますよ。はぁ、もうわかりました、誰かにこの現状が見られる前にさっさと帰りましょう。僕の心臓は今日一日で1年分の働きをしましたよ。」


こうして、気を失っているチンピラたちを置いていき、全員、宿屋へと帰ることになったのだった。

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