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209 過剰防衛?正当防衛ですよ!

「なぁ、楽しんでたんだよな。お前の顔、そんな顔をしてたもんな。そうだ、なぁお前、そんなに人を殴りたいなら俺を殴ってみろよ。


「へっ?一体何を?」


突然のことでチンピラは一体何を言っているのか理解できなかった。しばらく考え、その言葉にどのような意図があるのか自らの足りない頭で考えるも、全く理解できないでいた。


「あの?どうして私があなたを殴るのでしょうか?」


チンピラは恐る恐る船乗りに尋ねる。しかし、そんな疑問を許してくれることもなく、船乗りは声を荒らげる。


「いいから、殴れって言っているだろうが!テメェ、ボコボコにされたいのか!」


「ひぃーっ!えいっ!」


チンピラは船乗りの恐ろしさに恐怖を覚え、悲鳴を上げるとともに反射的に殴りつける。しかし、そのように出された拳が強いはずもなく、ポフッという音が出たのではないかというくらい弱い拳だった。


チンピラは勢いで弱い力とはいえ殴りつけてしまったことから、恐る恐る船乗りの顔色を窺うと先ほどとは比較にもならないほど笑顔でこちらを見ているではないか。


「ふふふふっ、ふはははっ。」


「ひひっ、ふふふっ。」


船乗りが笑い出すとチンピラは今までの緊張の糸が切れてしまったのか、恐怖からなのか、つられて笑いだしてしまった。


しかし、次の瞬間には先ほどまでの満面の笑みを浮かべていた船乗りは突然真顔になり、ガシッとチンピラの頭を鷲掴みにする。


「ひぃっ!」


チンピラも突然の出来事に恐怖で固まってしまってい、瞳孔を震わせている。


「おい、お前何を笑っているんだよ。お前、この俺を殴りがやったな!」


「えっ、いや、だって。」


だってあんたが殴れって言ったんじゃないか!と言いたげな表情でチンピラが口を開こうとするも船乗りは許してくれない。


「だってじゃないんだよ、お前が殴ったんだろうが!なぁ、これって俺がお前に暴行を受けたってことだよな?てことはよ、俺は自分の身を守るために仕方なく暴力を使ってもいいってことだよな?これって正当防衛だよな?」


船乗りはチンピラに質問はしているものの、それは質問でも何でもなく、ただの同意だった。


「そ、そんな理不尽な!」


あまりの理不尽さに声をあげるもチンピラの言い分など聞いてくれる船乗りではない。それどころか、笑みを浮かべながら死刑宣告を行うのだった。


「なーに、あまりの痛さにすぐに記憶なんてとんじまうから痛いのは一瞬だ。安心して正当防衛を受けろや!おい、お前ら、俺はこいつに正当防衛するから他のチンピラに正当防衛してくれや!」


「「「「「おう!」」」」」


船乗りたちの大気を震わせそうな声を発端に一斉にチンピラたちに駆け寄り、かれらをたこなぐりにしていくのだった。


「あ”―――っ!」


後にはむなしくも、チンピラたちの悲鳴のみが波音に消えていくのだった。


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― 新着の感想 ―
[一言] あーはい。正当防衛成立ですね。チンピラさん達、どうもありがとうございました。 って事でいいんですよね?
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