204 生産者たちの一致団結
「おい、きさまら何と言った!もう一度行ってみろ!」
「あぁ、聞こえなかったのか?なら、何度でも言ってやるよ。俺たちはお前らになんか売る作物はない!とっとと帰りやがれ!」
「そうだ、そうだ。今までさんざん足元を見やがって、いつまでも自分たちの言いなりになると思うなよ!」
「そうよ、調子に乗るのも限度ってものがあるわ。そんな脅しが通用すると思っているの。いますぐに出て行って!」
商会長の命を受け、常務が香辛料の生産者たちの元へ向かうと彼らは一軒の家へと集まっていた。それならば手間が省けると常務はさっさと香辛料をヘーデュ商会へと卸せと言ったのだ。
しかし、マズかったのは彼もまた、自分のことだけしか考えていなかったということだろう。今まで買取を行っていた金額よりも2割も安い値段で買い取ると言ってしまったのだ。
商会長の命令は彼らがこのまま香辛料を売らないと言い張るのであれば値下げをすると脅せと言ったのだ。しかし、彼が言ったのは今までの買取価格からさらに2割値下げを行うということだった。
常務はこの2割を自分の懐に入れ、商会長にはどうにか定価で買取を行うことが出来たと報告するつもりだったのだ。
生産者たちは自分たちを見るや否や、いつもの価格よりも2割も安い価格で売れと言い張ってきた常務についに我慢の限界を迎えてしまったのだ。
今までの彼らであれば、そう言われてしまっても少しでも買い取ってくれるのであればと渋々であるが言うことを聞いていたであろう。しかし、以前と違ったのは今ではクレハという存在が彼らにはついているということだった。
すでに、クレハは定期的な買取を行う契約を彼らと行っており、彼らにとっては定価でクレハが定期的に買い取ってくれるのであれば安値でしか買い取らないようなヘーデュ商会と取引を行うことなど意味がないのだ。
だからこそ、今の彼らは普段は絶対に見せないくらい強気一択だった。
「お、お前ら、そんなことを言いやがると今度から半額以下でしか買い取らないぞ!」
常務はこのままではまずいと彼等にさらに値下げを行うことを告げるがそれでは逆効果なのだ。
「上等だ、コラッ!お前の所になんか、二度と売るもんか!なぁ、みんな!」
「そうよ、こんなとこと取引をしてたなんて信じられないわ。もう怒ったわ、こいつらがあとになっていくら高値で買い取るって言っても、こいつらだけには絶対に、絶対に売らないわ!」
「おぉ、それいいな。じゃ、俺もそうするぜ!」
「おいらもそうするよ!」
「き、貴様ら、覚えておけよ。俺たちに逆らったらどうなるか思い知らせてやる!」
こうして、常務は負け台詞ともいえる言葉を残し、生産者たちの元から去っていくのだった。しかし、こうなった今でもいつかは自分たちのことを頼るしかないのだと心のどこかで考えているのだから、救えないのである。
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