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203 ヘーデュ商会の脅し

ここはヘーデュ商会、その商会長室に常務が勢いよく飛び込んでくる。


「しょ、商会長!大変です、店の在庫がほとんどありません。このままでは売るものがありません!」


「なんだ常務、騒がしいぞ。今は金を数えてるから忙しいんだ!売るものがないなら香辛料を買い取ればいいだろ。あいつらならいくらでも売るぞ、金に困っているからな。まったく、俺たちしか香辛料を売り出す商会がいないなんていい商売だよな。


いや、俺たちしか売り出せないようにしていると言った方が正しいかな。くくくっ、笑いが止まらんぜ。ほれ、さっさとあいつらから買い取ってこい、あぁ、ちゃんと足元見て買って来いよ。定価でなんか買ってきやがったら承知しないぞ!」


そう、先ほど、商会長が言ったようにここら一体で香辛料を取り扱っている商会がヘーデュ商会のみだったのには訳があったのだ。


現在、ヘーデュ商会は香辛料を足元を見て買い取り、それを定価よりも高く売り出すという方法をとっている。そのため、その利益のほとんどがヘーデュ商会のものとなっているのだ。


このような悪質な方法で商売をしているのであれば定価で香辛料を売り出せば必然的にヘーデュ商会よりも安くなるため、客はそちらの商品を買うことになる。


つまりは、まっとうな商売を行えばヘーデュ商会よりも売れ行きが良い商会など簡単に出てくるはずなのだ。だが、その点に関してはヘーデュ商会は抜かりが無かったのだ。


新たに香辛料を売り出す商会に強面の人間を客として送り込み、騒ぎを起こさせるのだ。そうして、店の雰囲気を悪くさせ、客足を遠のかさせる。これがヘーデュ商会のやり方だった。


常務の話を聞いた商会長は用が済んだらさっさと出て行けと言うそぶりで常務に指示を出すが事はそう簡単ではないのだ。


「そ、それが買取をしようとしたらどこの人間も商品を今は売らないと言ってきたんです!」


「はぁ、何言っているんだ。あいつら、俺たちが商品を買わなかったら生きていけないだろうが!」


「それがですね、あいつら、最近どこかの大陸からやってきた商会に商品を大量に売ったと言ってやがるんです。」


「だから何だ、そんなもの関係ないだろうが。他の大陸から来たのなら大した量は買ってないだろう。今のうちに売らないと次の買取ではさらに価格を下げると脅してやれ。


どうせ、その商会とやらの買取も一時的なものだろ?なら、あいつらだってどうすればいいか分かっているはずだ。一時的に買い取りをしたところで生活しなきゃならないんだから、何も意味がないってわかっているだろう。」


商会長は他の大陸からやってきた人間が買取を行っていることに眉をしかめるもそれが一時的なものだと考え、さっさと常務に命令を出すのであった。


「かしこまりました、では、今すぐに売らないと買取価格を4割カットにすると伝えておきます。そうすればあいつらも売る気になるでしょう。それでは、失礼いたします。」


こうして、常務はさらに生産者たちに脅しをかけるべく、彼らに会いに向かうのであった。しかし、彼らは知らなかったのだ、既にその生産者たちにはクレハが手を回していたということを。


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