199 ヘーデュ商会の手口
「はい、確かに私は香辛料を生産していますがあなた方は一体どちら様でしょうか?」
「僕たちはあなたのことを紹介されたものです、香辛料を売っていただけないかと思い、こちらに来ました。」
ルークは彼女に香辛料を求めていること、香辛料を求めてヘーデュ商会へと向かったがあまりの態度に取引を断わってきたこと、街で香辛料を欲していることを伝えると彼女のことを紹介されたことを伝えた。
そんなルークの話を聞き終えるとやはり、というような顔で彼女は納得するのであった。
「あぁ、あの商会に行ったんですね。それなら、ひどい対応だと思うのも無理はありません。まぁ、話は大体理解しました。どうぞ、うちに入って下さい。」
彼女はクレハ達が怪しい人間ではないと分かると自らの家へと招き入れるのであった。クレハ達も彼女の言われるように家へとお邪魔する。
「それで、あなた達は香辛料が欲しいんですよね?この家を見ていただければわかるかもしれませんが、私の家はすごく貧しいです。というのも、私はヘーデュ商会のやり方に嫌気がさして取引を行わないと決めていました。
ですが、ほとんどの人たちは香辛料と言えばヘーデュ商会ということで向こうの商会では購入する人が大勢いますが、私の方では購入してくれる人が全くいない状況です。ですので、香辛料を作っても売れないので他の商会の様な対応をとることが出来ないのですが大丈夫ですか?」
彼女が言っているのは通常のような商会では配送などを行うサービスを行うことが一般的だ。然しながら彼女の様に一生産者ではそのようなサービスを行うことが出来ない。しかし、その点に関しては彼女を紹介してもらった時に予想していたため、特に問題はなかった。
「はい、大丈夫です。ところで、どうしてヘーデュ商会とは取引を行っていないのかを聞いてもいいですか?聞いた話によると作物は育てられているので売り物はあるんですよね?大抵の生産者がヘーデュ商会と取引を行っているのにあなただけ取引を行っていないのが不思議でして。」
ルークは紹介してもらった際に彼女がヘーデュ商会と取引を行っていないことは聞いていた。しかしながら、なぜ、彼女が取引を行っていないのかは聞いていなっかったため不思議に思っているのだ。
「それはですね、あの商会は生産者のことを下手に見て足元を見ているんです。だからこそ、私はあの商会との取引を行っていません。
ここら一体で香辛料を取り扱っている商会はあの商会だけです。そのため、あの商会は生産者が自分達が出す条件に納得しなければ取引を行わないと脅しているんです。
あの商会に売り出してもらわなければ私たちが自分達で売ることが出来る量なんて知れていますからね。それで仕方なく、向こうの言い値で契約してしまうんです。」
どうやら、ヘーデュ商会とはクレハ達だけではなく、香辛料を取り扱っている生産者に対してもろくでもない対応を行っているようだった。
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