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179 飴の為なら国境すら超える

「それで、結局、この飴は帝国で配っていたみたいだけど、今はどうなっているの?」


「そうですね、どうやら、予想もしていなかった噂が広まっているようで、なかなか大変なことになっているみたいですね、あちらの国では。」


帝国での一時的な飴の配布も終え、クレハは現在はコーカリアス王国で販売を行っていた。今日は、王妃に現状報告を兼ねて、飴を売りに来ていたのだ。


どうやら、初めに食した時にかなり気に入ったようだ。そのため、今ではクレハの目の前で嬉しそうに食している。もちろん、その隣ではサラもしっかりご相伴に預かっている。


ちなみに、クレハが売り出している飴は材料となる砂糖に果物の果汁を加えたものである。これにより、簡単に様々は味を生み出すことが出来るのだ。最近では果物に飴を薄く付け、パリパリの食感を楽しむ果物飴も開発中である。


「あら、そうなの?いったいどんなうわさが広がっているの?」


王妃は帝国で何やら噂が広がっているという話をクレハから聞き、気になってしまったのだ。


「私がやったのはもともと帝国に卸していた飴をこちらでしか売らないようにしただけなんですが、どうやら向こうではすべての元凶が第四皇子のせいになっているみたいですね。」


クレハは帝国で広まっている第四皇子の噂を王妃に話し始める。正直、この噂を初めて耳にしたときはクレハ自身もびっくりしていた。まさか自分が飴を売らなくなっただけで、回りに回って第四皇子が商人を追いだしたということになっていたのだ。


しかも、当の本人が一切顔を見せなくなったという点もより拍車をかけていたようだ。王妃もなぜか第四皇子のせいになっているという話を聞き、思わず笑いだす。


「ふふっ、自業自得よね。それに、あながち間違っていないかもしれないわよ。だって、そもそも第四皇子がクレハにあんなことをしなかったら帝国に少しだけ飴を卸すなんてしなかったでしょ?そう考えたら、噂は何も間違っていないのかもしれないわね。」


「確かにそうですね、そう考えればこれから住人たちに怒りの感情を向けられても問題ないですね。そもそも彼のあんな行動が無ければ私もこんなことはしていなかったんですから。さっ、向こうは放っておいても勝手に自滅してくれるんですから私たちは飴でも楽しみましょう!」


「そうね、向こうが何か言ってきたら私に言うのよ。あなたはこの国の貴族でもあるんですから、いつでも手を貸すわ!」


こうして、王妃とサラ、クレハの三人で飴を楽しむのであった。こんな風に三人が飴を楽しんでいる中、実は国王は仕事に追われていた。なぜなら、帝国で飴を食べた住人たちが、コーカリアス王国で飴が販売されているという話を聞きつけ、飴を買うためだけに押し寄せてきたのだ。


彼らは飴という魅惑の甘味を求めるために、次第に国と国をまたぐという長距離移動すらもいとわなくなっていく。しかし、そんな生活が破綻しないわけがない。そんな彼らの不満は一体、どこへ向かうのか?そんなものはただの一つしかないのであった。


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