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173 処分の決定

「分かりました、この子が及ぼすデメリットは計り知れません。自由にできないようにしてしまいましょう。」


いよいよ、皇妃は決断を下したのかと皇帝、第一皇女、テクネー王妃は息をのみ、第四皇子はすがるような目で見ている。


「ついに決断をしてくれたのですね!そうと決まれば、さっさとこんな奴、やってしまいましょう。」


「ですが!」


第一皇女が早速、第四皇子を始末しようと部屋を出ていくが、それを皇妃が止める。


「ですが、私にはこの子を処刑するなど、出来ません!しかし、この子が問題を起こしているのは事実です。ですので、今後は問題を起こさせないように離宮に軟禁します。外部のものに接触するのは食事の時のみでそれ以外は離宮で過ごしてもらいます。


これなら、この子だって問題を起こさないはずです。そうです、それならこの子が死んだものも同然です。この子が死んだことにしてそのクレハを帝国に呼び寄せればいいではないですか!そうすればこの子は殺されもしないで、クレハの商品も手に入る。それが良いわ!」


皇妃の考えは次第に変な方向へと進んでしまう。普段の彼女であればそんなことは考えなかっただろう。なぜなら、そんな嘘がばれてしまえば大きな問題につながるからだ。しかし、自身の息子の命と皇妃としての役目を天秤にかけ、どちらかを選ぶことが出来なかったのだ。


「な、何を言っているのですか、お母さま!そんなことをすればどうなるかなど、分からないお母さまではないですよね!」


「そうクネ、しかも私がいるこの場でそんな事を言うなんていい度胸をしているクネ!そんな事、許されるわけないクネ。いや、もしも本当にそんなことをするのなら私がクレハにチクってやるクネ。それを手土産に私の話を聞いてもらうクネ。」


「そ、そんなことをされては困る。テノン!一度落ち着くのだ、普段のお前はもっと冷静だろう。」


第一皇女、テクネー王妃、皇帝の順に必死に皇妃を止めようとする。そんな三人の説得もあり、皇妃はようやく普段の冷静さを取り戻す。流石の彼女も自分の行いがどのような結果をもたらすのかが、分かっていたのだろう。


「ごめんなさい、冷静ではなかったわ。はぁ、クレハに関しては諦めましょう。はなから手に入れることが出来なかった人財と考えればいいわ。あなた、この子は私が責任をもって軟禁します。今後は離宮で生活をさせます。それなら問題ないですよね。」


「あ、あぁ、お前が決めたのなら仕方ないな。しかし、もしも離宮から逃げ出すようであれば今度こそは容赦しないぞ。」


これ以上、頑なに第四皇子の処刑を行うと言えばさらに皇妃がおかしくなってしまうと考えた皇帝は皇妃の考えに賛同しざるを得なかった。しかし、これ以上、第四皇子に問題を起こされるのも問題なため、念押しをするのは忘れない。


「ええ、分かっています。その点に関しては私がきちんと責任を持ちます。ということです、あなたはこれから死ぬまでずっと離宮で暮らしてもらいます。」


「わ、分かったよ。殺されるくらいならそれでいいさ。」


第四皇子は少しだけ不服な顔をしているがこれ以上駄々をこねれば本当に処刑されてしまうかもしれないといやいや受け入れるのであった。


「お母さま、それではぬるすぎます!」


「そうクネ、どうしてそいつを生かしておくクネか!」


そんな皇妃の判断にテクネー王妃と第一皇女は不満げだったが相手はこの国で最も発言力があると言ってもいい皇妃だ。


「いいえ、この子の処分は既に決定しました。あなた達にこの子の処分をどうこうする権利はありません。これ以上、何か言いたいことがあるのでしたらそれ相応の覚悟をしてもらうことになりますよ。」


そう言われてしまい、二人は黙り込んでしまうのであった。こうして、第四皇子は今後、離宮で暮らしていくこととなる。彼が皇妃との約束を守るのかは今はまだ分からない。


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